23区各区の予算案が出揃いました。

中央区のみならず、他区にも「2020年」が予算に与える影響は大きいようです。



建設通信新聞より転載


東京23区の2014年度予算案が17日に出そろった。
一般会計の総額は前年度比4.6%増の3兆3779億1900万円で21区がプラスとなった。


建設通信新聞より

このうち、中央、港、新宿、荒川、品川、大田、世田谷、中野、杉並、豊島、板橋、練馬、江東、葛飾の14区では一般会計が過去最大規模となった。ゆるやかな景気回復により、個人所得や企業収益が伸び、歳入面が改善されたことが寄与したとみられる。
人口増や消費税増税による増収を要因に挙げる区も目立った。また、東京五輪開催決定後、初の予算案となり、2020年を見据えた将来的なまちづくりや、防災力強化の取り組みが多く見られた。

 五輪の選手村が建設される中央区の矢田美英区長は「中央区が中心の五輪と言っても過言ではない。良好なまちづくりに一段と弾みをつけ、真の都心居住をつくりあげたい」と意気込む。
「地下鉄の新規路線計画と学校の増改築は必須、喫緊の課題」と強調する同区長のもと、区は都心と臨海部を結ぶ地下鉄新規路線の導入に向けた検討調査に乗り出す。五輪に向けて整備される選手村施設が集合住宅に転用された場合の人口増加や臨海部の開発の活性化による需要増に対応するのが狙い。14年度中に対象区間と概略ルート、概算事業費の検討などの調査を進める。

 「港区は東京五輪の開催地の中心であり、区の魅力を世界へ発信する大きな契機」(武井雅昭区長)。港区は、新国立競技場への港区側の玄関となる青山通り周辺地区と、大会の重要な輸送インフラとなる環状2号線周辺地区のまちづくりを積極推進する。

 大田区は、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ新空港線「蒲蒲線」の整備計画策定に向けた検討を始める。早ければ14年度中に策定したい考えだ。松原忠義区長は「五輪開催時に蒲蒲線が整備されていれば羽田空港から新国立競技場や、渋谷、池袋など西方面への観光拠点をつなぐ有効な手段となる」と力強く語る。

 五輪を迎えるに当たり、引き続き地域の防災力強化も課題の一つとなる。品川区は、しながわ中央公園に隣接するJTアパート跡地約7600㎡を取得し、ヘリポートや仮設住宅用地として機能できる広場を整備する。濱野健区長は「都市部でヘリコプターが降りられる場所は限られている。周囲は高い建物もなく、重病人や救急物資の搬送に有効」と見ている。

 江戸川区ではプールガーデン跡約2万6000㎡に救援物資の輸送拠点となる防災公園を整備する。木密地域が区全体の約6割を占める荒川区でも、災害時の延焼拡大を防ぐため、地下水と隅田川の河川水を活用する永久水利施設を新たに2カ所構築する。杉並区では狭あい道路の拡幅整備に向けて条例改正の検討などを強力に推進する体制を整える。

 渋谷区でも、老朽化により耐震性確保に課題のある総合区庁舎と公会堂について官民連携による建て替えを本格始動する。予算案には仮庁舎の整備費を新規計上した。3月にも三井不動産、三井不動産レジデンシャル、日本設計のグループと基本協定を締結し、70年間の定期借地権を設定する。敷地内を原則公開空地として総延べ約4万1700㎡の庁舎・公会堂棟、延べ約4万5300㎡の分譲マンションを同グループが整備し、借地権の終了後にマンション部分を更地として区に返却する。区は15年11月に新総合庁舎の建設に着工、18年度の完成を見込む。

 区有施設の耐用年数の目安を築後60年としている葛飾区は、3月に公表する基本構想案で総合庁舎整備の規模、場所、性能などを明らかにする。建設候補地として、立石駅北口地区再開発施設の保留床、現庁舎敷地、青戸平和公園の3カ所が挙げられているが、青木克徳区長は「地元からは駅から近く、アクセスの良い場所を望む声が多い」としている。

 中野区は、3月にまとめる新区役所整備基本方針をもとに、14年度内に整備基本構想を策定する。建設候補地として旧警察大学校跡地地区の中野四季の都市(まち)区域3を挙げており、14年早期の建設地決定を予定している。基本構想策定後に基本計画に移り、早ければ16年度末にも基本設計に入りたい意向だ。

 豊島区は15年4月から新庁舎での業務開始に向け整備を進めており、予算案に関連18事業あわせて計8億円余りを計上。

 板橋区も工事中の新庁舎南館が10月に竣工した後、北館改修工事に入り、南館・北館が15年4月からグランドオープンする。

 保育所の待機児童対策では、練馬区が私立認可保育所13園、小規模保育所5カ所などを整備して合計1300人規模、江東区も私立認可保育所12園を整備し合計1088人規模の定員を拡大する。