産経新聞より転載


2020年東京五輪・パラリンピック開催と連動し、観光振興の切り札として「カジノ」の解禁を目指す動きが活発化してきた。超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)はカジノ合法化に向けた関連法案の今国会での成立を目指し、各党に対する働きかけを再開。民間による「IR(統合型リゾート)推進協議会設立準備委員会」(議長・寺島実郎多摩大学長)も5日発足し、合法化の動きを側面支援していくことを決定した。

 「法案は4月中旬以降、今国会中に通していきたい。日本経済の発展という見地から支えていただきたい」。5日に開かれた民間によるIR推進協議会の準備委初会合で、カジノ議連の細田博之会長は今国会での法案成立に不退転の決意を示した。

 準備委はコンビニエンスストア大手ローソンの新浪剛史最高経営責任者(CEO)、サントリーホールディングスの鳥井信吾副社長、JR九州の石原進会長ら約10人で構成することも決定。6月には推進協議会を正式に立ち上げ、合法化を支援する。

 国会では、昨年12月に自民党、日本維新の会、生活の党の3党がカジノを解禁・合法化し、カジノを中心とした「統合型リゾート(IR)」の整備を政府に促す推進法案を衆院に提出済みだ。カジノ合法化は、経済波及効果が7兆円以上との試算もあり、国際会議場やホテルなどの大規模施設の整備や観光客誘致で雇用や消費の拡大が見込まれるとして期待が大きい。

 一方で、ギャンブル依存や金融犯罪への懸念もあって、慎重な対応を求める意見もある。与党の公明党はカジノ合法化の推進法案の共同提出を見送った。石井啓一政調会長は5日の記者会見で「議論が深まっていない」と強調。井上義久幹事長が昨年11月に「私は慎重だ」と反対姿勢を示したことを受け、党内の意見集約はストップしたままだ。

 推進法案は、政府に対し「必要な法制上の措置は法施行後1年を目途に講じなければならない」と規定。政府はこれを受け、カジノ業者を「免許制」にすることや犯罪防止のための「査察官」制度の導入などを柱とする実施法案の具体化を進めることになる。

 2020年東京五輪に向け、都市計画や施設整備はすでに動き始めており、逆算すれば、「推進法案を今国会で成立させなければ、東京五輪に合わせた観光施設建設が間に合わない」(カジノ議連関係者)という。カジノ議連の岩屋毅幹事長は5日、産経新聞の取材に対し「多くの議員に賛同してもらえるよう努力する。(来年度予算成立後には)他の法案より、できるだけ優先して審議してもらいたい」と述べた。