日本経済新聞より転載


東京・日本橋地区で大型再開発が動き出す。野村ホールディングスなど地元地権者は3月にも再開発準備組合を設立する。再開発は敷地内にオフィスを中心とする超高層ビルを建設する構想。戦前に建てられた野村証券の本社ビルは保存し、美術館やレストランとして活用する案が有力だ。10年以内の完成を目指し、今後、詳細な計画を検討していく。

 日本橋にある野村ビルは現在も野村証券やグループ企業がオフィスとして使っている。竣工した1930年には大阪に本拠を構えていた野村財閥の東京進出の拠点として、建築家の安井武雄氏が設計した。当時はヨーロッパ風の建築物が流行していたが、和風デザインも採り入れた昭和初期の「モダン建築」として親しまれたという。

 再開発後も野村の一部部門が入居するもよう。計画では、野村本社の中央通りに面する最も古い部分を保存し、後部を解体。川沿いに遊歩道などを造る予定。保存部分は重厚な外観を生かし美術館やレストランなどにリニューアルする方針。

 再開発は中央区日本橋1丁目の約2万5000平方メートルの地域が対象。野村HDの関連ビルや、寝具販売の西川日本橋店などがあり、三井不動産、野村不動産が再開発をサポートする。