革命左派は永田はじめ、女性の革命戦士が多くいたのに対して、赤軍派は、連合赤軍になってからは1名(遠山美枝子さん)のみでした。

もちろん、赤軍派には多くの女性活動家がいましたが、実行部隊を率いる上で、女性は足手まといと考えられ、後方支援にまわされていたようです。ですので、金子さんの様に「爆弾投げようか?」とか大槻さんの様に「裏切り者は処刑しましょう」なんて物騒なことを言う女性は少なかったみたいです。その考え方の違いが後に悲劇を生みます。

【遠山美枝子さん】
麒麟麦酒に勤めながら明治大の夜間に通い、後に日本赤軍のリーダーになる親友の重信房子らと活動をはじめるようになります。幼くして父親を失ったので、世界革命を成功した暁には母親と幸せに暮らすのが夢だったらしいです。映画監督の若松孝二さんの作品の製作にも協力するなど、かなり活発的な人で、森の前の赤軍派の最高幹部である高原浩之と夫婦関係でした。長髪の美人であり、男性を勧誘する能力に長け、弁論で敵う幹部がいなかった為、赤軍派内で女王様の様な存在でした。ところが、夫である最高幹部の高原が逮捕されると、後任の最高幹部に森が任命され、森と対立した親友の重信は海外に拠点を移します。遠山は高原を救出する為に赤軍派に残ることになります。森と重信の間に挟まれた遠山さんの立場は危うくなりますが、森は革命左派の永田や川島陽子(川島豪の妻)に対抗させる為に弁が立つ遠山に目を付けて、赤軍派・革命左派の合同軍事演習のメンバーとして選ぶことになります。

続きは、連合赤軍の山岳ベースで書きたいと思います。遠山さんは立場的に森の上司であった高原の妻であり、森のライバルの重信の親友であります。森からしてみれば油断ならぬ人物であり、革命左派の永田や川島陽子にぶつけて自滅させようと企んでたかもしれません。(川島陽子は運良く演習に参加前に警察に逮捕されます。)

遠山さんは後から登場しますのでここまでとして、他にも連合赤軍に参加する前に逮捕・離脱した2人の女性戦士を書きたいと思います。

【持原好子】
植垣氏が横浜でオルグ(勧誘)した進藤隆三郎さんと同棲していた女性です。元、芸者で、既婚者、調理経験があり腕はプロ並という意外な一面も…。特に学生運動や世界同時革命などの思想も無く、進藤さんが好きだから活動に参加していたようです。彼女の存在により、夫婦やアベック(今で言うカップル)を装ってアジトを手に入れる(アパートの契約をする)ことが容易かったそうです。また、M作戦(マフィア作戦=銀行強盗)では、偵察、強盗したお金の運搬役をしていたので、他の隊が逮捕される中、坂東隊だけが、逮捕者がでなかったそうです。ですが、持原が進藤さんを束縛しはじめるようになり、進藤さんの活動が制限される事を恐れて、坂東と植垣氏は持原が活動から離れることを促します。そのたびに癇癪を起こし、警察に自首しようとするので、森から「進藤共々処刑せよ」と坂東に通達が行きます。坂東はどうにか説得の末、持原を活動から離脱させます。普通ならこれでおしまい。となるのですが、後にこの人が、あらゆる所で、坂東隊の事を話してしまいます。それが森に伝わり、進藤さんの処刑に繋がります。後に彼女も逮捕されますが、革命や左翼活動などというポリシーが無い為、彼女は沢山の自供をし始めます。ちなみに漫画レッドの持原の顔はどう見ても次に書く女性戦士をモデルにしてると思います。

遠山さんは最高幹部の夫人の活動家、持原は恋人が活動家です。基本的に、夫、恋人が活動家で参加した受身の立場です。ですが、最後の女性戦士は根っからの活動家です。植垣氏の元カノですが、そんなの関係無しに暴れまくった人です。もし、彼女が山岳ベースに参加したらそのまま、あさま山荘で戦ったかもしれません。

【玉振佐代子】
植垣氏が上京して配属された赤軍派の機関紙を作るアパートに住んでいた女性の一人で、(植垣氏はここで玉振と他3名の女性と同棲生活をしていました。まるで、ジャンプに出てくるラブコメの主人公みたいな設定ですね。)元同志社大学の学生。主に連絡役とカンパ集めをしていました。ある日、ここのアパートの住民女性が、活動から排除されると(残りの2名は不明)植垣氏と廃墟で生活したり、他のアジトを転々としているうちに恋愛関係になります。植垣氏が坂東隊に召集されると(この時に仙台で強盗をします。)、彼女は都内の部隊に入り盗難車を乗り回し銀行強盗を企てたり、成田空港の反対運動(三里塚闘争)に武器を持っての殴り合いに参加します。また、彼女がいる川崎のアジトが警察に包囲された時に警官に熱湯を浴びせかけ逃亡したという武勇伝があり(全くけしからん武勇伝ですね^^)、その後、植垣がいる坂東隊に合流します。坂東隊で連絡係になり、その時音信普通になっていた森らがいる、赤軍派本部と連絡を取るために上京。その時にようやく逮捕されます。(ほっ)まあとんでもない人です。

彼女の破天荒ぶりは永田がいる革命左派にも伝わっており、合同演習に遠山が来た時に革命左派の女性戦士達は、玉振とは正反対の性格の遠山さんを見てがっかりしたそうです。彼女が、あさま山荘に立て篭もらなかった事が不幸中の幸いかもしれません(いたら爆弾いっぱい使って警察に夥しい死傷者が続出したと思われます。)

次回は、合同演習の前にメンバー2人(瀬木政児・松本志信)が逃亡します。この2人はカップルで、のちのちの事を考えると賢明だったと思います。また、もう一つのカップル(加藤能敬・小嶋和子)は、森・永田による集団リンチで命を落とします。明暗を別けた2組のカップルの事を書きたいと思います。