赤軍派と軍事提携をした革命左派は、元々小さなこじんまりとしたグループで、大学のサークル活動的なノリの集団でした。革命左派の永田と坂口は、当時最大勢力の赤軍派に自分達が、対等にパートナーシップを組める集団だということをアピールしておかないといけないと考え出します。その為に革命左派内で軍事演習をして、来る赤軍派との合同練習に精鋭を送り込もうと考えます。そして山岳に軍事演習施設を作りそこで合宿を繰り替えしてました。

赤軍派は大所帯で、幹部と一般メンバーに差が有り、また幹部の奥さん連中にもかなりの権限があり、植垣氏の本には幹部の妻であった遠山美枝子さんは女王様のような立場であったとかかれております。また、森氏の生活の世話(掃除・洗濯・食事など)も持ち回りでしていたようです。
その当時、赤軍派坂東隊に植垣氏がオルグ(勧誘)したメンバーに進藤隆三郎さんと持原好子がいました。彼と一緒に活動に参加していた持原は新左翼運動に興味が無く、活動そっちのけで進藤さんといちゃついてるので、坂東や植垣氏が注意すると、その度に「警察に出頭する」など活動に支障をきたす発言をしました。赤軍派の最高責任者になった森は、持原と進藤さんを「処刑せよ」と、坂東や植垣氏に命じます。二人は悩みに悩んで、持原を活動から追放することになります。(こんな理由から~遠山さんも進藤さんもゆくゆく、山岳ベースで森の粛清に遭います。それはさておき・・・。)

ある日、赤軍派と革命左派の会談があり、永田は森に「今度合同で軍事演習を行いたい」と伝えました。そこで何人か、活動についていけず離脱するもの脱走するものがいるということも言いました。すると森は「そういう奴は逃げ出してスパイになり、組織が崩壊する。そんな奴らは処刑するべきだ。うちでも、群馬の夫婦(進藤さんと女性A)を処刑するつもりだ。」と言いました。もちろん、これは森の本意ではなく(度々、坂東に止められている)革命左派に対する赤軍派は組織力があるのだというハッタリでした。

ところが、永田は真剣に受け止めてしまいます。また、坂口も寺岡さんも「他のグループも内部の粛清をしているので当然のこと」と解釈してしまいます。そこで、寺岡さんが中心となり、脱走したメンバー2人が処刑の対象となるのでした。

【早岐やす子さん】
彼女がはじめての犠牲者です。彼女はサークル活動の気分で、参加したと思われます。山岳ベースでの生活(トイレ・お風呂・寝袋で寝ること)などに耐えられなくなり、ノンポリ(政治にあまり興味の無い人)の医大生の彼氏に会いたい為に無断で山岳ベースから脱走します。脱走した後は、後方支援をしたいという事で革命左派に戻ってきました。近所の喫茶店で指名手配の永田や坂口のことを配慮せず山岳ベースでの活動を軽々しく口にしたりしたので処刑されました。

【向山茂徳さん】
小説家志望の浪人生で、大槻(のちに植垣氏の恋人になる)さんと恋人関係でした。小説の題材として、興味本位で参加した面が否めません。脱走後、公安と一緒にお酒を酌み交わしたり、それなりのスリルを楽しんでいたようです。また、本人・永田・坂口・大槻…を題材にした小説を3分の2程書き上げており、永田としては彼の小説が世に出ると今後の活動の全貌が露呈すると恐れていたと思われます。

早岐さんはスパイ容疑、向山さんは小説が世に出るのを防ぎたかったようです。
早岐さんの殺害方法は、まず一緒に活動していた女友達と飲み会を開きます。そこで酔わせたところクルマにのせて印旛沼の畔で絞殺。

向山さんの場合は大槻さん金子さんら革命左派でも美貌の持ち主を集めて誘い込みます、そこで大槻さんがお酒をすすめるのですが、向山さんは警戒して飲みません。痺れを切らせた寺岡さんらが乱入して、女性達に羽交い絞めさせた上で絞殺。

メンバーとしては絞殺の実動部隊が
寺岡恒一さん・吉野雅邦・瀬木政児
搬送の運転手として小嶋和子さんです。

この事件をきっかけに革命左派は、自分達の思想を守る為には仲間をも処刑する集団に変わるのでした。この事件を永田は赤軍派の坂東に伝えます。坂東は更に森にこの事を話すと、今まで事あるごとに「反対するやつは処刑」と言っていたのに永田と坂口を「恐ろしい事をする連中だ。信じられない」と言ったそうです。森という人は、結構大きいこと言う割りに日和る(びびる)事があったそうです。

次回は赤軍派の女性戦士について書きたいと思います。