それから一般病棟に戻るということで、何人かの看護師さんがやってきて、身動き出来ない私の身体をICUのベッドから病棟のベッドへ動かして移動していく。



不安でしかなかった。



全く動けずめちゃくちゃだるいこの状態で、あの5人部屋で集団生活を送れる気が全くしない。
他の入院患者さんと交流があるわけではないが、特別な設備もなく他の方たちと同じ部屋で過ごさなきゃならないと思うととても不安に感じた。


そして移動の時、点滴のパックやちょっとした書類を私のお腹の上に置かれたのが正直腹が立った。


(手術経験者の皆様どう思います!?そんなもんですか?)



「一応昨日お腹の手術してますから!!
腹腔鏡とは言えお腹に数か所穴開けて傷があるんですけど!?」


と言いたい気持ちだったがそんな気力はなく、せめてもの対抗で自分の手で乗せられたものを少し持ち上げた。
まあそれだけダメージも少なく大丈夫ということでもあるのかも知れないが・・・



移動する最中も看護師さんに色々と話しかけられたが(多分和ませたりしてくれたんだとは思う)答えるのが辛くて、何とか頑張って声を出して応じていた。


とにかく尋常じゃないだるさでしんどいのだ。

私は若いし術式も腹腔鏡だったので、そんなに手術のダメージがないと思われていたのかも知れない。



そして入院前3日過ごした病棟に戻った。
当然だが荷物も手術前と同じ状態のままだった。
ただいま私の病室。



だが、私の状態は手術前とまるっきり変わっていた。
ひたすら辛い。
だるさと首の後ろの痛みが本当に辛い。
ただただ辛いのをやり過ごすだけの時間。


スマホ依存気味の私がスマホを見る余裕すらなかった。
ベッドから数歩先のロッカーの中にスマホを入れっぱなしだったのだが、そこまで歩いて取りに行くことなど到底考えられなかった。



まだ絶食期間だったし、お腹とお尻とおしっこの管も入っているから排泄は垂れ流し状態。
シャワーもまだ禁止だし(そもそも体調的に無理)、ひたすら横になって辛いのを耐えていた。



看護師さんに首の後ろの痛みを訴えると、痛み止めの点滴を追加出来ると言われたのでお願いした。
点滴が入り始めて15分くらいすると効いてきた実感があり、少し楽になった。


だが、痛み止めも常に入れているわけにはいかないようで、1日に何回くらいまでなら入れられる、と言われた。



そして、だるさは収まらない。
看護師さんにも「だるさを取る薬ってないんですよ」と言われた。


誰か開発してくれ…
もし開発してくれたら私がノーベル賞を差し上げたいくらいだ。



ほどなくして麻酔科の先生も回診?に来てくれた。

その時に言われたことが、


「硬膜外麻酔がうまく入らなかったが、その時に背中のどこかの何か(ちゃんと説明してくれたが忘れた)を突き破ってしまい、そこから水が漏れているかも知れない」


「対処としては、横になることと水分をとること。徐々に改善していくと思うが、そうでなければその穴をふさぐ手術をしなければいけないかも知れない。今の首の後ろの痛みもそれが原因かも知れない」


とのことだった。



ええーーーーー



ひとまず様子を見て欲しいとのこと。


でもその説明は素人ながらにいまいちピンと来なくて、担当医の先生が言っていた脊柱ヘルニアのような状態だろうということと、起立性低血圧という話がしっくり来た。
素人感覚ではあるが。。



担当医の先生にも麻酔科の先生の話をしてみても「うーん」という感じで、その可能性はあまり考えていないようだった。



何より困ったのが、担当医や看護師は頑張って起き上がったり歩いたりしようと言うのだが、麻酔科の先生は辛かったら横になってと言う。
どちらの言うことを聞けばいいんだと。



当然ながら夜もまともに寝れず、昼間のようにひたすら辛い…痛い…無理…という時間を過ごし、それから気絶するように寝てしまうが、体感的に30分ほどでまた起きて、辛い…痛い…の時間、気絶して30分後に起きる、その繰り返しである。


夜通しこの状態だった。
なかなかの地獄だった。