入院3日目。
いよいよ明日の朝一で手術が行われる。
今日から1週間の絶食、24時間点滴開始、下剤服用である。
頑張るぞ!というかここまで来たらもう何とかなるやろモードだった。
まず大変だったのが点滴ルート確保である。
「手術用の点滴で太めの針だから少し痛いかも知れません」と看護師さんから言われていた。
私はもういい歳だが注射の針は痛いし嫌である。
そんな点滴針は、入れられる瞬間は普通の注射とそこまで変わらない気がしたが(もちろん普通に痛い)、刺した後に更にぐっと奥まで針を入れられた。
血管の中を針が進む感じだ。
それがまあまあ痛いし変な感覚がして不快だった。
鍼灸で針を入れられる時の感覚に似ていた。
何とか入り終わったかな?と思ったら、なんと失敗したらしく「一回抜きますね」とのこと。
なんだと!?
もう一回今のやるの!?
少しげんなりするが、顔には出さずに「はーい」と答える。
すると看護師さんが一度退室。
少しすると、別の看護師さんがやってきた。
巡回などでよくお会いする20代らしき看護師さんとは明らかに雰囲気が違う、ベテラン風の看護師さんだった。
さっきの看護師さんも、いかにも若手という感じではなく30歳前後のそれなりに経験がありそうな人だったのに・・・そんなに針入れるの難しいんか・・・。
ベテラン看護師さんも「確かに血管細いね、これは難しそう」というようなことを呟いていた。
血管細いって初めて言われたな…。
しばらく私の腕を眺めて入りそうな血管を見つけると上から指で撫でたり試行錯誤?している。
そしていざ針を刺す!
奥までぐいっと入れる。
痛い。
なんとまた失敗である。
「一回抜きますね」
この言葉の絶望感たるや。
「痛いよね」と言いながら、何故か私の手を握ってくれたベテラン風看護師さん。
少しでも安心させるため?
そしてお医者さん呼んできます、とのことでまたまた退室。
やはり看護師さんよりお医者さんの方がルート取るのも上手なのかな?
しばらくして主治医がやってきた。
「確かに難しい血管ですね」とのこと。
頼むぞ~決めてくれよ先生~~~
なんとまた失敗×2である。
さすがに「勘弁してくれよ…」という気持ちになった。
口にも顔にも出さなかった(と思う)が。
もうやだ…。
もっともっと、こんなのとは比較にならないほど辛い治療をしている人はごまんといるのは分かっている。
たかが点滴なのだが気持ちが折れそうだった。
先生が血管を温めて広げる作戦で暖かいおしぼりを取ってきてくれた。
そんなやり方があるのか。
おしぼりで腕を温めて再度挑戦。
先生いわく「うーんあまり変わりないな」と。
利き手は残しておきたいからとずっと左手で挑戦してくれていたが、もう右手でもええんちゃう?と思っていた。
が、5回目の正直、成功させてくれた!!
入ったーーーーー!!!!
腕が曲がるギリギリのところに刺してくれたらしい。
「腕曲がりますよね?」と言われて、針が血管に刺さったりしない?と曲げるのが怖かったが、恐る恐る曲げてみる。
針が刺さるようなこともなく普通に曲げられた。
点滴ルート確保地獄(なんて言ったら失礼だが)から解放され、心底安心した。
失敗した箇所はあざになって痛々しかった。
だが、こんなものは苦悩の序章に過ぎなかった。