その後の日々も意外と落ち着いていたと思う。



普通に家事育児をこなし仕事へ向かう。

同僚や上司とも何食わぬ顔で接する。

職場への報告は、大学病院を受診して入院手術の日が決まってから報告しようと考えていた。


不安で眠れなくなることも、食事が喉を通らなくなることも全くなかった。
泣きたくなるようなこともなかった。



早期がんという診断だったということもあるだろう。

まあ死ぬことはないだろうと思っていたし、自分でも軽く考えていたと思う。



どちらかというと、ショックとか不安とかいうよりも、

「家事育児で夫に負担をかけてしまうし、仕事の調整もしなければいけない。はあ~面倒なことになっちゃったな~」

という感想の方が強かった(笑)



そして自分の周りにもがんの経験者が増えて来たのもあるのかも知れない。


診断を受けて治療し、仕事に復帰し、普通に(もちろんご本人にしか分からない苦労はあるだろうが傍からはそう見える)社会生活を送っている人がそれなりにいる。



今やがんは日本人の2人に1人がなると言われる病気。


もはや身近な病気、なる時は普通になる病気、そして早期であれば予後も悪くない、という認識が自分の中に出来つつあったのかも知れない。



もちろん何も感じていないわけではなく、


「私がんなのか~」
「もし転移があったら抗がん剤か~そこまでになると大変だな~抗がん剤きついって言うしな~」
「もし手術してみて意外に進行していたりするのかな。そしたらいつまで生きられるか分からないよな。子どもが小さいうちに死ぬのは寂しいな」


など色々と考えた。



毎日ネットでがんや入院についての情報収集をしたし、何となく気持ちが晴れない感覚は常にあった。



クリニックの先生は、「大丈夫なんだけどね」と前置きをしてから話をしてくれたし、「切り取ってしまえば転移もなくそれでおしまいということがほとんど」とも言っていた。



けど本当だろうか?という思いもあった。
私が受け入れやすいように、冷静さを失わないように良いように伝えておいて、蓋を開けたら結構やばい状況でした、ということがあるんじゃないかとも考えた。

がん体験ブログを読むと、そのような例はたくさんある。


後からショックを受けないように物事を悪い方に想定しておくのは私の癖でもあった。



あと、これは私の感性がおかしいのかも知れないが、妙な高揚感もあった。
昔ふとしたきっかけでがんの闘病ブログを読み漁っていた時期があるのだが、とうとう私もそれを体験する時が来たのか・・・!というか。



絶対に辛いし大変だし、何よりも日常が崩れるのがとても面倒だしと頭では分かってはいるのだが、入院手術という非日常への高揚感のようなものがあったのだ。


言葉にするのが難しくて、不謹慎だと思われたり変な誤解をされたら嫌なのだが。。。



そしてこれは関係あるか分からないが、がん告知された日からほどなくして体調が何となく優れず寝込む日があった。

数日で回復したものの、意外と自分でも気付かないところで気落ちして身体に出てるのかな~などと思った。