私ね、一度初期の流産を経験しました。

 

それはもう人生で最も悲しい出来事で。

 

だから妊娠してお腹の中で子どもが育っていくことがうれしくて

 

愛おしくてたまらなかった。

 

 

私は絶対に我が子をかわいがる自信があった。

 

どんなに親ばかになるだろうと、確信もしていた。

 

 

 

それが生まれて2日後、まさかの子どもがかわいく見えなくなった。

 

泣いてる、うるさい。

 

寝たい。

 

子ども可愛くない。

 

見たくない。

 

そんな気持ちになる度、

 

自分が残酷で恐ろしくてたまらなくなって泣きまくった。

 

 

 

「あんたは母親になんてなれない。」

 

 

自分で自分にそういう呪いをかけている気がして、

 

子育てする自信もなく、怖さしかなかった。

 

 

それでもコロナで誰も訪問に来なかったのは救いだった。

 

1日中泣いて腫れぼったい目も、子どもを触ろうともしない私も

 

誰にも見られることはなかった。

 

 

 

産院の入院中って行事が意外とあって忙しいんですよね。

 

おかげで気がまぎれる時もあったが、

 

やっぱりちょっとしたことでボロ泣きして

 

周りを微妙な空気にしていた。

 

 

 

そんな私を救ったのは、出産の前日、

 

妊娠高血圧で急遽出産することになった私の血圧を

 

一晩中測ってくれていた夜勤の看護師さんだった。

 

 

 

その看護師さんが私の病棟の担当だった日、

 

私は初めて、子どもがかわいく見えないと弱音をはいた。

 

 

 

そしたらその看護師さんから

 

初めて「マタニティーブルー」という言葉を教えてもらえた。

 

 

ホルモンのバランスだとわかると心から安心した。

 

 

そしてね、その時に言ってもらった看護師さんの言葉に

 

今でも本当に支えられてる。

 

 

「大丈夫。いまはホルモンのバランスが崩れてるだけ。

 

泣けるだけ泣いた方が良い。

 

だけどね、ここで気持ちをため込む癖をつけたら大変だよ。

 

これからもっともっと子育てに悩む時が来るし、

 

可愛く見えない時や、イラっとするときがくる。

 

その時に今みたいに、そんな事思うなんて!ってため込んでたら

 

ノイローゼになるよ。

 

ノイローゼになるとね、救い出すのが大変なの。

 

お母さんが泣いちゃダメなんて誰も言わないよ。

 

泣いてもいい。弱くていい。弱音はいていい。

 

とにかく思ったことをそのままたっぷり感じていいんよ。

 

 

 

こんな言葉を今まで自分にかけたことがあっただろうか。

 

自分に優しい言葉をかけられない人が

 

どうやって子どもに優しい言葉をかけるのだろう。

 

 

その日以来、泣いてもイラっとしても

 

母親失格だとは思わなくなった。

 

 

 

マタニティーブルーで味わった恐怖のおかげで

 

強く子どもを愛したいと思うようになった。

 

そしてその時かけてもらった世界一やさしい言葉は

 

私の子育ての支えとして今も、きっと今後も残っていくでしょう。

 

 

 

この言葉が私以外の誰かの支えにもきっとなると思う。

 

弱い自分を見せられるのも、

 

また子育ての醍醐味だと言い聞かせて

 

今日も先の見えない大きな責任を抱えながら

 

子育てを味わい尽くしたい。