あらゆる所で監視の目が光り、個人情報のほぼすべてが共産党に握られているスターリニスト中国では、西側先進国では当たり前の健全な市民活動さえ、弾圧される。


当たり前の市民活動が懲役刑となる恐怖体制​

​​​ 広東省広州市の中級人民法院(日本の地裁に当たる)は去る6月14日、性暴力を告発するネット運動「#MeToo」の活動などに携わってきた黄雪琴氏が国家政権転覆扇動の罪で懲役5年の実刑判決を言い渡した(写真下の写真の上は黄雪琴氏、同中央と下は広州中級人民法院)。​​​

 

 

 

 

 黄氏は、過去にセクハラ被害に遭って大手メディアを辞め、「#MeToo」運動に積極的に参加していた。2019年の香港の大規模デモでは「警察の粗暴さはますます激しくなり、香港が中国大陸のようになる」などと、デモに参加した様子をSNS上に投稿し、地元警察に拘束されるなどしていた。

 支援者が公開している起訴状によると、19年以降、黄氏がオンライン上で中国政府を批判したり、海外組織の集会に参加したり、他の社会活動家の自宅で国家への不満を煽る集会を開いたりしたとされることが罪に問われた。


裁判所は共産党の下部機関​

​ 同日、同じ法廷で労働者の権利保護に取り組んできた王建平氏(写真の左の男性、右は黄雪琴氏)にも同罪で懲役3年6月の実刑判決が言い渡された。

 

 いずれも控訴する意向を示しているとされるが、スターリニスト中国の法体系や司法制度は日本などの西側自由主義国と全く異なり、似て非なるものだ。

 まず司法はすべて中国共産党の指導に従うものとされているから、検察官はもとより裁判官も中国共産党員だ。共産党の言うがままの判決がくだされる。

 次にネット上で女性の権利擁護を流したり、香港や海外で集会に参加したりするだけで、国家政権転覆扇動罪になる。共産党打倒を言ったりすれば、それだけで死刑になりかねない。


裁判所は共産党の下部機関​

 だから控訴しても、判決が覆る見込みは全くない。裁判官は法院内の共産党組織に「指導」されているからだ。裁判所は、暗黒の社会体制の擁護機関そのものだ。

 市民的自由の全く無いスターリニスト中国で、このことは長期的にこの体制を内部から蝕んでいくだろう。


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