堅調な株式市場と比べて長く低迷していたREIT相場に、ようやく遅い春がやってきたようだ。

 

3月安値が大底​

​ 先週2日の東証REIT指数は4日続伸し、およそ3か月ぶりの高値を付け、1828.58で引けた(グラフ)。​

 

 

 しかし上掲グラフで見られるように、2年前に指数が2000を超えていた時に比べれば、まだまだ低い。

 ただ3月13日につけた年初来安値1667.87から見ると、9.6%の上げだ。振り返ってみれば、この3月13日安値は、REITの大底だったことが分かる。


分配金利回りは5~6%だった!​

​​ 株と違ってREITの特徴は、組み入れた不動産価値そのものである。不動産価値がゼロになることは壊滅的天変地異が無い限りあり得ないから、おおむね不動産価値に、もっと正確に言えば、組み入れ不動産から挙がる賃料総収益(分配金と言ってもいい)を反映する(写真は資産運用報告書)。​​

 

 

 

 

 したがって3月13日安値は、通常では考えられない。これは、ほとんどのREITの分配金利回りが5~6%前後になっていたことを示す。

 いくら金利が少し上がっても、利回り5~6%の金融商品などそうそう存在しない。だから僕は手持ち資金を使い、3月にREIT2銘柄を購入した。2銘柄とも評価益が出る他、買値基準で5%以上の利回りが見込める。


地銀勢の株との合わせ切り​

 ちなみに僕は、株式とそれよりやや少ないREITの両方を保有している。株式は値上がりしなければ、配当利回りは高くはないので(平均で2%未満)妙味は無い。

 しかしREITは、買値を下回る評価損になっても、僕には(気分は良くはないけれど)痛手ではない。分配金が年に5%ほど入ってくるのだから、それで良し、なのである。

 この3月の安値は、金利高騰の予見によるREITの値下がりへの過度の不安と主に地銀などの機関投資家の損切りのためだった。彼ら地銀勢は、年度末に多くの評価損を抱えると自らの評価に響くので、株の値上がり実現益と合わせてREITを損切りした。愚かなことである。みんなが売れば、価格が下がるから、実現損も膨らむのに。


新年度入りで新規資金が流入、だが値上がり益は期待できない​

 そして新年度になって、REITの安値から高くなった分配金利回りに惹かれて、個人投資家と機関投資家の新規資金が少しずつ入ってきて先週末の戻り高値に至ったのだ。

 ただ、REITに金利高は大敵だ。円安に対して、今後日銀は利上げを志向するだろう。だから超低金利時代のようなREITの値上がりはあまり期待できない。

 僕は、それでも良いと思っている。REITは値上がり目的ではなく、分配金を得るのが投資目的だから。


昨年の今日の日記:「スターリニスト中国の弾圧法がまた:改悪反スパイ法の施行を前に」