生涯で見ることもないと思っていた日経平均株価4万円乗せが3月4日、実現した。

 今年の元日の紙面で、経済界の著名人20人による日経平均株価の今年の最高値が史上最高値を塗り替えると予測した人は誰1人いなかったし、ましてや4万円乗せなど経済人は誰も考えていなかったことになる。長年株式投資をしている僕だって同じだ。


史上最高値に届いていないTOPIX​

 識者ですら予測できなかったことが起こったのが、今年の株式市場である。

 しかし、史上最高値は実はまだ、というのが、実態かもしれない。

 東証上場銘柄のすべての株式の値動きを見るTOPIX(東証株価指数)というものがある。実は、TOPIXの史上最高値は、まだなのだ。

​ TOPIXが史上最高値を付けたのは、日経平均より一足早い1989年12月18日で、その時の終値は2884.80だった(グラフ)。​

 

 

 日経平均株価が史上最高値を更新した2月22日のTOPIX終値は2660.71なので、まだ手が届いていない。東証上場株全体は、まだ史上最高値を更新していないのだ。


4日最高値と5日、日経平均とTOPIXは反対方向に動いた​

 この乖離を象徴的に示したのは、実は3月4日なのだ。

 この日、日経平均は確かに4万0109.23円と史上最高値をつけ、前日比198.41円高だったのだが、全体の値動きを示すTOPIXは3.14ポイント安の2706.28だった。実際、上場銘柄の中で値上がりは425銘柄に留まり、半面、値下がりは1195銘柄にも達した。

 多くのは投資家は、なんで史上最高値なのか、と疑問に思った相場だった。

 これと反対のことが、昨日の5日に起こった。

 日経平均は微反落だったが(11.60円安の4万0097.63円)、TOPIXだけは大きく上げたのだ(13.65ポイント高の2719.93)。

​ これは、日経平均が225の銘柄で構成されているからで、値がさ大型株の影響を強く受けるのだ。東京エレクトロン(写真=同社本社の入る赤坂Bizタワー)やファーストリテイリングなどが2~3%動くと、日経平均株価は2銘柄だけで260円も動く。​

 


半導体関連や高収益企業だけが買われる​

 だからこの2銘柄が大きく上がっても、それ以外がマイナスだと、日経平均上昇、TOPIX下落、という現象がよく起こる。反対も、また起こる。昨日は、その例だった。

 しかし今の株価は、東京エレクトロンなどの半導体関連やファーストリテイリングなどの高収益企業が選択的に買われるので、どうしても日経平均株価の方が高く出る。

 すると、これらの株を持たない人たちは、ちっとも株が上がったという実感を持てないことになる。


上場株の過半数を占める「特徴の無い」株は買われない​

 ただ株価とは、その企業の将来価値を先取りして値がつくものだ。高成長企業が買われれば日経平均株価は上がるが、東証上場株の過半を占める低収益企業・赤字企業、つまりこれと言った特徴の無い株は買われることはなく、したがってTOPIXがサッパリ、というのは、正しい姿なのかもしれない。

 ただ前記の半導体関連や高収益企業は、株価が高すぎるため、一般の個人投資家には手が出ないのは残念だ。東京エレクトロンもファーストリテイリングも、最低単元の100株買うだけで、400万円前後の資金が要る。


昨年の今日の日記:「呆れたロシア侵略軍のバフムトでの消耗戦、侵略1年で最大7万人の死者、旧ソ連の10年間のアフガン戦争死者数の35倍」