約7500万年前の北米に生息していたティラノサウルス科の恐竜、ゴルゴサウルスの化石に、最後に食べた獲物が胃の中にそっくり保存されていることが分かった。


Tレックスの前に登場した肉食恐竜​

 恐竜の内臓や食生活の確固とした証拠が化石に残されていることは珍しく、ティラノサウルス科の胃の中身が見つかるのは初めてとなる。カナダ、アルバータ州の7500万年前のダイナソー・パーク累層で発見された。

 アメリカの科学誌『サイエンス・アドバンシズ』に8日発表された報告によると、最後の食事は幼体の恐竜2頭の後ろ脚だった。

 ゴルゴサウルスは、後の6800万~6500万年前に登場したTレックスの近縁種に当たる獣脚類だ。
 

幼い恐竜の後ろ脚だけ食べる​

 Tレックスはティラノサウルス科で最大だが、ゴルゴサウルスはそれよりやや小さく、おそらく成長しても9~10メートル程度だったろうという。

 しかも今回のゴルゴサウルスは、体重約350キロ、体長約4メートルと幼体で、死亡時の年齢は5~7歳だったとみられる。

​ 最後2回の食事で食べた獲物は「シチペス」と呼ばれる鳥に似た小型恐竜で、実際に食べたのは肉の多い後ろ脚のみで、胃の中に他の化石は残っていなかった。シチペス2頭を別々のタイミングで殺して、後ろ脚をちぎって食べた後、死骸の残りの部分は捨て去ったのだろうと推測される(想像図)。好みは、なかなかうるさかったようだ。​

 

 

 

 なお捕食者のゴルゴサウルスも幼体だったから、狩られたシチペスも幼体で、2体の年齢は1歳未満だったとみられる。
 

詳しく調べようとして捕食に気付く​

​ ほぼ完全な状態をとどめた骨格は、アルバータ州の州立恐竜公園で発見された(写真)。​

 

 

 胃の中身が保存されていることはすぐには分からなかったものの、同州ロイヤル・ティレル古生物学博物館の職員が研究室で化石を詳しく調べようと、胸郭の中にあった岩を取り除いたところ、小さな骨が突き出ているのに気付き、捕食が分かった。

 

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