​ ロイター通信が報じたスターリニスト中国の配車アプリに登録した運転手は580万人にも達し、4月末から7月末までのたった3カ月で約40万にも増えたという(写真=代表的な配車アプリの「滴滴出行」)。​


 

失業若者、タクシーアプリに登録ラッシュ​

 日本がタクシー会社のアプリであるのと違い、スターリニスト中国は基本的に個人営業だ。つまり無職の若者が登録している、ということだ。

​ 不動産バブルが崩壊し、デフレ化を示すスターリニスト中国は、16歳~24歳までの若年失業率は日本と比べて飛び抜けて高く、6月には21.3%と過去最高となった(写真=求人情報の張り紙に群れる若者たち)。​

 

 

 7月には、6月末に大学を卒業した若者たちが一斉に労働市場に出てくる。これが加わると、若年失業率はとてつもなく高くなると予想されたが、スターリニスト中国政府は都合良く7月分から若年失業率の公表を停止した。
 

文革時の「下放」再開?​

 すると都市の失業青年はどうするのか? 一部が配車アプリに登録して明日をも知れないタクシー運転手になるか、地方に出て農業を手伝うしかない。

​ 韓国の大手新聞「朝鮮日報」は、文化大革命以来の新「下放」運動がスターリニスト中国で起きているという。文革期、北京などに集まった青少年紅衛兵の過激化に手を焼いた毛沢東は、劉少奇ら実権派の宿敵を倒すと、体よく「下放」と称して農村に送った。これで、北京などから紅衛兵はいなくなった(写真=下放で農村に送られた知識青年。プロパガンダ写真なので若者たちは笑っている。1968年)。​

 

 

 そう言えば習近平も、15歳の時から下放され、7年間を黄土高原の寒村で過ごした。この体験を踏まえた若者の失業対策なのだろうか。
 

著しい男女比アンバランスで男性の結婚相手が見つからない​

​ もう1つ、恐ろしい話がある。スターリニスト中国の若者、特に男性は、就職口どころか結婚相手を見つけるのも難しくなっているという(写真=地方政府主催のお見合いイベント)。​

 

 

 性別が大きく不均衡になっているからだ。

 女性人口を100とした男性人口は、結婚適齢期の20代で115、10代で117にも達しているという。通常の自然状態では、日本など世界各国の性比は、生まれた時に女児100に対して男児は105ほどと5%ほど多い。成長するにつれ、男児が病死する確率が高いので、20代になるとほぼ性比は100対100とイーブンになる。

 ところがスターリニスト中国では、前記のように圧倒的に男性が多い。これは、明らかに不自然だ。
 

共産党一党独裁国家の人口政策のいびつ​

 よく言われているのが、儒教の思考が色濃く残っているため、生まれる子に男児を望む家庭が多いことがある。つまり明らかに出産調整が行われているのだ。長く続いた「一人っ子政策」で、1人しか子どもを産めなければ男児に限る、ということだろう。

 自由な国家では、不自然な人口動態は、何らかの調整力が働いて自然に戻る。

 しかし共産党一党独裁のもとで、不自然な人口政策を続けたことが、今日のような不均衡を生み出している。

 就職難で就職口にも恵まれず、北京・上海など大都市では不動産価格高騰で家も買えない・借りられない男性は、少ない女性を奪い合うことになる。

 こうした歪みは、やがて深刻な社会不安を生むことになるに違いない。
 

昨年の今日の日記:「ロシアの深い悩み:最先端技術が無く、欧米からの支援を受けるウクライナに劣後」