東京株式市場は、2万3000円の厚い壁に跳ね返される毎日で、膠着感が強い。
 しかし元気な銘柄は、順調に年初来高値や上場来高値を取っている。半面、重厚長大のオールド・アナログ銘柄や銀行、繊維、建設、運輸、小売り・飲食などの業種は、3月の大暴落からいまだに傷が癒えずに安値に低迷している。
 

ITバブル以来の19年ぶりの新高値の富士通​
 今の株式市場の特徴を言い立てれば、「高い株ほどよく騰がる」ということに尽きる。バイオに代表される武漢肺炎関連、半導体・5G関連の勢いはいい。
 例えばもう20年前後もホールドしている富士通。言わずとしれたITの本命である。リモートワークのテーマに叶うことで堅調だったところに、イギリスが従来の方針を覆して移動通信新規格の5Gと既存の4Gでスターリニスト中国のファーウェイを排除し、代わりに日本の富士通とNECの協力を得るというジョンソン政権の意向が伝わり、弾みが付いた。
 武漢肺炎前の高値を回復したばかり、日々、2001年のITバブル崩壊以来の戻り高値を更新中だ(チャート図)。

 

 

 3月半ばの武漢肺炎ショックの暴落時に投げ売りした人たちは、今頃ほぞをかんでいることだろう。

​​上場来高値を更新中の搬送システムメーカー「ダイフク」​
 元気の良いのは、多くの方にはなじみのないだろう「ダイフク」も同じである(写真=同社の搬送システム)。

 


 和菓子のような名前だが、大阪に本社のある物流拠点向け搬送機器などの世界トップ級メーカーである。武漢肺炎のもとインターネット通販の広がりで同社の自動搬送システムの受注の高まりで、成長性は高い。さらに半導体製造工場にも機器を納め、5G関連ともはやされる。
 同社は2017年に公募増資を発表した後、よくあるように株価が大きく下げたが、この時、僕はここがチャンスと買いを入れた。
 以来、ずっとホールドし、ジリジリ進む値上がりを待った。待った甲斐があり、やはり武漢肺炎ショックで3月半ばには4670円と買い値近くまで下げたが、それからは値戻しが激しく、5月には上場来高値を付け、ついに先々週には一時1万0520円をつけた。その後、若干の調整をいれ、昨日は場中は1万円台を維持していたが、引けではわずかに1万円を割れて9990円となった(チャート図)。

 


 しかし短期のソフトパッチを入れた後は、さらに新値追いをするのは確実な銘柄であり、1万円台が定着するだろう。既に株価は買い値の倍以上になったが、当分、売却はしない。成長に合わせ、これから株式分割や増配が見込めるからである。​​
 

昨年末の上場来高値更新にあと1歩のワークマン​
 さらにもう1つ。前にも書いたが(2019年11月13日付日記:「今年最大の大化け株、ジャスダック上場の作業服のワークマンが大変身しておしゃれなアウトドアとカジュアル衣料の店に」を参照)、かつての作業服販売、今やお買い得ファッションのワークマンである。
 昨年12月に1万円をつけたが、その後、利食い売りに押され、さらに武漢肺炎ショックでは3月には一時5400円まで売られた。小売り業態だが、ワークマンはデパートやアパレルと違い、利益の高成長が続いている。武漢肺炎の影響も最小限に抑えられている。それが見直し買いがされている背景だ。いずれ昨年12月17日に付けた上場来高値1万0570円を奪還するだろう。22日の引け値は、1万0090円であった(チャート図)。​

 


 

従来型の重厚長大型企業は低迷、例えば川崎重工​
 ところが景気のいい話の一方で、僕の持ち株でも半数近くはなお買い値に達せず、塩漬けになっている。重厚長大のオールド・アナログ銘柄がほとんどだ。
 その典型は、最低単位の100株しか持っていない川崎重工である。まさに投資の大失敗例とも言え、ついに前期(20年3月期)は赤字決算、無配となった。
 無配株など、株主への背信もいいところで、適当に戻ったら損切りするつもりだが、その「適当」さも予測が付かないほど、株価は低迷している(チャート図)。

 


 上の同社株チャート図を前記好調組の3つのチャート図と見比べて欲しい。これが同じ株かと疑わしいほど、低迷している。ニューヨーク・ダウが調整すれば、3月の年初来安値も下回りかねない体たらくだ。これでは、当面はもちろん将来にわたっても期待できない。
 今の東証一部は、こんな株がゴロゴロしている。
 とすれば、いくら元気の良い株が引っ張っても、日経平均2万3000円の回復はなかなか難しいと言えるかもしれない。​

 

昨年の今日の日記:「参議院選挙、自民は『苦い勝利』、維新躍進、議席倍増の立憲民主党は浮かぬ顔」