武漢肺炎ショックによる歴史的株安=大暴落は、多くの個人投資家に大痛手となったが、逆に今、投資を始めるには、100年に1度の大チャンスかもしれない。


REITの歴史的下げは絶好の買い場だった​
 この株暴落で、積み立てNISAやiDeCo(イデコ)の既存の個人投資家は大きな含み損を抱えたはずだ。その損失額を知ると、続ける気力も折れそうになることだろう。
 しかし過去を振り返れば、株価は10年に1度程度は大暴落=大調整を入れながらも、1~2年かけて回復し、その後は上値を追った。今回はそうでないと言う根拠は全くない。
 とすれば、逆にこれは歴史的買い場なのではないか。
 例えば先週末19日に過去最大の前日比18.51%の激下げを演じ、上場来安値をつけたREITは、週明けの月曜日、逆にストップ高銘柄が続出し、一転大幅高を演じた。
 金曜日の崩落時、ストップ安で果敢に買いに出た投資家は、さながら落ちてくるナイフを素手で掴む勇気の人であり、それだけの信念の持ち主であれば、高いパーフォーマンスをあげたことになるだろう。
 

月・火の2日間で28.3%も上げた​
 昨日火曜日24日も、ストップ高銘柄が続出するほど高騰したから(166.80ポイント=12.80%高の1469.86)、その勇気は報いられたと言える。月・火の2日間で、東証REIT指数は、28.3%も上げた。それでもまだやっと、18日の水準に戻したに過ぎない。ここから少しずつ急落前の東証REIT指数2000を目指して回復していくだろう(チャート図)。

 


 普段から値動きが安定し、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品とされるREITがこのように極端な上げ・下げを演じたことにただ驚くしかなかった。
 

野村、手数料完全0の積み立てNISA専用投信​
 さて、REITと共に歴史的大暴落を演じた株も、昨日は日経平均で1204.57円高(7.13%高)で1万8000円台を回復した。それでも1カ月前に比べれば4600円も安い。
 この歴史的安値は、まだ積み立てNISAやiDeCo(イデコ)を始めていない個人にすれば、千載一遇のチャンスと言える。
 去る2月25日に最大手証券の野村證券が発表した1つのリリースは、金融業界に大きな波紋を広げた。
 これまでネット証券を中心にした投信や株式信用取引の手数料無料化競争から距離を置いていた野村が、ネットを通じた販売なら、2030年末の10年間、販売手数料も信託報酬も受け取らないという完全ゼロの投信販売に乗り出したのだ。対象は、積み立てNISAに限られるが、これで現役層の積み立てNISAの口座をごっそり奪おうというのだ。
 

主力投信は購入手数料が3.3%​
 野村が投入したのは、その名も「野村スリーゼロ先進国株式投信」である(写真)。

 


 つまり3つの「ゼロ」をうたっている。
 これを説明する前に、僕の投資信託に対するスタンスを説明しておく。基本的に、僕は株式投信はやらない。これまで10万円程度で2社で各1度、購入したがあったが、2つとも損失を喫したからだ。10万円ずつだったから、損しても大した傷を負わなかったのは不幸中の幸いだった。
 過去の失敗を振り返ると、あれではリターンは得られないな、と反省する。要するに証券会社は、顧客が買いたい商品ではなく、営業パースンが売りたい(したがって会社が売りたい)投信を勧めるからだ。しかも、断れないほど強力、強引に。
 今も大手証券・メガバンクの売る投信の主力になっているのが、アクティブ型と称される高コスト投信で、まず購入する店頭で3.3%の購入手数料(手数料①)を取られる。​
 

信託報酬ゼロは画期的(10年限定だが)​
 さらに保有している間、2%弱の信託報酬を毎日取られる(手数料②)。信託報酬とは、運用会社への費用と、管理する信託銀行への報酬、さらに販売した証券・銀行へのマージンから成る。手数料ゼロをうたうネット証券でも、信託報酬ゼロの所は無く、市場の動きに追随するパッシブ型でも0.1~0.3%程度は取っている。
 野村は、これすらもゼロにする。10年という期間限定だが、この間、無償でも将来、ある程度の所得に達するだろう層をつかむことに主眼を置いたのだ(2031年1月1日以降は、信託報酬は0.11%(税抜き0.10%)となる)。
 さらに高コスト投信の中には、解約時に「信託財産保留額」と称して一定手数料を徴収されるものがある(手数料③)。
 前記の高コストのアクティブ型投信では、5%前後の足枷をはめられてスタートし、解約する時は1%程度の金額を控除されるのだから、高いリターンを上げるのはかなり難しい。
 

暴落に耐久性のあるドルコスト法で積み立てNISAに開始の好機​
 しかし積み立てNISAなら、野村の商品であれば、10年間は世界の株式市場実勢をそっくり反映する。毎月、決まった日に一定の少額をコツコツと積み立てていくなら、ドルコスト法が効いて将来的には必ずリターンを生むだろう。
 ドルコスト法では、高株価の時には小数単位の株しか買えないが、現在のような武漢肺炎による一過性の大暴落時期にはたくさんの単位の株を買え、ならせば市場実勢を上回るリターンを生むことが経験的に明らかになっている。
 野村が10年間とはいえ、画期的スリーゼロ投信を発売するのは、できるだけ多くの初心者を獲得し、将来の収益につなげようということだろう。
 他社も、野村に追随するかどうか。
 手数料無料化の波が、ついに信託報酬にまで及んだのは画期的であった。

 

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