マイナス金利が世界的に当たり前の時代になって、ついにマイナス金利の住宅ローンが登場したという。
 

衝撃的! 「10年固定マイナス0.5%」の住宅ローン​
 ただ残念なことに日本ではない。マイナス金利「先進国」の1つであるデンマークである。同国3位のユスケ銀行が、このほど世界初の「10年固定マイナス0.5%」の住宅ローンを発売した(写真)。

 


 ローンの借り手は、残債が少しずつ減っていく。つまり借りているのに、お金がもらえることになる。
 なぜユスケ銀行が、こんな住宅ローンの販売を始めたのか。その秘密は、デンマークの政策金利がマイナス0.65%であることだ。銀行は、お金を抱えていると損をするのだ。
 だから預かるにも「罰金」がある。同行の大口預金をすると、年0.6%の手数料がかかる。預金者は、大口預金をすると、年々目減りしていくのだ。
 投資用はNoらしいけれど、若者は同行で住宅ローンを借り、争って不動産を買うだろう。すでに借りている人も、借り換えられればその方が得だ。今、同行の借り換え申請は、歴史的ペースで積み上がっているそうだ。
 また事業会社は、利益を預金に置こうとせず、争って税金を納めたがる。どうせ払うものなら、手元に一時も置きたくない、というわけだ。​
 

スイスではマイナスだけど、日本の超長期債はまだプラス利回り​
 日本でも、10年物国債の利回りは、一時はマイナス0.3%に接近した。
 機関投資家は、困り果てている。少しでも利回りのある国債を求め、今や40年物という超長期債まで買われ、利回りは0.1%台に沈んでいる。
 金融大国のスイスでは、残存45年債の利回りまで、マイナス圏に水没したから、日本国債40年物はまだいい方なのかもしれない。
 今や先進国で流動性のある、利子の得られる国債は、アメリカ国債くらいのものだ。そんなこんなで、利回りがマイナスの債券の残高は、世界で約17兆ドルもあるという。年初から2倍に増え、おかげで世界全体の約4分の1がマイナス債券だ。
 

​​​ソフトバンクグループ、強気の7年、年1.38%の社債発行​​
 日本では、このほどソフトバンクグループ(​写真​=汐留の本社)が個人向けに7年物の社債を4000億円発行する。条件は、7年満期で利率を1.38%である。僕にも、証券会社から「いかが?」と売り込みがあった。前回(4月に6年債を5000億円発行)の時もそうだったが、一言の元に断った。

 


 マイナス利回り債券がこれほど増えているからだろう、前回からたった5カ月しかたたないのに、条件は投資家に圧倒的に不利になっている。
 ・前回(4月)――6年満期で利率は1.64%
 ・今回(9月)――7年満期で利率は1.38%
 年限が長くなったのに、逆に利率が低くなっている。それでも、前回もそうだったが、売り出されれば、個人に奪い合いになるだろう。​​​
 

莫大な有利子負債を抱え、機関投資家は敬遠​
 ソフトバンクグループが、なぜ個人向けでこれほどの高金利の社債を出すか?
 それは、同社が過大な有利子負債(10数兆円)を抱えているため、格付けが投機的とされているからだ。投機的だと、機関投資家は社内の運用規則で購入できない。
 しかし個人向けなら、格付けなどほとんど関係ない。個人投資家には、携帯電話会社のソフトバンクの親会社という信用があるからだ。
 だから個人向けに社債を起債し、「比較的」高い利率を付けられる。
 

しかしREITの優位性は変わらず​
 しかし僕はちっとも高利回りだと思わない。だから4月に続いて今回も断った。
 例えばREITである。不動産を裏付けにしているから、よほどの不動産暴落・不況が来なければ値下がりに歯止めがかかる。それでいて、平均で年利回りは、約3.6%もある。年初から21%も価格が上がったから(昨日現在で東証REIT指数は2139.47)、一頃は4%もあった利回りは、今はそれほどに下がった。
 それでも毎日のように、買いが入り、年初来高値銘柄が続出している。
 10年物国債の利回りと比べられることが多いが、それと比べれば、4ポイント近くもREITが上回っている。だから運用難の地銀・第二地銀が買っている。
 これも世界的なマイナス利回りの時代の産物である。

 

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