27日、マレーシア、クアラルンプールで開かれたASEAN首脳会議で、スターリニスト中国が一方的に強行している南シナ海、スプラトリー諸島(南沙諸島)の岩礁埋め立てについて「深刻な懸念」が共有され、翌28日、議長声明として発表した。


不法占拠の7礁で埋め立て進む
 声明には、スターリニスト中国が南シナ海で強行する埋め立てについて「信頼を傷つけ、平和や安定を損ないかねない」と、かなり強い調子で批判している。
 これまでカンボジア、ラオスなど親中派諸国が、スターリニスト中国のスプラトリー諸島の領土化への抗議表明に抵抗していたが、これらの国も、フィリピン、ベトナムからの強い抗議姿勢と、ついには深刻な懸念を表明するまでに態度を変えたマレーシアなどの圧力で、ASEANが対中懸念に足並みを揃えた。
 スプラトリー諸島の領土化に留まらず、「軍港化」、「空軍基地化」が進む現況に焦りをつのらせるフィリピンは、自国領としているスプラトリー諸島の7つの岩礁がすでに埋め立てられ、堅固な構造物が建設されていることを、写真で公表している。


ジョンソン南礁では6階建ての堅固な建物も
 昨年2月にフィリピン空軍が撮影した空撮では、スプラトリー諸島の1つのジョンソン南礁に大量の砂が運び込まれている段階だったが、今年3月撮影の空撮写真ではジョンソン南礁に護岸が整備され、しかも埋め立ての終わった土地に6階建て前後の複数の建物も建設中だった(写真)。


ジョンソン南礁埋め立て

 この勢いでは、台風シーズン前に一部完成するだろう。これは、スプラトリー諸島海域を睨む軍港を備えた軍事基地司令部になると思われる。
 さらにその隣のファイアリー・クロス礁には、埋め立てで約3キロの細い陸地が造成されていた。ジョンソン南礁を挟んで同礁と真反対にあるスービ礁(写真)でも、同じような細い陸地の造成が進んでいる。この2カ所は、空軍機が離着陸する滑走路になるのだろう。


スービ礁埋め立て

 この他、4カ所の岩礁でスターリニスト中国による埋め立てが進んでいる。


すでに埋め立て面積は3平方キロ超
 フィリピン政府によると、スプラトリー諸島全体でスターリニスト中国が埋めた岩礁面積は3.11平方キロにも達し、これによって破壊されたサンゴ礁の損害は年1.1億ドルにも達するという。ちなみにこの面積は、ディズニーランドの約7倍である。
 サンゴ礁の破壊とは、すなわち巨大な自然破壊である。民主主義国ならとうてい許されない行為だが、独裁国では何の抑止も働かない。
 フィリピンばかりでなく、南シナ海に接するASEAN諸国が危機感をつのらせるのは当然だ。


日米2プラス2合意は当然
 時あたかも、安倍首相の訪米と合わせ、27日にニューヨークで開かれた日米両国の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、日米防衛指針の18年ぶりの改定が合意された。
 この背景には、尖閣諸島のスターリニスト中国による乗っ取り危機の他に、風雲急を告げている前記南シナ海へのスターリニスト中国の自国領土化の動きがあるのは明らかだ。
 もはやアメリカは南シナ海の航行の自由を求めて軍事プレゼンスを強められないから、日本がある程度、支援していこうというのは当然である。
 ところが朝日新聞の28日付朝刊では、1面のほぼ全部を使った「自衛隊の米軍支援拡大」と大見出しをつけた反安倍政権のプロパガンダ記事が載ったが、ここには南シナ海の「み」も触れられていない。
 スターリニスト中国にとっては、最近の普天間基地の辺野古移設への反対キャンペーンと並んで、心強い「よいしょ」記事になったであろう。


昨年の今日の日記:「南部アフリカ周遊:ヴィクトリア・フォールズ探訪記⑩;いよいよ終点、第15ポイントに;追記 アジア最貧国離陸への苦しみ」