kawanobu日記/中国=赤い帝国主義国と北朝鮮の権力継承の本格化の微妙:金正日、金ジョンウン、金敬姫 画像1

 中国が尖閣諸島沖の日本領海に接する接続水域に漁業監視船を派遣、常駐することが分かった。南シナ海でスプラトリー諸島(南沙諸島)を奪取し、南シナ海を自国の内海化した状況と同じプロセスである。まず漁船、次に他国の漁船を取り締まる漁業監視船を出し、その次は軍艦が登場するはずだ。

尖閣諸島乗っ取りの一段階進む中、沖縄の米軍基地の重要性明らかに
 今後、仮に沖縄の漁船が尖閣諸島沖の排他的経済水域で操業をしていたら、中国の監視船に拿捕される懸念が生じることになった。これを海上保安庁が阻止しようとすれば、中国は海軍の艦船を出動させるだろう。中国共産党のスターリン主義者たちは、もうその事態を想定しているものと思われる。たぶん共産党政治局常務委で尖閣諸島の実効支配化を決定済みなのだろう。
 ボケ菅が釈放させた公務執行妨害の中国人船長は、確信犯的に操船させ、衝突してきたので、ひょっとすると共産党からの密命を帯びて挑発していたのかとも考えられる。だとすると、日本側の逮捕は十分に織り込んでいたことになるが、逮捕当初の中国外務省と新華社などのわりとマイルドな対応からすると、うがちすぎかもしれない。船長の拘置延長を決めた段階で、胡錦濤一派は日本がいずれ起訴するとみなし、かねて策定中だった実効支配化のプロセスを一気に実施する意思を固めたのだろう。26日の日記でも触れたように、政治局常務委で決定した事項に違いない。
 日本は、腹をくくって自衛艦出動の準備を始めるべきだ。
 今回の危機で唯一、プラス思考できると思える要因は、沖縄のアメリカ軍基地の重要性を多くの人は認識しただろうということだ。沖縄にアメリカ軍基地がなければ、とっくに尖閣諸島は軍事占領されていたのは明らかだ。ここにヘリポートや短距離離着陸機の滑走路を建設されたとしたら、沖縄はもう終わりである。

金正日の国家私物化の完成
 ところで折しも北朝鮮で、28日、単一政党朝鮮労働党(共産党)の代表者会が開かれた。予想どおり3男の金ジョンウン(「金正銀」と書くか)の後継体制が固まった。代表者会開会の直前に、金ジョンウン本人が20代後半で人民軍大将に列せられたのだ。そればかりか金正日の実妹でジョンウンの叔母の金敬姫も、人民軍大将となった。金敬姫の夫の張成沢は北朝鮮の最高権力機関である国防委員会の副委員長に、今年6月に就任済みだ。金正日の北朝鮮国家私物化も極まれり、という人事である。
 だが何の実績も、経験もない20代後半の若者がいきなり後継者に列せられても、困難な北朝鮮を統治できない。今となっては今年3月の北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」の撃沈は、金ジョンウン「大将」の実績作りだった可能性が高いと思えるが、それもかえって国際社会で北朝鮮の立場を悪化させただけだった。

金正日の死にジョンウンの神格化が間に合うか
 
当面、金正日が重しとして帝王学を授ける一方、教室や講習施設で金ジョンウンの肖像の掲額などの個人崇拝を全国で徹底させ、金王朝のバトンタッチを図るだろう。しかし、金正日は週に2、3日ほどしか執務できないほど弱った身だ。痴呆症も現れている様子で、自分が罷免した人事を「あいつはどうした?」と言い出して復活させたりという混乱ぶりである。金ジョンウンの神格化に間に合うかどうか、怪しい。
 中国という赤い帝国主義者が、金正日の死の瞬間をじっと待っている状況で、軍歴もほとんどないのに人民軍大将の階級をにわかに授けられた若僧が統治できるとは思えない。
 朝鮮半島に対する中国の野望にも注意を怠れない(10年8月19日付日記:「迫り来る北朝鮮Xディーに備える中国とアメリカ、韓国(上):金正日、金日成、金ジョンウン、金正男」参照)。
 なお写真は、ソウル、世宗路の世宗大王の座像。背景は、復元竣工なったばかりの光化門。

昨年の今日の日記:「誰が最初にクロ鳩内閣で辞任するか;亀井静香論:許永中、石橋産業手形詐欺事件、全特」

追記 金ジョンウンが党軍事委委員会副委員長に就任
 金ジョンウンが、金正日の正式な跡目を継ぐことが明確になった。
 金ジョンウンは、昨日開かれた北朝鮮の労働党代表者会で、新たに党中央委員に選出され、さらにその直後に開かれた選出されたばかりの中央委員会総会で、新設された党軍事委員会副委員長にも抜擢された。今朝4時の、北朝鮮の朝鮮中央通信が伝えた。
 また金ジョンウンの後見役とされる叔母(金正日の実妹)の金敬姫も、党政治局員に就いたことも判明した。その夫の張成沢は、党軍事委員兼政治局員候補になった。亭主より女房が、政治的に上位になったわけで、儒教の伝統の強い北朝鮮で珍事とも言える。まさに血族政治の典型である。
 この代表者会は、金ジョンウンを後継者であることを決める大会だったことが、これで判明した。