kawanobu日記/脅した側が今や窮地に。尖閣諸島事件で、円高攻撃まで口にする中国の悪あがきの背景 画像1

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 スターリニスト国家の中国が、尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、新たな日本攻撃を企画しているようだ。日経新聞が22日付朝刊で伝えたところによると、政府直属のシンクタンク、中国社会科学院日本研究所の研究員が日経新聞記者の取材に「日本への最も有効な対抗措置は円を買い、円高に誘導することだ」と答えたという。

中国、円高誘導で経済戦争をしかける気配
 具体的には、前にも本日記で触れたように(今年7月8日付日記「日本国債を買い進む中国の不気味な思惑、超低利回り債になぜ?:ユーロ、含み損、短期債、アメリカ国債」を参照)、外貨準備高世界一の地位を利用して、ドルを円に替え、それで日本国債を大量購入することだ。日本は15日に2兆円規模の円売り・ドル買い介入で超円高の進行を一時抑えたが、これを上回る円買いを仕掛けられると、投機筋も便乗して円は暴騰する恐れが強い。
 超円高という経済戦争を仕掛け、わが国を力尽くで屈服させようとする。この攻撃の巧妙さは、積み上がる日本国債残高が政治圧力となり、何かあれば国債を売ると脅かし、日本の財政と、ひいては政治動向にも大きな影響力を与えようとする、巧妙で陰湿な策謀であることだ。

自縄自縛化に陥りつつある中国共産党首脳陣
 アメリカでわざわざ温家宝まで日本に脅し文句を口にしたほど、中国の攻撃はエスカレートしている。ちなみに中国ナンバー3の温家宝は、この問題で日本を恫喝した最高位の共産党幹部となる。次は、いよいよ党総書記の胡錦涛が脅しにかかってくる番なのか。
 しかしこの動きを見るにつけ、中国スターリニスト官僚どもの手詰まり感が浮かび上がってきていることも、興味深い。次々と高位の党官僚が脅しにかかるが、日本が動かない。すると、その度に、ことの正邪の判断のつかない中国人青年がネットで反日攻撃を激化させる。それを監視するネット警察から上部に報告されると、さらに上のレベルの党官僚が出てきて脅す――次第に示しがつかなくなり、スターリニストたちの選択範囲も狭まってきているわけだ。放置すれば、やがてそのネット攻撃の矛先の一部は共産党体制にも及ぶことになる。
 自らの行った理不尽な恫喝外交に、まさに自分たち自身が蜘蛛の巣にかすめ取られつつある格好である。さらに経済面への攻撃へとエスカレートさせれれば、必ず上海株式市場を動揺させることになる。そうなれば好調な経済に、赤信号が点る。矛を収めるに収められない状況、というのが、胡錦涛一派の現在の状況ではなかろうか。
 繰り返すが、道理のないのは独裁体制の中国にあり、日本は領海侵犯・不法操業の被害を受けているほかに海上保安庁巡視船に体当たり攻撃を受けるという公務執行妨害を受けたのだ。日本側から和解を呼びかける理屈はない。ここで妥協することは、逆に苦境に陥りつつある胡錦涛一派に塩を送ることになる。
 だからもし万一、中国から円買い攻撃を受けたとすれば、仕掛けられた経済戦争には断固として受けて立ち、人民元買い(中国は為替管理をしているので購入額には限界はあろうが)・ドル買いで防戦すべきだ。
 これなら安全保障の問題なので、アメリカも理解してくれるだろう。

明洞では日本語表示の眼鏡ショップがあちこちに
 ソウル紀行を続ける。
 日本人観光客の多い明洞(写真上)には、明洞大聖堂を見学に訪れたが、ここでよく見かけるのが、ガラスのウインドーに、日本語で「眼鏡20分で作れます」、「20%引き」と大書きした張り紙である。ソウルに出かける前に、友人から韓国では眼鏡が安く、しかもすぐ作ってくれると聞いていたが、確かにそうらしい。
 私も、明洞で日本人客に名高い眼鏡屋で眼鏡を作った。確かに値段は、日本の半額以下である。ただ前にも書いたが、乱視が混じっているのでさすがに20分で作れるとはならず、後日、日本に書留便で送られてきた。
 検眼や支払いなどで、日本語がしゃべれる接客員と話していると、うちの店はお客の95%が日本人だという。したがって接客員は、全員が日本語を話せる。話の途中でも、日本人の若い女性2人組みが店にやってきて、ブランド物のサングラスを欲しい、と言っていた。好みのサングラスをいくつかかけて気に入ったらしく、2つ買うという。2つ買うからと、値切りにきた。ま、自分も30%近く値切ったから、これがソウル流儀なのだろう。
 眼鏡ショップではからずも遭遇したように、ソウルの明洞や南大門市場、景福宮(写真下)などを歩いていると、日本人の若い女性がやたら多い。行く前は、ソウルでは韓流ブームに乗ったおばさんばかりだろうな、と予測していたが、全く違ったのは意外であった。

昨年の今日の日記:「日本が衰退し、破綻国家になる心配は杞憂か:製造業派遣、最低賃金、八ツ場ダム、円高」

追記 時事通信が22日のニューヨーク・タイムズ(電子版)を引用して流したところらよると、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に絡んで、中国政府がこのほど、日本向けのレアアース(希土類)の輸出を全面禁止したと報じた。訪米中の温家宝は21日、「日本が船長を釈放しない場合、さらなる行動を取る」と表明しており、禁輸が事実ならば、日本に強い圧力を掛けることが狙いとみられる。
 電子部品材料に不可欠のレアアースを、日本は現在9割以上を中国からの輸入に頼っている。しかも今年は、中国はレアアースの対日輸出額を昨年比4割減にすると通告していた。事実とすれば、基幹産業に必須の資源を独裁国に頼っているリスクが顕在化したと言える。