kawanobu日記/統一展望台のお土産屋;日本の為替介入は投機筋に仕掛けられた「経済戦争」に対する国家防衛戦だ 画像1

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 統一展望台の建物の中は一種の博物館のようになっていて、北朝鮮関連の物品がいろいろと展示されていた。ちょっと面白かったのは、北朝鮮の学校の教室の復元だ。正面に、金日成と金正日父子の「ご真影」が掲額され(写真上)、やがてこれに三男坊の金ジョンウンの写真が加わるのだろうか。まさに醜悪、ゲテ物である。

北朝鮮製のビールの「ぼったくり価格」
 2階だったか、北朝鮮の物産展があり、実際に北朝鮮製の物を売っている。なぜ韓国に北朝鮮の品があるのか、ガイドに聞いたら、ケソン工業団地で韓国企業の作った品だという。
 酒類も売っていて、ラベルにははっきりと「MADE IN D.P.R. KOREA」とある(写真)。ここで金を落とせば、いくぶんかは金正日の懐に入るだろうから、買うつもりは全くなかったが、それにしてもべらぼうに高い。焼酎の値段は忘れたが、北朝鮮製のビールも売っていて、小瓶が4000ウォンである。邦貨で290円くらい。ちなみにソウルのごく普通の飲食店でも、中瓶ビールがこの程度か若干安い値段である。飲食店での値段かそれ以上とは、いかに土産物であってもぼったくりだ。
 さて何とも冴えないDMZ代替のお茶濁しツアーであったが、さすがに主催者もそれだけでは気がひけたのか、次はソウル市内に戻って「戦争記念館」を案内するという。もうその時点で、12時に近く、日本人の相客は腹が空いたので明洞で下りるという。けっきょく戦争記念館に向かったのは、日本人は私1人となり、あとは欧米人3人だ(写真下)。
 戦争記念館参観は、滞在時間が1時間弱と、まさに駆け足だったが、これは意外と見応えがあった。今回見逃した板門店(台風接近で最初から中止)・第3トンネルと安重根義士記念館、さらにこの戦争記念館を見るためだけに、次回、またソウルを訪れたいと思ったほどだ。

ついに日本と欧米で為替介入
 話題は変わるが、1昨日、ボケ菅政権と日銀はついに為替市場への円売り・ドル買いの介入に踏み切った。遅すぎたが介入だったが、マーケットは代表選が終わった翌日の介入だったため虚をつかれた感じで、15日午前10時半頃に瞬時に2円近い大幅な円下落になった。政府と日銀は、東京市場に続いて、ロンドン、次いでニューヨークでも単独で介入を継続し、85円台半ばに円を押し下げた。
 為替市場への介入は6年半ぶりだったが、介入規模は2兆円ほどと過去最大規模だという。ボケ菅は為替に対しては無関心・無気力とマーケットからみなされていたが、その意外感もあってか、介入はかなり効果があったというべきだろう。代表選でボケ菅勝利が伝わると、マーケットは円買いに動き、一時82円台にまで円は買い進まれたのだから。
 メディアの中には、日本単独の介入は効果が限定的と侮る意見が強いが、それまで何をなすでもなく無策に過ごしていた政府と日銀が介入に踏み切ったことは、世界のマーケットに日本は超円高を容認しないという強力なメッセージとなった意義は大きい。
 介入しなければ、週内には80円を突破し、過去最高値をうかがう展開になっていただろう。今後も、円の押し下げ介入をためらわず実行し、少なくともバラマキスト民主党政権が発足する前の90円台に戻すことが絶対に必要だ。

投機筋に甘く見られた日本が招いた円高
 ところで海千山千のマーケットは、本当に日本の単独介入は効果がないと考えているのだろうか。日本は、これまで尖閣諸島や竹島など領土と主権のからむ問題や歴史認識の問題で世界から甘く見られていた。叩けば、強く出れば、すぐ引っ込み、譲歩をすると。その対日観は、内政経済でも同じである。円を買い漁っても、日本は何もしないと軽侮されていた。だから今回の介入も、日本単独で欧米との協調介入でないことをもって侮っているのだと思われる。
 しかしこれは、利益だけを飽くなく追求する投機筋から日本の国家利益がむし取られている、仕掛けられた「経済戦争」にほかならない。投機筋が完勝すれば、日本は工業地帯にぺんぺん草の生える荒廃地になる瀬戸際での国家防衛なのである。ボケ菅と日銀は、そう覚悟し、一歩も引くべきではない。
 20年以上前のように、日本が好景気に沸き、失業者は事実上おらず、企業は国内設備投資をどんどん進め、輸出を増やし、大儲けし、物価も上がり、金利も高くなっている時代であれば、円高は、インフレを抑制し、景気過熱を調整し、貿易摩擦を緩和する特効薬として日本経済に望ましかった。円の価値も上がるので、海外旅行者やブランド志向の女性たちにもハッピーだった。

仕掛けられた「経済戦争」に我々は敗れるわけにはいかない
 しかし、今、巨額の財政赤字を抱え、失業率は5%半ば(実質は10%に近いというのが実感だ)で、デフレに陥るという大不況の最中である。円が買われる理由は、一片たりともない。EUもアメリカも経済不振だから、まだましな日本が消去法的に買われているというのは、単なる後講釈であり、経済不振は対GDP比200%近い財政赤字を抱えているだけ日本の方がはるかに重症である。超円高は、高熱を出している病人から布団を剥ぎ取るほどの「とどめ」の一撃である。
 それほどファンダメンタルズの悪い日本の円が世界で買われるのは、単に投機筋が日本の政権と中央銀行の弱さ、統治能力の無さを甘く見ているからに他ならない。世界の投機筋みんなが、そう考えているのだから(今の円高はバブル円高だ)、儲けるチャンスだとばかり円買いを仕掛けてきたのは当然だろう。
 だから、日本は経済主権を持ち、統治能力もあるまともな国だと投機筋に思い知らせるには、円売り・ドル買いはもはや避けられなかったのだ。
 国家・国民を投機筋の「侵略」から防衛する経済戦争に、我々は敗れるわけにはいかないのである。

昨年の今日の日記:「氷河期のヨーロッパ現生人類は、布の服を着ていた:毛皮、繊維、ジュジュアナ洞窟、グルジア」