kawanobu日記/暑い夏を象徴したソウルへの台風7号の上陸と1週間後の台風9号の本土上陸:小氷期、地球温暖化 画像1

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 昨日、東京は朝から雨で、特に午後からは台風9号の運んできた雨雲がかかり豪雨となった。東京にとって1カ月ぶりの恵みの降雨だったが、それは豪雨となったのはいささか度を超した。なお台風9号は、今年初めての本土上陸台風となった。

強すぎる太平洋高気圧
 ソウル2日目の9月2日にも、訪問していたソウルは台風7号に直撃された。「雨男」らしい巡り合わせだが、その日の早朝、ちょっとだけ朝の散歩をしようと外に出ると、とてもそんな状況ではない。ただ幸いにも、高層ビル群に風を遮られたのか、都心部では目立った被害はなかった。
 むしろ被害を受けたのは、この日、朝からツアーに参加したDMZ(非武装地帯)と第3トンネル観光である。このツアーは、臨戦態勢の北朝鮮国境線を訪れるので、個人での訪問は認められないのだ。出発してほどなく、英語スピーカーの韓国人女性ガイドの携帯が鳴った。第3トンネルが台風被害で停電になり、入場禁止になったという。
 その顛末はまた後日にするとして、ソウルが台風に襲われたのは、今年の日本が異常に暑いことと関連する。太平洋高気圧の勢力が強く、日本列島にキャップをかぶせたようにガードしているので、通常ならこの時期、沖縄周辺で北東に進路を変える台風が、方向転換できないのだ。台風は、その高気圧の縁を回るように北上を続け、黄海でやっと偏西風に乗って方向転換した。そこでソウルが直撃された。

タイのバンコク並みの暑さ
 それから約1週間、厳しい残暑は続いたが、ようやく太平洋高気圧も弱まる気配を見せ始めた。そのため台風9号の転換点は7号より南となり、朝鮮海峡を東進して福井県に上陸したのだ。
 実際、今夏は異常に暑い。私の母に聞くと、自分が子どもの頃は、こんなに暑くはなかったという。夜は涼しく、扇風機すら不要だったそうだ(というか、貧しかったから買えなかったのだが)。
 帰国して、たまった新聞を読んでいると、気象庁発表の酷暑の記録の記事が目につく。6月~8月の3カ月間の平均気温は、1898(明治31)年に統計を取り始めて以来、過去113年で最高記録となったという。平均気温は、都市化の影響の少ない地方でのもので比べても、8月は全国平均で2.25℃も高かった。
 都市化の影響が顕著な東京では、8月の平均気温は29.6℃だった(編年比2.5℃高)。これでは熱帯夜が続くわけだ。この8月の平均気温は、熱帯のタイ、バンコクよりも高いという。9月になっても猛暑は持続し、7日も35℃を越える猛暑日となり、95年の年間13日に並んだ。

暑すぎた気候で水不足は免れる
 ただ皮肉にも、この都市化気候のために、この夏、東京は水不足を免れた。これほど雨の降らない、猛暑の日が続くと、水の使用量はうなぎ登りとなり、NHKあたりが金切り声で節水を呼びかける。ところが今年は、雨が降らず(ツツジなど乾燥に弱い植樹は枯れている)記録的な酷暑なのに、利根川上流のダムは満杯に近いのだ。
 その理由は、利根川の水を集める上流域の群馬、栃木、特に北部の山岳部に、連日のように激しい夕立が見舞ったからだ。これは東京の上空を通ってきた湿気をたっぷり含んだ空気が、関東北部の山岳部近くで冷やされ、積乱雲が発達したためだ。降った雨は、森に蓄えられ、少しずつ大河に流れ込み、ダムに水を補給し続けた。
 さて113年ぶりの酷暑の夏というが、気象観測の始まる前はどうだったのか。

小氷期前の鎌倉時代は暑かったのか?
 江戸時代や戦国時代は、地球は小氷期にあった。したがって江戸時代でも、このような暑さはなかったはずだ。でなければ、今連日、猛暑日の続く大阪に、桃山時代の秀吉が大阪城を築城しようとは思わなかっただろう。
 小氷期より前の鎌倉時代や室町前期に、このような高温期があったのかどうか、はっきりしない。しかし古記録で「暑さにあたって死んだ」という記録はないようだから、そうしたことはなかったと思われる。
 俗っぽい言い方ながら、やはり地球温暖化なのだろう。
 気候の波動は、短期的、中期的、長期的に分けられる。短期的には今は今世紀に入って始まった冷涼期に入っているはずだが、その時期は終わったのか、中休みなのか、来年以降の夏を迎えないと分からない。

長期的にはそろそろ氷期の入り口だが
 中期的には前記の小氷期が終わって高温期に入っていることは間違いない。これをもって、一部の論者は、地球温暖化の二酸化炭素原因説を退ける。ただ一部の論者が主張する客観的、合理的データはないと判断しているので、二酸化炭素原因説は揺るがないと考える。むしろ小氷期が終わった上に二酸化炭素によるグリーンハウス効果が相乗され、世界的な高温化が起こっていると考えた方がいい。
 長期的には、約1.5万年間続く間氷期と約7.5万年間の氷期のサイクルがあり、現在は1.1万年前から始まったステージ1の間氷期に当たる。地球古気候史に照らせば地球はそろそろ次の氷期に入り始めてもいい頃だ。
 しかし人為的効果で、私はもう氷期は来ないのではないか、と悲観している。
 この夏の、今も続く酷暑は、いつの時期に当たるのか、まだ我々には判断できない
 写真は、上から台風9号に襲われて倒木した南山公園の木、統一展望台の倒れた案内板、下は増水したイムジン川の向こうに煙る北朝鮮領。山ははげ山で、ショーウインドウ用の3階建て住宅が見えるが、いくつかは「はりぼて」らしく、夜も灯りがつかないという。

昨年の今日の日記:「知日派ジェラルド・カーティス教授の民主党観の示すアメリカ政学界:『代議士の誕生』、国際治安支援部隊、ISAF」