kawanobu日記/軽井沢紀行②:追分から中軽井沢へ;100歳超老人「幽霊」で人口統計の国際的信用失墜 画像1

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 一里塚のあったのは、軽井沢西部小学校前の土手上だった。いつの間にか旧中山道は国道18号に吸収されていて、トラックなどの排ガスを浴びて歩くはめになっていた。同小前は交差点にもなっていて、表示を見ると、国道を横断し右手に行けば、しなの鉄道信濃追分駅へ行けるようだった。汗はふき出すものの余力はまだ十分なので、中軽井沢目指して、さらに東に向かう。

◎中軽井沢の別荘地
 数分歩くと、借宿という昔ながらの地名の交差点に出た。標高1003mという表示も、出ている(写真上)。いよいよ軽井沢らしくなってきたが、それからさらに道は遠いのであった。
 上ノ原交差点にさしかかった時はすでにお昼頃で、2時間は歩いたことになる。地図を見ると、ここを左折して北上すると、中軽井沢の比較的新しい別荘地を通って、星野に行けるようだ。そこで昼食をとるべく、最後の一踏ん張りで緩やかな坂道を登った。途中、「長倉の牧」という平安時代の遺跡を通過した(写真中)。
 この通りは、それまでの国道18号とは別天地だった。深閑として、道路の両側に広々とした別荘地と豪華な建物が続く(写真下)。そこで驚いたのは、後から見ると実はまだ早かった。旧軽井沢は、もっと凄かったのだから。

着ていたシャツは汗でびしょ濡れ
 田崎美術館を左に見て、突き当たって右折すると、もう12時を過ぎている。混雑しない前にレストランに入りたかったのだが、途中、めぼしい飲食店はなかった。別荘地の所々に店を開いているのはカフェで、とても腹の足しにはならない。
 そこで頑張って、星野エリアのレストラン「村民食堂」まで頑張った。そこは、天然温泉(トンボの湯)や湯川での散策、国設「野鳥の森」もある。けっこう込むことを覚悟して、村民食堂にたどりつくと、やはりウエーティングであった。疲労していたし、いっぺんに汗がまたふき出してきたので、少し待たされるくらいがちょうどよい。着ていた半袖シャツは、汗で全身に水をかぶったようにびしょびしょになっていた。たっぷり10キロは歩いた計算だ。
 昼のビールがうまそうである。

存在しなかった超高齢者
 一泊二日で軽井沢に行っている間に、足立区の戸籍上111歳の男性死が意外な広がりを見せてきた。全国各地で、100歳以上の老人が実は所在が確認されていない例が報道されるようになっていた。
 つい先日、「世界一の長寿国」と発表した矢先に、日本の人口統計に重要な疑義が出される事態になった。さっそく韓国、イタリアなどのメディアは、世界一の長寿国は捏造されたものだというニュアンスの報道をしているという。戸籍制度が整っている日本の人口統計は、国際的には信用を失ったと言えるだろう。
 メディアの中には、識者に「社会的結びつきが失われたため」というしたり顔の解説を紹介しているところもあるが、都市化した先進国なら村落共同体的な見守りなど失われているのは当然であり、ピンぼけもいいところだ。アメリカだった孤独死は多い。
 問題は、次の2つがあるのではないか。
 悪意をもって死亡届をしない連中が世の中にはかなり多いということ、そして行政はそれを想定したのかいなかったのか知らないが、全くお役所仕事で生存確認をしていなかったことだ。100歳などの区切りのお祝い金を口座振り込みする自治体まであるそうだから、お役所仕事も極まれり、である。悪意を持つ者は、常にお役所仕事の隙を突いて不当利得をむさぼる。

遺族年金を不法に受給して隠匿
 行き過ぎた福祉社会の隙間を狙って、悪意をもって死者を届けないことによる利得は意外に多いことが、今回の事例で判明した。
 発端となった足立区の111歳の男性は、すでに30年以上前に死亡していたのに、区に死亡届は出されなかった。この間、本人名の老齢年金が給付され、2004年からは男性の教師をしていた妻の遺族共済年金が、男性宛に給付されていた。本来なら給付されない死者の口座に振り込まれた受給総額は約950万円にのぼり、このうち610万円が引き出されていた。引き出した金の一部は、貸金庫に隠したと男性の孫はメディアの取材に語った。
 この間、区のお祝い金や品物は、家族が受け取っていた。
 これは、我々の税金と保険料の詐欺、である。それを漫然として見過ごしていた足立区は、詐欺の幇助に当たるとも言える。
 遺体を火葬もせず放置したことは、死体遺棄罪にも当たるのではないか。
 司直は、2度とこうした不届き者を出さないために、厳重な処分を望む。

悪意の死亡無届けが日本の人口統計の国際的信用を損ねる愚
 次いで明らかになった杉並区の113歳の女性については、子ども3人がいずれも行方を知らないと言っているという。それならその女性は、どこに行ったのか。自然死したまま、病院での死亡宣告も受けず、火葬もされず、人知れずどこかに投棄されたのか。
 この女性のとうに死亡した夫は、都の職員だった。したがってこの女性には、実に50年間にもわたって遺族扶助金が支払われていた。その総額は数千万円にものぼるという。
 いいかげんなお役所のために、悪意を持つ輩は、我々の税金や保険料を食い物にするという図式である。死亡届を出されなければ確認のしようがない、という役人の言い訳は、公金を預かる役所の一員として無責任の一語に尽きる。地べたをはいずり回っても裏付け調査し、確認できなければ職権で住民基本台帳抹消を行えばよい。そうすれば、誰の手に渡ったか分からない年金や「お祝い金」は、根絶できるだろう。
 おそらくこの2例は、氷山の一角である。
 それ以上に、「長寿世界一」の看板は世界的に傷つき、日本の人口統計の信用性を失ったことは大きいだろう。官民ともになれ合った一部の不心得者の所行で、全体の統計は一気に信頼されなくなるのである。

昨年の今日の日記:「今夏の甲子園は、さながら私立野球学校全国大会:佐賀北、八千代東」