kawanobu日記/先進国社会主義を克服しなければいけないこれだけの理由;スウェーデン幻想:福祉国家 画像1

kawanobu日記/先進国社会主義を克服しなければいけないこれだけの理由;スウェーデン幻想:福祉国家 画像2


 衆参、地方選挙で連戦連敗を重ね、選挙の度に議席を減らしてきた社民党の衰退に、いよいよ拍車がかかってきた。辻元清美の離党を機に、党内は福島瑞穂派対反福島派の対決がヒートアップしている。
 福島は、先の参院選で自分も含めて比例区2議席しか当選されられなかったので、禁断の木の実=与党のうま味を知ってしまった連中には、展望なき野党暮らしはまっぴらだという心境に陥っているだろう。分からなくはないが。

とうに終わった社民党の歴史的役割
 ただ酷薄な言い方をすれば、社民党の歴史的役割は、ソ連崩壊と米ソ冷戦の終結で、とうに終わったのである。
 ソ連を初めとする、中国、北朝鮮などのスターリン主義国家は、当時は社会党と名乗っていたが、党内に反ソ、反中など様々な潮流を抱えていようと、ともあれ日本国内の代弁者である社会党を必要としていた。ところがソ連は崩壊し、中国は民主党や自民党内親中派とパイプを築き、北朝鮮は日本国民から嫌悪されている。代弁すべき国家はなくなったのだから、とっくに解散して然るべきである。なお現存するのは、老人層を中心とした一定の旧冷戦思考の連中が、今も健在だからだ。
 そもそも高度に発達し、価値観が多様化した先進国に、社会主義政党など必要はない。むしろ存在することによって、常に福祉、平和と言いつのることの不都合さの方が大きい。

福祉国家とは公務員のための国のこと
 福祉とは、実は社民党やバラマキスト民主党自身のためにある。
 福祉国家とは、様々な分野に公的関与が肥大化した国家だ。ソ連のような旧社会主義国家が典型例だが、何から何まで国家が決め、すべてが公務員である労働者は40時間しか働かない。個人の独創と意欲は排される。当然、非能率と官僚主義の、度し難い体制が出来上がり、やがて朽ち果てる。
 社民党やバラマキスト民主党が目指すのは、その中で「労働者の権利」を主張し、ぬくぬくと甘い汁を吸い続けたいということに尽きる。その意味で労組は、便利な道具となる。社民党やバラマキスト民主党に構造改革を期待できないのは、当然だ。
 資本主義国家でも、例えばギリシャのように公的関与が肥大化した国家は、破綻まぎわになっても、なかなか立ち直れない。国民の1割(全労働者の25%)が公務員のために、政府が緊縮財政=福祉水準切り下げを目指すと、街頭を占拠するデモを組織し、妨害を図る。皮肉にも、ギリシャの政権政党である「全ギリシャ社会主義運動」が、支持基盤の労組の妨害をはねのけて財政再建に乗り出さざるをえなくなったことに、社会主義政党の限界、現代世界での存在の無意味さが表れている。

公共保育園は無資格者がただ「預かる」だけ
 ところで福祉国家と言うと、誰もが目標とすべき国と信じられている北欧スウェーデン(写真上=首都ストックホルムの市街地)も、実際に暮らす人には天国とは無縁のようである。
 7月21日付朝日新聞「声」欄(16面)に、「フス恵美子」という方が寄せた投書が掲載されていた(写真下=近くに公共図書館がある方は、嘘偽りでないことを確認されたい)。
 39歳、スウェーデン、小学校教員とあるから、スウェーデンで結婚し、教員となった日本人なのだろう。教員だから公務員だが、その人が、冒頭いきなり「毎年一時帰国するたびに、日本で、福祉大国の理想郷としてスウェーデンが語られることを苦々しく思っています」と書き出している。
 税金が高いことは誰でも知っているが、それに見合った「高福祉」が、実態とかなり異なるという内容なのだ。就学前の「幼児教育」は存在せず、大多数の公共保育園は、ただ「預かる」だけだという。無資格者が、数多く働いている。明記されていないが、これは外国人労働者のことだろう。

月5万円のパート収入にも課税
 老後も安泰だから貯蓄不要、というのも、誤った情報で、当てにすべき年金は、物価高や付加価値税の高さ(リブパブリ注 25%)から、十分な額ではないという。銀行は、「将来、年金では暮らせません。若いうちに貯蓄しましょう」と呼びかけているそうだ。その年金にも所得税がかけられる。
 しかし、月5万円のパート収入ですら3分の1を税金で持って行かれる(!)。付加価値税は高いのは言うまでもないが、住居・光熱費・医療費・保育料も高い。普通の家庭では、そのために貯蓄すべき金が残らない仕組みなのだという。
 そして多くの主婦はフルタイムで働くから、母親は疲れ切っており、夕食は手間をかけられないので冷凍物ばかり、となる。将来の明るい展望もなく、若者は高い失業率のあおりで職に就けず、麻薬や性病(そう言えばフリーセックスの国として名高い)、犯罪が蔓延しているという。最後の決め言葉は「これが理想郷でしょうか」。
 日本に一時帰国できる日本育ちだから、彼我の比較ができる。スウェーデンの、それが実態なのだろう。

出来上がった民主的社会主義の克服は極めて困難
 ちなみにこのような肥大化した社会主義的「福祉」国家は、なまじ民主主義国であるために、改革はできない仕組みになっている。
 福祉の恩恵を受けている層と肥大化した国家組織に寄生する国家公務員がたっぷりといるから、彼らが選挙では多数派を形成する。旧ソ連のように暴力的な支配をする非民主主義国なら民衆叛乱で打倒されるが、民主主義国では政府の暴力的打倒は違法であり、政権交代は選挙を通じてとなるから、スウェーデン的社会制度は決して転覆されない。
 いったんこうした巨大政府、公務員国家を作ってしまうと、寄生する層が過半数を占めているから、もう蟻地獄の罠から抜けられないのである。
 バラマキスト民主党の政権を一刻も早く抜け出さなければ行けない、これが理由の1つである。

昨年の今日の日記:「江戸東京博の発掘展を観に行く:大極殿、埴輪、ジオラマ、記録保存」