kawanobu日記/友人の地中海クルージングで知ったヨーロッパの治安悪化:クリスタル・セレニティ、ドレスコード 画像1

kawanobu日記/友人の地中海クルージングで知ったヨーロッパの治安悪化:クリスタル・セレニティ、ドレスコード 画像2


kawanobu日記/友人の地中海クルージングで知ったヨーロッパの治安悪化:クリスタル・セレニティ、ドレスコード 画像3


 旧友が何を勘違いしたか、6万トンの豪華客船「クリスタル・セレニティ」号(真上)に載って、地中海クルージングをしてきたという。乗船料がいくらかは聞いていないが、日本からギリシャまで飛行機で飛び、アテネで乗船して、ボスポラス海峡を通過してオデッサ(ウクライナ)、ヤルタ、イスタンブール、西トルコ、シチリア島、ナポリ、ローマという2週間の船旅だったらしい。奥様と一緒だったそうだから、2人で300万円以上は払ったのではないか。さすが医者の身分である。

フォーマルの時はタキシード着用なのだそうだが
 豪華客船の乗客は約1000人もいて、3食が自身「初めて」という豪華食事、客室は1日3回も清掃してくれ、夜はダンス、カジノ、ショー、映画とエンターテインメントてんこ盛りのクルージングだったという。そうそう誰でも体験できない。
 自らは「貧乏人」と謙遜していたが、私立病院の院長でこそ行けたクルージングである。貧乏人と言ったのは、クリスタル・セレニティ号での中でのことだ。利用した部屋のランクは、下から2番目で、最上客室には運転手付きの自家用車とともに乗り込むVIPもいるそうだから。
 痩せたりとはいえ、日本人も多かったらしく、しかも未亡人/独身の女性が圧倒的だったとか(男は何をしているのだろうか?)。彼女たちは、夜になると、ドレスコードに従った夜会服でダンスに興じていたという。友人は、すっかり毒気を抜かれたようだ。
 ドレスコードも半端でなく、船長命令の「フォーマル」の時は、男性はタキシード、女性は夜会服かロングドレス、ないしは訪問着着用なのだそうだ。ジーンズやチノパン、Tシャツはもってのほか、だ。タキシードを持ち合わせていなかった友人は、ダークスーツに蝶ネクタイでお目こぼし願ったという。およそ普段の服装と似つかしくないので、そのくだりを聞いて、笑ってしまった。

乗船地のアテネでスリに遭う
 友人は、前述のように医者なのだが、それは副業のようなもので、斯界では名の知られた考古学者でもある。であるから、クリスタル・セレニティのクルージングは、寝ている間にホテルが遺跡や博物館のある寄港地に運んでくれるもの、と誤解していたらしい。
 そんな「変わり者」なので、寄港地では博物館・遺跡巡りで目一杯歩き回り、夕方疲れ果てて船に帰り、パーティーなど盛りだくさんのエンターテインメントもそこそこに部屋に帰る友人は、異人種視されたという。
 その友人は、かつて若き日、苛酷な病院勤務の直前の休暇に、安宿に泊まって約50日間もヨーロッパを放浪したバックパッカーのセミプロなのだが、今回は、寄港地の治安の悪さに一驚したという。
 まず乗船地のアテネでスリに遭い、クレジットカードとユーロ現金の入った財布を盗まれた。カード会社に利用停止する電話のために半日をとられ、アテネではとうとう市街地観光を逸したという。あのアクロポリスすら行けなかったとは、お気の毒!

「独り歩きするのなら退職警官を護衛に雇え」
 友人によると、アテネ以外も、ローマとスペインが特に危ないという。アテネ、ローマ、マドリッド(写真中=マヨール広場)、バルセロナ(写真下=サグラダ・ファミリア)は、いずれも独り歩きした街だが、1度も被害に遭わなかっただけにピンとこない。
 アテネでスリに遭ったのは、ギリシャ危機の頃だから、治安の悪化が急速に進んでいるらしい。友人曰く、「独り歩きするのなら退職警官を護衛に雇え」。カメラと地図を片手にローマを1週間もぶらついたことは、もはや昔話なのか。
 ヨーロッパの街も、先日取り上げた南アフリカ並みに近づきつつあるのかもしれない。
 なおクルージングというのは、はまりこむもののようで、友人はまた来年も行く、と言っている。今度は寄港地で殺されないように、気をつけないと。

昨年の今日の日記:休載