kawanobu日記/北朝鮮人民軍兵士の脱北者続出から見えた金正日の軍の崩壊:デノミ、哨戒艦、国連安保理 画像1

 北朝鮮による韓国哨戒艦「天安」の魚雷攻撃に対する国連安保理の対応は、中国の抵抗でついに北朝鮮の名指しを避けた上での「攻撃非難」の議長声明で終わった。攻撃主体が誰なのかを特定しない微温的な内容で、しかも拘束力のない議長声明であれば、北朝鮮が直後に「我々の勝利」と声明を発表したのも頷ける。

人民軍兵士も脱北
 朝鮮戦争休戦以来、最多の犠牲者を出した攻撃だというのに、国際社会はこんな生ぬるい対応しかできなかった。いつでも再び攻撃をしかけるフリーハンドを金正日に与えたに等しいが、北朝鮮非難を妨害した胡錦涛はその時、その非難を一身に浴びるだろう。よく覚えておくがよい。
 さてその北朝鮮だが、経済制裁がかなり効いているようで、中朝国境を越えて中国に逃げてきた脱北者の中に最近、北朝鮮人民軍の兵士が目立っているという。中国当局に拘束された北朝鮮兵の多くは食料の不足などを脱北の主な理由としている。韓国軍哨戒艦沈没事件をめぐり朝鮮半島が緊迫する中で、戦争への恐怖を口にする者もいるという。北朝鮮国内の緊張ぶりがうかがえる。
 本来なら「先軍政治」を掲げる北朝鮮では兵士は一般庶民よりもはるかに優遇されている。だから以前は、めったに脱北などしなかった。中国当局に捕まり、北朝鮮に送還された場合、軍籍にあるために銃殺を含む厳罰が待っている。どのみち餓死が免れず、「鉄鎖以外に失う物のない」庶民に比べて、リスクが大きすぎるのだ。
 しかし、昨年11月末からのデノミの影響で経済が混乱してから兵士の脱北が目立ち始めた。哨戒艦沈没事件で韓国との関係が極度に悪化した5月以降は、さらに増えているという。

上級に搾取されて下級兵士にまで肉や魚は回らない腐敗した軍
 中朝国境地帯のある地区では、5月だけで5人以上の北朝鮮兵が山林などで拘束されたという。いずれも私服を着て、ガリガリに痩せており、年齢は10代から30代までさまざまだ。中朝国境全体では、相当数の北朝鮮兵が逃げ込んでいるとみられている。
 兵士たちの多くは、十分な食事が支給されないことに不満を募らせている。また、北朝鮮軍は戦闘準備態勢となっている模様で、兵士たちは異常な雰囲気を感じ取っている。このため、戦争への恐怖や「戦争反対」を訴える兵士もいるという。拘束された兵士は、強制送還されたといい、北朝鮮で銃殺も含む厳しい処罰を下される可能性が高い。
 脱北した兵士によると、軍は極度に腐敗していて、国家からの支給品は上部組織から下部組織に渡る間に次々と着服され、末端の兵士が受け取る支給品はほんのわずかで、主食はトウモロコシの粉で作っためんであり、肉や魚は少なく栄養状態はひどい(写真=板門店、非武装地帯の警備をする北朝鮮人民軍兵士)。
 この情報は、確実に韓国もつかんでいるはずで、万一、北朝鮮から戦端が開かれても、簡単に反撃、殲滅できると見ているはずだ。
 胡錦涛は、だから金正日を暴走させないために、安保理の名指し非難に抵抗したのだろう。

カップ麺1杯で完オチする北朝鮮派遣の高級スパイ
 最近、脱北者を装い、タイから韓国に入り込んだ北朝鮮のスパイ2人が韓国当局に簡単に捕まり、しかもあっけなくゲロったのは、取調中に食べさせられたカップ麺だったという。一口食べただけで、その美味さに驚き、北朝鮮当局の教育の嘘を見抜いて、スパイを認めたそうだ。彼らも軍籍にあり、スパイ養成所では将校待遇だった。それほど優遇されていたはずなのに、カップ麺1杯で完オチしてしまう。
 北朝鮮人民軍とは、もはや張り子の虎に等しいが、金正日がおもちゃにしている核兵器と中・短距離ミサイルを後生大事にしていることは、これで納得できる。核・ミサイル武装を解除されれば、金正日は裸同然にされるからだ。
 北朝鮮の弱さは、想像以上のようである。

昨年の今日の日記:「全身骨格の全貌判明、ドイツ産出の最古の霊長類化石『イダ』:メッセル・ピット、火口湖、暁新世」

追記 参院選を受けて、共同通信社が12、13両日に実施した全国緊急電話世論調査で、ボケ菅内閣の支持率は急落し36.3%となった。発足直後の前回6月調査では61.5%だったから、支持率はほぼ半減である。不支持率は52.2%と過半数を超えた。公明党の選挙スローガンではないが、ボケ菅内閣にレッドカードが突きつけられた。
 与党が過半数割れした参院選の結果に関しては「よかった」が29.4%で、「よくなかった」の19.8%を上回った。「どちらともいえない」は49.2%を占め、有権者はまだ自らの判断を消化できていないようだ。
 ただ政党支持率はバラマキスト民主党が31.7%で依然として第1党だが、自民党が27.6%と急追している。ちなみにみんなの党は16.3%。
 発足1カ月余で支持率が3割台に落ち、不支持率が5割を超えたとなれば、この内閣は年末までもたないのはほぼ確実な状況だ。