やはり石破ショック、である。先週末9月27日金曜日の午後3時半頃、自民党総裁選決選投票で高市早苗氏に石破茂が逆転勝利すると、マーケットは2円前後の円高に触れ、翌日のCMIの日経平均先物は、約2300円もの大幅下げとなった。
マーケットは、金融課税強化や法人税増税をちらつかせる石破を歓迎しなかった。それを受けた週明けの東京市場も1910円安と、過去5番目の全面下げとなった(翌日10月1日は732円高の多少の反発となった)。
閣僚19人のうち6人も推薦人から起用
2021年の岸田ショックの再来である。2代続いて、マーケットから歓迎されない船出となった。ただ岸田は当初から掲げた金融課税強化を就任後封印し、新NISAを始めるなど、マーケットと一般投資家に寄り添う姿勢に変わり、7月11日にはハブル期最高値をはるかに超える4万2224円の史上最高をつけた。石破の登場は、これに水を指すものとなった(短期的には)。
そして、9月30日には、党役員人事(下の写真の上)、10月1日には閣僚人事(下の写真の下)を決めた。露骨な論功行賞人事と言える。19人の閣僚のうち6人までを総裁選の自身の推薦人が占めた。特に陣営の事務総長を務めた赤沢亮正を経済財政・再生相に、平将明をデジタル相に充てた。2人とも、先細りになった石破派が21年に解散されるまで、最後まで同派に残った「忠臣」だ。
保守派は徹底排除
特徴は、保守派の露骨な排除である。決選投票で戦った高市早苗氏を断られることを承知で党総務会長のポストを打診した。総裁選で名実ともに党ナンバー2に上り詰めた高市氏が党総務会長などの軽いポストを受け入れるわけはないと知ってのことだ(写真=1回目投票結果)。
さらに1回目投票で議員票で4位と健闘した小林鷹之氏(上掲写真)には、これも断られることを承知で党広報本部長を打診して、固辞された。次の総裁をとも飛躍する自負の小林氏に非礼とも思える軽職で、かくて総裁選党直後に発言した「出馬した8人の方々にはぜひ重職に就いていただきたい」という言葉は、早々と食言となった。
2人とも、リベラル石破の危険性を察知し、早々と距離を置いたかたちだ。
肌合いの合わない茂木敏充氏も干された。
旧安倍派がゼロ、そして札付き左派の村上誠一郎を総務相に起用
身内を重用した半面、徹底的に干されたのは保守派の多い旧安倍派で、党役員にも閣僚にも1人も起用されなかった。これほど敵意が露わになった内閣人事を、僕は記憶にない。
その一方、かつて安倍首相を「国賊」と中傷し、党役職1年停止処分を受けた札付きの左派、村上誠一郎を総務相に就けた。ちなみに村上は、石破の推薦人20人に名を連ねたから、その論功行賞人事である。
これほど偏頗な人事は、長く政界を見てきた僕にも記憶にない。
早くもささやかれる石破政権短命説
はっきりと不快な態度を示したのは、最高顧問に棚上げされた麻生太郎氏だ。30日の臨時総務会後に行われた石破を囲んだ新党役員の記念撮影で、麻生氏は周囲が引き留めるのを振り切って退席した。石破と一緒に写真に収まることを明確に拒否した形だ(写真)。
党総裁選で明らかになったように、議員票で2位の高市氏(72票)、4位の小林氏(41票)、5位の茂木氏(34票)の計147票と過半数を石破は敵に回した。そして麻生氏の退席、さらに上川陽子氏(同23票)、河野太郎氏(22票)を閣外への追い出し。
一方で、強力に支える議員集団の不在。
早くも党内外から、石破政権の短命説が出る所以だ。例えば27日に予定される総選挙、そして来年7月に予定される参院選などではかばかしい成果を出せなければ、一気に退陣の火の手があがるだろう。
昨年の今日の日記:「記者の前で処理水飲んでみせた元民主党政権政務官の園田康博氏を『癌死』フェイクニュースまで使ったスターリニスト中国の卑劣な策謀」