カラスは黒い、と決まっている。どことなく不気味だ。だからだろう、例えばスターリン時代のソ連では、反対派知識人を自宅からしょっ引くための、深夜に街中を走る移送車を「黒ガラス(チョールヌイ・ヴォロン:Чёрный ворон)」と呼んだ。市民は、いつ自宅玄関前に「黒ガラス」が駐められるかと恐れた。


◎知恵が発達するも不気味さがネガティブな印象

 カラスは、また路上に放置されたゴミ袋を漁って辺りを汚くさせるし(写真)、これからの季節、繁殖期になると、巣を守るために市街地を歩く人を頭上から襲ったりする。かなりの困りものだ。

 


 しかしカラスは知能が高く、自動車に堅い種を轢かせたりもする。特に南太平洋ニューカレドニア島に分布するカレドニアガラスは、小枝や葉を加工して「道具」を作り、木の穴の中にいる虫を捕まえることで有名だ(写真)。

 

 

 ただ多くの人たちのカラスに抱く印象は、ネガティブなものだ。

 その理由の大部分は、その真っ黒い姿の不気味さにあるだろう。世界中にカラスは500種ほどいるらしいが、ほとんど例外なく真っ黒だ。稀に遺伝子の突然変異や色素の異常によって「白いカラス」が出来ることがあるというが、非常に珍しく、数万羽に1羽程度の確率でしか現れないと言われている(写真)。

 


◎スイッチ役の「MC1R」受容体がオンのまま

 では、カラスの羽の色はなぜ黒いのだろう。

 カラスの黒い羽は、黒さを生み出す「スイッチ」役の「MC1R」受容体が、ホルモンの刺激無しでも高活性を保ち、黒い色素(ユーメラニン)を作り続ける「止まらないスイッチ」の役割を果たしているためであることを、このほど岡山大学の研究グルーブが発見した。

 鳥の羽の色や動物の体色は、主に黒色系のユーメラニンと赤褐色系のフェオメラニンのバランスで決まる。このバランスを調整するのがMC1Rだ。いわば「色の切り替えスイッチ」である。通常はホルモン刺激によって一時的にオンになり、ユーメラニンの合成を促す。


◎色素のユーメラニンが作られ続けて

 研究グループは、ハシブトガラスのMC1Rを培養細胞で詳細に解析した結果、ホルモンが無くても高い活性を保ち、ホルモン刺激への応答が弱いことが判明した。つまりカラスでは、このスイッチ自体が常にオンの状態にあり、ユーメラニンが作られ続けていると考える。さらに、マウスやニワトリでは1アミノ酸置換で生じる「止まらないスイッチ」が知られているが、カラスでは複数のアミノ酸変化の組み合わせで生じている可能性が示されたという。

 この研究は、野生の黒いカラスでこの仕組みを実験的に示した初めての成果だ。カラスの黒さの謎に新たな答えを与えるとともに、生物の色の収斂進化に関する重要な発見と言えるだろう。

 研究成果は、2026年4月6日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」オンライン版に掲載された。


昨年の今日の日記:休載

 

 ネアンデルタール人の骨は、フランスなどのヨーロッパとイスラエル、イラクなど中東で合わせると数百体に及ぶ。わずかの例外を除き、ネアンデルタール人は死者を洞窟に「埋めた」から、肉食獣の死肉漁りにも遭わず、風化も免れたためだ(これを現生人類ホモ・サピエンスのような「埋葬」と言うには躊躇がある)。

 ただ骨がまだ軟骨に近い幼体は、それでも残りにくい。シリアのデデリエ1号、2号、そしてイスラエルのアムッド7号の幼児骨化石は希有な例だ。

 そのうちアムッド7号の子どもの化石を用いた研究により、ネアンデルタール人の子どもは、現生人類より超速で成長していたらしいことが分かった。


アムッド洞窟は日本の東大隊が発見、調査

 研究されたアムッド7号は、1992年にイスラエル北部、ガリラヤ湖近くのアムッド洞窟(下の写真の上)で発見されたネアンデルタール人の乳児骨格だ(下の写真の上)。5万5000年前頃のものという。イスラエル・テルアビブ大学の研究チームにより、この知見が提示された(シリアのデデリエ標本は、イスラエル研究者には政治的にアクセスできない)。

 

 

 

 アムッド洞窟は1960年、日本の東大調査隊が発見した中部旧石器遺跡だ。翌年の1961年と64年の2シーズンにわたって東大洪積世人類遺跡調査団によって発掘され、1年目からネアンデルタール人の全身骨格、アムッド1号(写真)が見つかった。

 アムッド1号は、25歳くらいの成人男性骨格で、特筆すべきは現生人類ホモ・サピエンスよりも大きい、推定脳容量1740㏄を備えていたことだ。アムッド1号は、これまでに見つかっているネアンデルタール頭蓋で最大の個体である。

 

 

 その後、アムッド洞窟の発掘はイスラエル研究者によって継続され、7号もイスラエル隊に発掘された(写真=1990年代のイスラエル隊の発掘風景。調査は洞窟前庭部で行われている)。なおその後のイスラエル隊の発見も含め、アムッド洞窟ではこれまで20体のネアンデルタール化石が発見されている。

 


歯の発達に比べて身体成長は進んでいた

 そのアムッド7号は、乳児遺体だけに100点以上の骨片にばらけていた。

 研究者たちのこの骨を手がかりに、7号の年齢の推定を試みた。通常、乳幼児の年齢推定は、人類学者が歯の発達ぶりや骨の大きさを手がかりにする。

 現代人では、歯と体の成長はある程度揃って進むため、この方法は比較的信頼性が高いのだが、アムッド7号では、奇妙な結果が出た。

 歯の発達から推定すると、この個体は約6カ月の乳児に相当した。ところが腕や脚、胸部などの骨の成長を見ると、約14カ月の子どもに近い状態だった。つまり、歯に比べて身体の成長だけが異常に速く進んでいたのだ。歯は保守的だから、進化は遅れるからだ。

 このような歯と身体の発達のズレは、単なる個体差では説明しにくく、ネアンデルタール人特有の成長パターンを反映している可能性が高いと考えらる。

 さらに分析した結果、新生児の段階ではネアンデルタール人と現代人に大きな違いは見られないものの、幼児期(1〜6歳頃)に入ると、ネアンデルタール人は身体成長が急激に加速することが推定された。
 

なぜ「速く成長する」必要があったのか

 では、なぜネアンデルタール人はこれほど速く成長する必要があったのか。

 研究者たちは、その理由として「環境」を挙げている。ネアンデルタール人が暮らしていたユーラシア大陸の環境は、氷期の影響を受けた寒冷で過酷なものだった。

 こうした環境では、幼いままでは体温維持や生存そのものが難しくなる。

 そのため、できるだけ速く体を大きくし、環境に耐えられる状態になることが有利だったと考えられる。

 実際に今回の研究では、ネアンデルタール人は乳幼児期に急速に身体を発達させ、その後の成長段階では現代人に近いペースに落ち着く可能性が示された。

 これは言い換えれば、成長の初期に「一気に加速」し、その後にバランスを取るという独自の成長戦略と言える。


ネアンデルタールの発達は「短期決戦型」

 私たち現代人は、歯や身体が比較的バランスよく、緩やかに成長していく。それに対してネアンデルタール人は、序盤にリソースを集中させる「短期決戦型」の発達パターンを持っていた可能性があるのだ。

 ただ研究者たちは、この結果がすべてのネアンデルタール人に当てはまるかどうかはまだ断定できない、としている。乳幼児の化石は冒頭に述べたように非常に少ないため、今後さらなる検証が必要なことは確かだ。

 研究の詳細は2026年4月15日付の学術誌『Current Biology』に掲載された。


昨年の今日の日記:休載

 

 イギリスで近々、世界に先駆け先進国で「生涯禁煙」の法律が成立する。4月16日、下院で与野党の賛成多数で可決されたからだ。今後、上院でも可決されると法案成立となる(ちなみに下院で可決された法案が上院で否決されることはほとんど無い)。


喫煙率半減で10%強でもなお喫煙禁止を拡大

 2009年1月1日以降に生まれた人は、タバコや電子タバコの入手が生涯にわたって禁じられる。

 現在、イギリスでタバコを購入できるのは、他の先進国同様に18歳以上だ。この法律が出来ると、年齢制限が毎年1歳ずつ引き上げられることになるから、将来、イギリスの成人はタバコを買うことができなくなる。違反者には、罰則もある。シャーロック・ホームズが生きていたら、さぞや嘆くことだろう(写真)。

 

 

 統計によると、イギリスでは2024年時点でおよそ530万人が喫煙していた(写真)。18歳以上人口の10.6%だ。統計を取り始めた11年の喫煙人口は20.2%だったから、13年で半減したことになる。ちなみに日本の成人喫煙率は15%程度だから、イギリスの現在の喫煙率より大幅に高い。

 

 


健康被害の上に国全体で莫大な損害

 理由は、むろん健康被害の恐れだ(後述するように、年々価格が上げられて高額化したタバコ料金もある)。喫煙で、脳卒中、糖尿病、認知症、ぜんそくなどのリスクが高まり、イギリスでは年間8万人が喫煙が原因で命を落としているという。癌による死亡の4分の1は、タバコが原因だ。

 そうした啓発と理解が広がったから、前記のように13年間で喫煙率が半減という成果を挙げたが、それでもイギリスが国を挙げて喫煙の根絶を目指すのは、喫煙による収入減少、失業、早期の死亡、医療費増などで、イギリス全体で年間218億ボンド(約4兆7000億円)もの損失をもたらしているからだ。


モルディブが世界初の禁煙法

 イギリスが世界の先鞭をつけたわけではない。インド洋の島国のモルディブは、25年11月に07年1月1日以降に生まれた人へのタバコ販売を禁止したのが最初だ。世界的なリゾート地のモルディブ(写真)で成人の喫煙が事実上禁止されたことは、イギリスの政界に大きな刺激になり、今回の法制化となった。

 

 

 販売禁止なら、ニュージーランドはもっと早い。22年12月に、09年1月1日以降に生まれた人は生涯タバコを購入できなくなる法改正が可決・成立したが、23年末の政権交代に伴い、この「タバコ販売禁止法」は撤回される方針となった。だから、計画されていた世代別の全面的なタバコ販売禁止は施行されていない。

 だからイギリスで法施行となれば、世界的にも画期的な壮挙となる。


タバコ1箱の値段が4000円前後!

 ただイギリス財政には、多少の痛みを伴うことになる。タバコ関連税収は、25年で約80億ポンド(政府税収の0.6%)あり、これが漸減していく。

 年々喫煙禁止人口が繰り上がっていくことで、実は最も恩恵を受けるはずの貧困層が、実は最も痛手を受けることになる。

 大学卒業以上の高学歴、したがって高所得層の喫煙率は数%にまで落ちているが、低学歴、したがって低所得層の喫煙率は20%以上に達している。イギリスでは先進国でも課税済みのタバコの値段は極めて高く、20本入り1箱の値段は約15〜20ポンドもする。日本円換算すれば、3225円~4300円だ! しかも年々、値段は上げられている。

 それでも低所得層の暮らす地区の喫煙率は、そうでない地区より倍くらい高い。満足な食事を摂らなくとも、タバコを止められないのだ。極めて不健全な社会構造だ。

 今回のタバコ生涯禁止法はそうした貧困層を救うことにもつながるとも言えそうだ。


昨年の今日の日記:「私たち現代人は1万年以内に絶滅へ、進化生物学専門の『ネイチャー』上級編集者が予言」

 イラン戦争によるホルムズ海峡封鎖の今後が全く見通せないのに、日経平均株価は好調だ。27日には、とうとう終値で6万円越えの6万0537.36円(821.18円高)で引けた(写真)。

 

 

 しかし全体の株価動向を表すTOPIX(東証株価指数)はほとんど上がっていない。だから株価新高値の実感は、ほとんどの人が持っていないだろう。

 それは市場のほんの一部である生成AIと半導体・データセンター関連だけが上がっているからだ。


投資家人口は6年で2倍

 それは、隣国の韓国ではいっそう際立つ。韓国の代表的株価指数のKOSPIは、なんと1年で2.6倍になっているのだ(写真)。世界1のパフォーマンスである。

 

 

 絶好調の半導体のメーカーであるサムスン電子(写真)とSKハイニックスの2社が時価総額の約4割を占めているからだ。

 

 

 と、こうなると、住宅価格の高騰や日本を上回る少子化による年金制度の破綻懸念で、韓国人の株式投資が沸騰する。投資家の数は、2025年末に1450万人ほどになった。実に韓国人の3人に1人が株式投資をしている。武漢肺炎前の19年末から2倍以上に増えた。

 実数も凄いが、質はかなり危うい。日本のような堅実なNISAを通じての投資ならまだいいが、韓国の場合は株を担保に投資資金を借りる信用取引が大盛況なのだ。


零細投資家は信用取引で投げ売りを余儀なくされる

 2月末、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まると、ホルムズ海峡閉鎖による石油危機観からKOSPIは一時20%近くも急落した(写真=急落したKOSPI)。

 

 

 信用取引の怖さは、担保の株価が値下がりし、同時に建玉も価格下落するから、維持率割れを起こすと強制売却されることだ。多くの投資家は、それで損失を被った。

 大口投資家は、それでも余裕があるから、下げ局面を絶好の買い場として押し目買いを入れ、その後の日米株価の回復に伴うKOSPIの回復に乗れたが、ギリギリで危ない投機を行っていた零細投資家は、なけなしの資産を失った。


KOSPIの爆上げはバブルか

 かつてバブル時代の日本では、株を担保に街金を含めた金融機関がカネを貸してくれた。韓国の場合も、銀行やノンバンクがカネを貸す。その利子が半端でない。大手証券の信用取引の利率は年7.5%で6カ月を超すと年9.7%に跳ね上がるという。

 今の韓国株式市場は、異常な半導体ブームによるバブルだ。日本でも警戒する必要がある。


昨年の今日の日記:「スペイン、シマ・デル・エレファンテ洞窟下層からホモ・アンテセソールと異なるヒト族中顔部見つかる」

 エジプト北部の1800万~1700万年前の地層から霊長類の下顎骨(写真)や歯の化石を発見し、新属新種に分類した、と同国のマンスーラ大やアメリカ、南カリフォルニア大などの研究チームがアメリカの科学週刊誌『サイエンス』3月26日号に発表した(想像図)。

 

 


気候変動に適応力を高めて

 ヒトの他、チンパンジーやゴリラ、テナガザルなどの類人猿に共通する祖先に近いとみられ、進化過程の解明に役立つという。

 下顎骨は頑丈で、歯の構造を解析した結果、新種霊長類は主に柔らかい果実を食べていたが、気候変動で食物が少なくなった時は堅いナッツ類や種子も食べるという柔軟な食性をとっていたと推定される。当時、この地域では季節による環境変化が激しくなりつつあったが、この適応力こそが、彼らが過酷な時代を生き抜き、後に世界へ広がる原動力となったようだ。


エジプトから中東の地域がヒトと類人猿の共通祖先の誕生地か

 学名はエジプトやサルを意味する言葉、発見場所の地名から「マスリピテクス・モグラエンシス」と付けられた。属名の「マスリピテクス」はアラビア語でエジプトを意味する「マスル(Masr)」を、種小名の「モグラエンシス」は発見地である「ワディ・モグラ」の名を冠したものだ。

 古人類やその前段階の霊長類の化石は、これまでアフリカ大陸の東部付近で見つかることが多かった。周辺の地域で化石の発掘が進めば、進化や生息地域の移動・拡大の全体像が明らかになると期待される。


マスリピテクスはエジプトピテクスよりはるかに新しい

 今度の発見は、エジプト北東部と中東一帯は、ヒトや現生類人猿の共通祖先の誕生した場所であることを示唆している、と研究チームは指摘している。

 なおこれよりはるかに古く、約3800万年前に生息していたエジプトピテクス(写真)という化石霊長類はやはりエジプト出土である。1966年に発見されたエジプトピテクスは、旧世界ザルと化石類人猿が分岐する前の霊長類で、系統関係は不明なもののマスリピテクスのはるかなる祖先である。

 


昨年の今日の日記:「立民の野田代表も食料品の消費税率ゼロを表明、政界覆うポピュリズムの波に飲み込まれて」

 超大型動物の恐竜の交尾行動がどのようなものであったか、そもそもその証拠の化石すら確認できなかった。

 それが、一部の古生物学者のふとした発見で、浮き彫りになろうとしている。


調べていくと世界中の多くのハドロサウルス尾骨に骨折の跡

 ところが、それらをまとめると違った物語が見えてくる。

 北米、ヨーロッパ、ロシアで骨折痕のあるハドロサウルス類(復元想像図)の化石を数多く研究してきたベルトッツォ博士やタンケ博士らは、2025年11月21日付けの学術誌『iScience』に、骨折の最も有力な原因は交尾であると考えられると発表した(写真=ドイツ、ゼンケンベルク博物館に展示されているハドロサウルス科の骨格)。

 

 

 

 世界中で尾の骨を折ったハドロサウルス類が見つかるということは、それが事実上すべてのハドロサウルス類に共通するパターン、つまり交尾によるものだということだ、とベルトッツォ博士は指摘する。

 尾の傷痕に噛み痕や他の恐竜の歯は残っておらず、肉食恐竜に襲われた可能性はまずない。また種、大陸、時代を問わず、傷ついた尾椎が主に腰近くに位置していた事実も、転倒や倒木の下敷きになるなどの事故ではない共通の原因を示唆している。


横向きに寝ていたメスにオスが斜めからのしかかる行動、メスは痛みに耐えた

 大型のハドロサウルス類は体重が、非常に重い。神経棘の変形の状態は、横向きに寝ていたメスにオスが斜め上からのしかかる密接な身体接触があったモデルと最もよく一致した。ハドロサウルスたちが単に抱き合っていたとは考えにくいため、交尾が最も可能性の高い説明となる。

 ハドロサウルス類が互いに強く寄りかからなければならなかった解剖学的理由は、つい最近、化石から発見された。恐竜は近縁である現生の鳥類と同様に、総排出腔を持っていたのだ。

 総排出腔は鳥類の他、ワニ類などの爬虫類にもある。見た目は尾の付け根にある切れ込み程度だが、肛門管、尿管、生殖器の末端が一体となっている。近縁である鳥類やクロコダイル(大型のワニ)に総排出腔があることから、恐竜にもあると考えられてきたものの、その証拠となる化石は長らく発見されていなかった。

 しかし2022年にオーストラリア、ニューイングランド大学の古生物学者フィル・ベル博士らが、非常に保存状態のいいプシッタコサウルス(Psittacosaurus=復元模型)という小型の恐竜の化石について報告した論文で事態は一変した。

 


互いに総排出腔を近づけてメスに骨折

 化石には皮膚の痕も残っており、数種類のパターンの鱗を確認できた。そして保存された皮膚の中には総排出腔と見られるものもあった。現生のワニと同様に、腰のすぐ後ろにある切れ込みだ。

 2頭の恐竜が交尾するには、互いの総排出腔を近づける必要があった。その姿勢は非常に窮屈なもので、その結果、ベルトッツォ博士らが指摘するとおり骨折が生じたことに間違いないだろう。しかし現在のところ、化石からそれ以上のことは分かっていない。

 プシッタコサウルスの皮膚化石から確認できるのは総排出腔の外側の部分だけだ。クロコダイルや鳥類と同様に恐竜にも性別によって陰茎ないしは陰核があると古生物学者たちは考えているが、そうした軟組織の痕跡はまだ化石から発見されていない。


恐竜の性別鑑定は難しい

 発見されたとしても、恐竜の性別を判別するのは難しいだろう。ワニやヒクイドリなど多くの鳥類では、オスの陰茎もメスの陰核もよく似ていて、見分けられるのは専門家だけだ。そうした器官はまた種によって違いが大きい。

 おそらくすべての恐竜が総排出腔を持っていただろう。しかしその構造や機能は、動物学者たちが現生の爬虫類で記録しているとおり、種によって異なっていたはずだ。

 これまで古生物学者は恐竜の求愛行動について多くを学んできたが、それらの知見は特定の種やグループのみに当てはまるものだ。新発見があるたびに、恐竜の求愛行動について新たな疑問が浮かび上がる。

 さらなる証拠は化石などに必ず残っているはずだ。極めて稀ではあるが、足跡からも恐竜の交尾を特定できる可能性もある。


期待される交尾行動のさらなる発見

 踊る恐竜の足跡が求愛行動の痕跡として残っているが、それ以外の足跡やひっかき傷などは恐竜の交尾の瞬間を明らかにしてくれるだろう。

 ベルトッツォ博士は今回の新たな研究によってこれまでに発掘された標本からも、交尾に関連する病理痕が発見されることを期待している。多くの研究者たちが、こうした眼で化石をもう1度見直すことが求められている。

 ひっかき傷から骨折痕まで、恐竜たちの交尾の証拠は増え続けている。彼らの出会いはおそらくほんの数秒、長くても数分で終わっていたはずだ。しかし岩石や骨はその親密な瞬間を何百万年もの間保管してきた。

 重なり合う足跡、捕まれた時の爪痕、堆積物の局所的な変化など、交尾の際に特徴的な痕跡を残す体位が伴えば、それらは例外的な条件の下で保存される可能性があるのだ。


昨年の今日の日記:「アホなトランプ、貿易赤字は『悪』ではない;半世紀近く貿易赤字の小国ルクセンブルクは世界1の富裕国だ」

 そのハドロサウルス類に何があったにせよ、想像を絶するような痛みだっただろう。尾椎骨から伸びる突起の多くが折れていたのだ。オロロティタン(Olorotitan=復元想像図)として知られるその恐竜が単に愚鈍だったからだろうと考えるには、あまりにも多くの骨が折れていた。

 


体重3トンもの恐竜の尾椎に骨折の跡

 骨折は尾の付け根部分に強い下向きの圧力がかかったせいだと考えられる。もしも体長約8メートル、体重約3トンにもなるもう1頭のオロロティタンであれば、こんなケガを負わせられたかもしれない。

 ベルギー王立自然史博物館の古生物学者フィリッポ・ベルトッツォ博士は、2019年にロシアのブラゴベシチェンスクにある古生物学博物館にオロロティタンの骨を研究しに来ていた時に、こうした奇妙な骨折に気が付いた。

 自分の目の前にあるものが分かった時、うれしさのあまり叫んでしまった、とベルトッツォ博士は明かす。以前から自身の研究や科学文献の中で、腰の辺りの椎骨が折れているハドロサウルス類の化石を見てきたからだ。
 

化石にほとんど跡が残らない求愛行動や交尾

 1989年、古生物学者のダレン・タンケ博士は、こうした骨折は交尾をするために1頭が相手に背後から覆いかぶさったことで起きたのではないかという仮説を唱えた。しかし当時、骨折痕が残るハドロサウルス類の化石はほとんどなく、骨折が交尾によるものなのか、あるいは例外的なケガであったのかを判断することはできなかった。

 ベルトッツォ博士の発見はタンケ博士の説をよみがえらせた。骨折痕によって、恐竜がどのように交尾をしたかという長年の謎が明らかになる可能性が出てきたのだ(写真=様々なハドロサウルスの尾椎化石。尾椎の上部にある神経棘に骨折が治癒した痕が確認できる)。

 

 

 古生物学者たちは、恐竜が今の爬虫類や鳥類と同じような姿勢で交尾をしていたことを疑ってはいない。しかし、交尾の姿勢のままで保存された恐竜はこれまでのところ発見されていない。

 恐竜の求愛行動や交尾を再構築するのが本質的に難しいのは、そうした行動が短時間で、季節限定で行われており、化石に痕跡がほとんど残っていないからだ。スペイン、カンタブリア大学の古生物学者イグナシオ・ディアス・マルティネス博士は、そう説明する。
 

骨折痕が示す恐竜の交尾の儀式

 古生物学者にとって恐竜の交尾は、恐竜の模型をぶつけ合わせるだけでは解明できない難問だった。骨格を調査し、現生動物と比較するというこれまでの研究は、現生の陸生動物の中には、恐竜のように交尾を難しくさせるほど太く大きい尾を持つものがいないという事実に阻まれてきた。

 そんな恐竜たちの交尾はおそらくアクロバティックなチャレンジだったに違いない。ステゴサウルス(復元想像図)など鎧をまとったような恐竜が、どう交尾をしていたかは誰にも分からない。

 

 

 鎧を持たないハドロサウルス類でさえ、どう交尾をしていたのか研究者たちを悩ませてきた。なぜならハドロサウルスのように大きく、長い筋肉質の尾を高く水平に保てる、参考にできる現生動物はいないからだ。残っている骨からヒントを探るしかない。

 他の恐竜に比べ、ハドロサウルス類の化石に骨折痕が多く見つかっているのは、ハドロサウルス類の化石が数多く発掘されているからでもある。単独の化石を見た場合、骨折を生じさせた理由としては、肉食恐竜に噛まれたとか、あるいは転倒したとか様々な要因が考えられる。

(この項、続く)


昨年の今日の日記:「トランプのトンデモ仲裁案、ロシアの野望をほぼ丸呑み、ウクライナを苦境に追い詰める非道の『和平』案」

 インドネシア、スラウェシ島という従来の研究者たちの旧石器人観からすれば、辺境の孤島の先に現れた古い壁画、それはどのような方法で年代測定されたのか。伝統的な放射性炭素年代法では測定限界を超える。


洞窟内で形成された壁画上の方解石を測定

 研究チームが手形ステンシルの年代測定に用いた新しい手法は「レーザーアブレーション・ウラン系列年代測定法」という方法だ。

 これは、論文の最終著者であるオーベール博士らが得意とする手法で、顔料の層に形成されたわずかなカルシウム炭酸塩(方解石)の含有物をレーザーで採取・分析することで、黄土で描かれた壁画の年代を正確に測定できる。

 研究チームはオーストラリア、サザンクロス大学で年代測定を行い、鉤爪のような手形ステンシルの年代を7万5400~6万7800年前、もう1つの手形ステンシルを約6万0900年前と特定した。


実在しない動物、存在しない物を描いた

 インドネシアでは近年、初期人類の知性について新たな知見をもたらす洞窟壁画の発見が続いている。今回のムナ島(地図)での発見もその1つだ。

 

 

 オーベール博士とオクタビアナ博士は、2019年にも、獣人(動物の頭と尾を持つ人間)がイボイノシシやアノア(小型のスイギュウの仲間)を狩る様子を描いた洞窟壁画を発見したと報告している(写真)。後に5万1200年前に描かれたことが判明したこの物語的な場面は、インドネシアに住んでいた初期の人類が、実在しない動物を想像する能力をもっていたことを示している。

 

 

 今回新たに年代が特定されたムナ島の手形ステンシルも、これを描いた芸術家たちが同様の認知能力を備えていた証拠だと研究チームは主張している。

 動物の爪のように尖っている1本の指は、スラウェシでしか見られない芸術様式だと研究チームは言う。オーベール博士は、人間と動物との関係を表しているのではないかと推測している。

 古代の芸術家が手形ステンシルの指を筆で描き直すか、あるいはかぎ爪に見えるように加工した事実は、そこに「複雑な思考」があったことを示している、とオーベール博士は指摘する。彼らは実際には存在しない物を描いているのだ、と。


オーストラリアへの航行を可能にさせる知性を備えていた証拠

 古代インドネシアに高度な知性をもつ人々がいたことを示すこれらの証拠は、かつて考古学を支配していた「人類は西ヨーロッパに到達した時に初めて認知的に現代人となった」とするヨーロッパ中心の知性観に異議を唱えるものだ、と研究チームは主張する。このような見解が広まったのは、洞窟壁画の年代測定技術が十分に発達していなかったからだ、とオーベール博士は説明する。

 博士によれば、ヨーロッパで年代測定が行われた洞窟壁画のほとんどが木炭で描かれていたため、炭素年代測定が可能だった。一方、東南アジアの岩絵は主に、酸化鉄に由来する無機赤褐色顔料である黄土(オーカー)で描かれており、炭素年代測定は困難だった。

 著者らは、今回の新たな年代測定法により、現代人がヨーロッパに足を踏み入れるはるか以前から、知性を持つ人類がこの地域に生息していたことが示されたと述べている。

 著者らはまた、今回の発見は、この地域の初期の人類がオーストラリアへの航海を成功させるのに必要な知性も備えていた可能性の証拠でもあると主張する。


人類はどのルートでオーストラリアへ渡ったのか

 研究によれば、現生人類の一部は6万~9万年前にアフリカを離れ、中東と南アジアを経てスンダランドに到達した。彼らはそこから海を渡り、島から島へと移動してサフルランドに到達した。

 2つの領域の間に分布するスラウェシ島を初めとする熱帯の島々は、そのユニークな地質史と動植物相から「ワラセラ(ウォーラシア)」と呼ばれ、人類移動の壮大な物語を解くための重要な手がかりを隠し持っている。

 スラウェシ島では更新世の人類の化石がほとんど見つからないため、洞窟壁画は、この時代に人類がいたことを示す数少ない証拠の1つとなっている。

 オクタビアナ博士によれば、オーストラリア北部のマジェドベベにあるアボリジニの人々の岩壁画(写真)は、6万7800年前にインドネシアのムナ島に手形ステンシルを残した祖先から受け継がれた可能性が高いという。人類の化石の発掘には長い時間がかかるかもしれないが、「考古学が、この知識の空白を埋められるはずだ」と同博士は語る。

 


「南ルート」に探索の手も

 では、人々はどのルートでオーストラリアに到達したのだろうか?

 ムナ島での発見は、インドネシアのスラウェシ島、モルッカ諸島、ニューギニア島を跳び移る「北ルート」をたどった可能性を示唆している。しかしオクタビアナ博士は「南ルート」の可能性も否定できないと言う。それは、ホモ・フローレンシスのいた証拠をもたらしたフローレス島を含む小スンダ列島伝いだ。これは、従来から想定されていたルートだ。

 それらの島々には洞窟があり、そこにも岩壁画が人知れず眠っているかもしれない。

 考古学者たちは、新たにその地域にも探索の目を向けつつある。


昨年の今日の日記:「イギリスのスタートアップが核融合エンジンロケット構想を発表、4カ月で火星到達」

 今年1月21日付の英科学週刊誌『ネイチャー』で、インドネシア、スラウェシ州ムナ島の洞窟に描かれた2点の手形ステンシルの1つの年代が少なくとも6万7800年前のものであることが判明したと報告されたことは、すでに1月31日付日記:「インドネシア、スラウェシ島で世界最古の旧石器洞窟壁画を発見、同地域に旧石器洞窟壁画の長い伝統か」で述べた。


ニワトリの絵のそばにあった手形ステンシル

 先史絵画で飾られたその洞窟は、地元の人々から「リアン・メタンドゥノ」と呼ばれている。研究者らはこの先史時代の美術館を訪れて、赤や茶色、時に黒の顔料で描かれた、飛んでいるヒト、ヒトが乗った舟、ウマに乗った戦士などの描写に驚かされてきた。

 その中の手形ステンシルの古い年代値は、考古学者の旧石器人観を大きく変え、オーストラリアへの人類=ホモ・サピエンスの渡来ルートに新しい観点を導入した。

 研究者たちがリアン・メタンドゥノ洞窟の調査に本腰を入れたのは、2015年のことだった(写真=洞窟調査を進める考古学者たち)。数千年前の鳥やブタやウマの絵よりもっと古い時代の人類の芸術表現を探そうと、インドネシア国立研究革新庁(BRIN)の考古学者で論文の筆頭著者であるアディ・アグス・オクタビアナ博士たちは、この洞窟を訪れた。

 

 

 オクタビアナ博士は、茶色いニワトリの絵の近くの天井に、目的のものを見つけた。それは2点の手形ステンシルで(写真)、うち1点の指は動物のかぎ爪のように尖っていた。

 


ネアンデルタール人作とされる手形ステンシルより1100年古い

 博士が、オーストラリア、グリフィス大学の考古学者で地球化学者のマキシム・オーベール博士らと共に、この芸術作品に新しい年代測定法を用いてみた結果、前記の6万7800年前という年代が明らかになった。

 ムナ島の手形ステンシルの出した古い年代は、後期更新世にインドネシアに住んでいた初期の現生人類が、既に高度な認知能力を備えていたことを示している。

 ムナ島は、スラウェシ島のすぐ南東に位置している(地図=地図で赤い点線で囲った島)。今回年代が決定されたムナ島の先史芸術は、研究者が以前スラウェシ島のマロス・パンケプ洞窟で調査した壁画の手形ステンシル(写真)よりも約1万6600年古く、スペインで発見された、ネアンデルタール人が描いたとされる手形ステンシルよりも約1100年古い。

 

 

 

 これは、現生人類が当時からインドネシアの島々に存在していて、遊び心と想像力をもって、人間の手形を別のものに変容させていたことを示す強力な証拠だ、と同じくグリフィス大学の考古学者で、論文の共著者であるアダム・ブラム博士は記者会見で語った。


付近の洞窟の手形ステンシルよりずっと古い

 研究チームは、周辺の島々にある他の2つの洞窟で発見された手形ステンシルについても年代測定を行った。その結果、これらの手形ステンシルは4万4500年前~2万0400年前までに描かれたことが明らかになった(写真=スラウェシ島レアン・ジャリ洞窟で見つかった尖った指の手形ステンシル)。

 

 

 このことは、古代インドネシアの住民たちが、最終氷期のピークまで数万年にわたって洞窟壁画を描き続けていたことを示唆している。当時は海面が低く、現在の東南アジアのインドシナ半島からスマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島にかけては「スンダランド(陸棚)」と呼ばれる陸地の一部になっていた。

 著者らはこの発見が、かつて陸橋から島々を渡り、約6万5000年前にオーストラリア(サフルランド:今日のニューギニアやオーストラリアを含んでいた大陸)の最初の住民となった集団を理解する手がかりになりうると考えている。

(この項、続く)


昨年の今日の日記:「『地球に衝突』と騒がれた小惑星『2024 YR4』、今度は『月に衝突』の可能性が、確率は3.8%」

 

 僕たちの食卓になじみ深いイカは、現在、世界中で500種もいる(写真)。浅い沿岸域から深海まで分布域は様々だ。

 


イカのゲノムのサイズはヒトの2倍

 ただその多様な多様な分岐は、地球史から見ると、比較的最近に起こったようだ。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究グループは、イカの祖先は深海に棲んでいた可能性があることを解明した。スルメイカなど3種類のイカのゲノムを解読して突き止めた。研究チームは約6600万年前の白亜紀末に起こった破壊的な大量絶滅を契機に多様な種が生まれたとみている。

 研究成果は学術誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション」に掲載された。

 意外なことに多くのイカはゲノムが非常に大きく、一般にヒトの最大約2倍にも達する。そのためこれまでゲノム解析も困難だった。また骨格を持たない軟体動物のため、化石記録も無に近い。そうした中での今回の成果は、イカの進化研究に大きな一歩をもたらした。


500種もに多様な分岐も殻を持つことで共通

 前記のように世界で500種にも分岐する多様なイカを結びつける数少ない共通点の1つは、体内に見られる殻だ。

 ただこの殻にも、多様な形態が見られる。例えば、コウイカ(下の写真の上)では滑らかで丸みを帯びた甲が発達し、遠洋性や沿岸性の種では薄く剣のような軟甲が多く見られる。深海に棲むトグロコウイカでは螺旋状の殻が特徴的で(下の写真の下=人間の爪先ほどの大きさのトグロコウイカの殻、6600万年前の大絶滅後もこの殻は失われず保たれてきた)、浅海域の種では体内の殻が完全に失われている場合もある。

 

 


浅海の酸素不足の中、深海の避難所で生き延びる

 現生のイカの起源は、約1億年前に遡るようだ。深海で生息していたイカにその後、長期にわたって目立った変化は見られなかった。

 しかし約6600万年前の大量絶滅が、イカの進化に大きなインパクトをもたらした。この大量絶滅で地球生命の約75%が失われたが、直径10キロ大の小惑星の衝突で、地球酸素の多くが火災で消費され、海でも浅海域では酸素に富む環境はほとんどが失われた。 また浅海域では急激な海洋酸性化も起こり、殻を持つ軟体動物の殻を劣化させた可能性が高い。それでも殻という特徴が現在まで何らかの形で維持されてきたことは、イカが深海に起源を持つことを示す証拠と言える。

 研究チームは、古代の頭足類が、深海ミクロコスモス内に酸素が豊富な「レフュジア(避難所)」と呼ばれる避難所を見出せたと考えている。


サンゴ礁の再構築の進展で適応放散

 過酷な大絶滅後に、沿岸域ではサンゴ礁の再構築が進み始めた。これに伴い、再び居住可能な浅海域の生態系が増加し、多くの古代のイカの系統が浅海へと進出していき、適応放散を遂げる。

 しかし深海に取り残された形のトグロコウイカの仲間は、多様な種に分岐できず、今ではトグロコウイカ目が残るのみだ。


昨年の今日の日記:「地球温暖化で北極の海氷面積、観測開始以来過去最小」