明暗

スケートアメリカが始まりました。

今日の男子SPは、明暗が別れました。

今の日本男子に五輪枠が３枠しかないことを考えると、
いくら３枠が最大とはいえ、少なすぎる！と思います。

今回の試合も五輪枠争いのうちの一試合。

観ているだけで苦しくなるような厳しい試合でした。

まずは、小塚選手。

昨シーズンから怪我に苦しめられている小塚選手。

正直、自信を持って臨んでいるスケートアメリカでは
ないと思います。

それでもSPで4回転を入れ、３アクセルは質の良い
ジャンプでした。

本調子でなくとも、集中力と気合で乗り切った
２つのジャンプだったと思います。

しかし、試合は怖いですね。

一番安定している３ルッツでミスが出てコンビネーションに
ならないとは。

多分、動揺もあったのだと思いますが、
最後のステップシークエンスにもいつものキレが
ありませんでした。

そのあたりが小塚選手の良さをみせきれず、
５コンポーネンツが伸びなかった原因ではないかと思います。

今日の悔しさを晴らすべく、明日のフリーに期待したいです。

そして、圧巻の町田選手。

先日、カーニバル・オン・アイスでの練習を観ていた時も
仕上がりの良さに自信を感じましたが、
今日の余裕の４回転３回転には、人々を圧倒する力が
ありました。

今の町田選手には勢いを感じますね。

全てのジャンプをしっかりと決め、全身を精一杯使った
ステップシークエンスは、五輪の切符を取りに行く
執念を観た気がします。

そして私が今日の町田選手で注目したのは、
実は演技後の「おじぎ」でした。

あの瞬間「やった！」という表情はほとんどなく、
まるで「当然」という顔色だったのに驚きました。

つまりは、普段の練習通りの出来だったということでしょう。

今の町田選手にとって今日のSPは特別なことではなく、
当たり前のことなんですね。

本当にすごい。

明日のフリーにも自信を持って臨むようなので、
楽しみに観たいと思います。

そして、高橋選手。

日本のエースにとっても今の日本男子のレベルは
決して安心できる状況ではありません。

多分、それをご本人が一番感じているのだと思います。

もしかしたら、今シーズン一番プレッシャーと戦っているのは、
高橋選手なのかもしれません。

先日のジャパンオープンの練習を観ていても
まだ本調子ではないと思われる高橋選手。

高橋選手らしからぬジャンプのミスが出てしまいました。

それでも、高橋選手のスケーティングの上手さや
繊細な表現力は健在で、あれだけミスが続きながらも
５コンポーネンツだけでいえば、1番点数が出ていることは
やはり素晴らしいことです。

追われる身の苦しさは、エースにしかわからない
ものかもしれません。

観ているだけの私は、ただただ明日は良い演技ができるよう
祈りたいと思います。


そして、アイスダンスのOAは、リード姉弟組だけでしたが、
それでも地上波でアイスダンスをOAしてもらえるのは
とても有意義なことです。

実は、ウォームアップ中にクリスが転倒したんです。

しかも、リード姉弟組の今日の滑走順は1番。

怪我のこともあり、私もヒヤリとしました。

アイスダンスはシングルやペアと比べて転倒が少ないので、
転倒したあとの動揺というのはとても大きくなります。

そんな中で始まったSD。

最初はやはりクリスの表情に硬さがみえました。

それでも課題のフィンステップを乗り切って、
徐々に調子を取り戻し、最後には本来の滑りをみせた二人は
とても立派だったと思います。

今日は、SDの前半動揺からか二人のバラつきが少し見えたため
５コンポーネンツのスコアが伸びませんでしたが、
本来の二人の力はもっとありますから、ご安心を。

それに、彼らはどちらかというとエレメンツで
レベルを取りこぼしてしまうことが時々あるのですが、
今日は、そちらを集中力でしっかり抑えていたので、
これはひとつの大きな成果です。

順位も６位スタートと良い位置につけているので、
フリーダンスは、更に期待したいと思います。

明日もアイスダンスの解説を務める予定です。

ぜひ、OAをご覧くださいね！

明日は、１８：２６～放送が始まります。