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物語

グランプリファイナルが終わって、浅田選手や高橋選手の
インタビューなどが放送されています。

浅田選手は腰痛、高橋選手は大きな緊張と戦っての
グランプリファイナル優勝だったんですね。

スケーターが皆さんの前で演技するのは長くても4分~4分半。

でもそこに立つまでには色々な出来事があり、感情に襲われ、
それぞれに物語があります。

高橋選手の「最初の4回転を失敗して動揺して、
2つ目の4回転の成功でまた動揺して緊張した」というコメントに
ぐっときてしまいました。

平気な顔をして滑っていても、どんなベテラン選手でも
平常心で試合をできる人なんていないのかもしれません。

緊張やプレッシャーを乗り越えるには、やっぱり練習しかなく、
それでもやっぱり不安になったり緊張したりする、
それが試合というものなんです。

楽に楽しく試合をしている選手なんて一人もいない。

ある意味、ギリギリ、というところにいつも立たされているのが選手。

改めてアスリートの厳しさを感じた高橋選手の言葉でした。

そして、浅田選手の腰痛。

選手が「棄権」を考えるほどとは、かなりの痛みのはずです。

(佐藤)信夫先生の言葉は、信夫先生らしい、と思います。

昔、信夫先生が選手を馬に例えて話した言葉があります。

「僕は選手を水呑場までつれていくことはできるけど、
水を飲むか飲まないかは、選手次第」。

私は今回のグランプリファイナルの前に信夫先生が浅田選手に
かけた言葉を聞いたとき、この言葉が出てきました。

きっとコーチももどかしい気持ちなんだと思います。

ずっと選手と一緒に戦って来たのに、最後の決断だけは
コーチにはできないのですから。

信夫先生はやっぱり名コーチですね。

言葉で逃げ出したい気持ちの浅田選手を前向きにしたのですから。

私は浅田選手が信夫先生や久美子先生に弱音を吐けたのも
大きな意味があると思います。

もしあの時、浅田選手が弱音を吐かずに、
そのままの気持ちでフリーに臨んでいたら、
あのような滑りはできなかったかもしれません。

弱音を吐き、信夫先生から言葉をもらって、
浅田選手は気持ちの切り替えができたのだと思いますから。

あの短い間にもこんなにドラマティックな物語があるのが、
アスリートとして生きることの素晴らしい点の一つです。

私は全てのアスリートは、色濃く生きていて
それは実はとても幸せなことだと、引退してから気づきました。


追伸:浅田選手の腰痛が大したことでないことを祈っています。