韓国チームが見せた「カーリング」 カーリング女子決勝戦 | 観客席から見たカーリング 2nd Season

 

カーリング女子、決勝。
 

9エンド終わって、3 - 8。
韓国、5点のビハインド。
 

カーリングでは、5点の点差はひっくり返せない。
 
ゲーム終盤での5点差は、それは即ち、負けを意味し、ほとんどの場合でコンシードになる。
 

だが、私は韓国はコンシードせずに10エンドに進むだろうと思った。
 

最終10エンドでゲームをひっくり返すには、6点が必要だ。
それは、リードの2投でガードを作り、残りの6つのストーンを全てハウスに入れ、しかも全て相手のストーンよりも内側で、全てをNo.1からNo.6までにしなくてはならない。
先攻に先にボトムを抑えられ、ひとつでもストーンをテイクアウトされたら終わり。
それは「不可能」の領域だ。
 
そう考えるのが、当たり前ではある。
 
しかし、
 
ここは韓国、江陵。

自国開催のオリンピック。
 

しかも、ことさらに民族意識の高い韓国。
 
試合を途中終了させて負けを確定させるなど、できるはずがない。
 

この大会で、やっと「コンシード」という表現が定着してきたが、日本でも少し前までは「ギブアップ」と表現されていた。
 
「何故、試合途中で勝負をあきらめるのか。可能性のある限り戦え。」
「最後の最後まで、全力を尽くすのがあたりまえだろう。」
そう言われるのは目に見えている。
 
だから、
私は韓国チームはコンシードしないだろうと思った。
コンシード「できない」だろうと思った。
 

9エンドが終わり、やはり韓国チームはスウェーデンと握手する素振りはない。
 
ハウス内のストーンをシート脇に片づけ、4人で集まって会話を始める。
 

私はその姿を見て、「かわいそうだな」と思った。
 

そして、韓国チームは話し合いの円陣を解き、動き出した。
 
しかし、スキップのキム・ウンジョンの向かう方向は、10エンドのハウス方向、ではない。
その向かった先には、スウェーデンチーム。
 

両チームが握手を交わす。
 
騒然となる会場。
 

韓国、コンシード。
 

試合終了、8 - 3 で、スウェーデンの優勝が確定する。
 
 
韓国チームは、最後の最後、その高潔な意地を見せつけた。
 
自国民に、韓国のカーリングファンに、真の「カーリング」を見せる。
 

オリンピックの決勝戦。
 
世界で最も権威のある試合。
 

韓国チームが、「カーリング」を見せた。
 
 
韓国女子カーリングチームは、その胸にメダルを掲げるにふさわしい、
 
素晴らしいカーリングチームだった。
 
 
そして、
江陵カーリングセンターは、拍手と歓声に包まれていきました。