11月11日、諏訪市公民館にて | 観客席から見たカーリング 2nd Season
2017年11月11日 諏訪市公民館 14:00~
 
「みんなみんな カーリングファンになろう」
 

第一回開催で、色々と大変だったでしょうし、成功したところも良かったところも沢山あったと思います。
ですが、こここではあえて「もっとこうした方が良いのでは?」という部分を述べさせていただきます。
その点、ご了承ください。
 

率直な印象としては、
 
やはり「講習会」の域から脱し切れていない感じがしました。
 

具体的には、「主催者側で内容を用意し、それを教えよう」というやり方で進められていて、
「相手が何を求めているか、何に興味を抱いているか、何を知りたいと思っているか」という、相手側のニーズやウォンツを探ろう、それに合わせよう、としていないのではないか、という感じだったと思います。
 
点数の数え方や、ルール、ショットの種類、などをカナダ(英語)の動画を使って説明していましたが、それはカーリングを全く知らない小学生の世代が一番最初の入り口の時点で興味を持って聞く話だろうか?という疑問もあります。
 
それよりも、「カーリングって、どういうイメージがある?」という質問から入って、帰ってきた答えの部分をどんどん広げて行ってあげる、とか、
それこそ「あなたがカーリングをしたら、どこが面白そう?」という質問の答えの部分を広げていってあげれば、相手が興味をもって「会話」が進むと思います。
 

ファンをつくろうとするなら、大切なのは「知らない人に教えようとすること」ではなくて、「同じ高さの視線でカーリングに関する 会話 をすること」だと感じます。
 

相手がいままで経験したことのない、「カーリングに関する会話」です。
 
講習や勉強、ではなくて。
それだと、きっと子供は退屈なのではないでしょうか。
 

こちらから話すのではなくて、相手に主導権を渡して相手にしゃべらせる。
 
親しくなりたい女性に話しかける時と同じやり方で、とにかく相手の中身を引き出す。
出てきたものに対してポジティブな反応を示して、相手に良い印象を与えていく。
 

カーリングを習いに来た初心者に対して「教える」のなら、用意したプログラムに沿って話をすすめてもいいと思いますが、
「カーリングファンをつくる」のなら、教える、というスタンスではダメな気がします。
 
生徒を作るのではなくて、仲間を作る、ということなのだと思います。
 
相手が点数の数え方を聞いてきたなら、それを話す。
ショットについて聞いてきたなら、それを話す。
 
相手が知りたい聞きたいと思っていることについて、話をしてあげる。
ということで良いと思います。
 

ドローとヒットの意味から教えなくても、
実際にやったように、いきなりフリーズの話から入ってもいいと思うんです。
 
ひとが興味を持つ部分はそれぞれですから、知識を頭に入れる順番なんて関係ないと思います。
ヒットロールを知らずにレイズから憶えてもいいんです。
実際にアイスの上でゲームをするわけではないのですから。
 
実際に自分でカーリングの試合を見ようと思い始めたら、そこからは最低限の知識を頭に入れていく必要がありますから、放っておいてもある地点からは誰でもひと通りの知識を持つことになるからです。
 

カーリングをプレイするために必要な知識と、
カーリングを見て楽しむために必要な知識は違う、と思うのですけれど、
もしかするとそこはプレイヤーの方には分かりにくいのかも知れないですね。
 

今回、YouTubeの撮影者と話をしていて思ったのは、
彼はは野球を知っていらっしゃる方なので、野球との対比で話をするとすごくご理解いただけるのだな、
ということでした。
 
カーリングのエンドの話と野球のイニングの話。
アウトターンとインターンは、カーブとシュート。
ストーンを回してカールさせるのは、ボールを投げる時に回転をかけるのと同じで、
コースを狙うには回転をかけてある程度曲がる軌道を作った方がコントロールしやすい。
などです。
 
彼が実物を手に取って口にする、「『ブラシ』って、デッキブラシじゃないんじゃない!」という驚き。
そうなんですヨ、という会話。
 
ひとつずつ理解してもらう、って、そういうことかな、と思いました。
 

ひとが「面白い」と感じるポイントは本当にひとそれぞれなので、
「ファン」をつくるのであれば、その人がどこに興味を感じているかを探る。
そこからなんだな、としみじみ思いました。
 
 
と、
偉そうなことを書きましたが、
会を振り返って、今の私の中にはそんな印象があります。
 

そして、この会を開催してくださった諏訪協議会の方に、どうしても伝えたいことがあります。
 

本当に、ありがとうございました。
 

いままで、ずっと孤独で居場所のなかった「プレイヤーでない、ただ見るだけのファン」の存在を、肯定的に捉えてくださることが何よりも嬉しいんです。
 
私が知る限りでは、
カーリングの関係者が「プレイヤーでない者を集め、カーリングの講習会でない会を行う」ということは日本で初めての出来事のはずです。
2017年11月11日は、「カーリング伝来の地」に再び起きた、
日本で初めての「一般層へのカーリング普及が始まった日」になったと思います。
 

初めて日本に持ち込まれたカーリングを、先人が細く長く継承し続けてくださったからこそ日本に今のカーリングがあるように、
この動きを、この会を、是非とも続けて行って下さいますよう、切に願います。
 

第2回の開催を、心より楽しみにしております。
 

本当に、ありがとうございました。
 
ぜひ、よろしくお願いいたします。