じゅんちゃんと❤︎2つの宝もの   P67
   「❤︎じゅんちゃん❤︎クラスで1位になったよ。」帰って来るなり言ったその言葉は驚きの何物でも無かった。期末テストの成績がクラスで1番、その上進学組も合わせて、学年6位だという。通知表は、オール5だった。この子は、馬鹿じゃ無いのかと、思っていた自分がはずかしかった。嬉しくて涙が溢れ出ていた。どんなに成績が悪くても、勉強しろとは言った事がないが、虎年だからいつか才覚を現すだろうと思いつつも、いつも心配が絶えなかった。いつの間に勉強をしていたのだろう。兄の丈一郎が「学校の勉強さえ、しっかりやっていればオール5なんて取れるんだよ。」と教えた通りに授業は、真剣に取り組んだらしい。テストの3日前から、兄に教えてもらったように、授業で取ったノートをもう1回書き直しながら、覚えて行くいう付属小学校で学んだ再現ノートのやり方を、確実に実行したのだった。進む道が違うので、余り表立って仲が良いわけではないが、やっぱり兄弟なんだなーと、つくずく兄思い弟思いの、この2人を微笑ましく思ったものだ。成績が良くなると、もっと上を狙いたくなる欲も出てきた裕次郎は、なおも、教室では真剣に、授業に取り組む姿勢が見られるようになって、先生から、「大学へ行くなら進学クラスに移ったらどうだ。」と打診があったらしいが、裕には全く興味が無かった。「進学クラスへ移ったら、バスケがやれなくなるから行かない!。」と、2年生までにベンチ入りを果たすという信念は曲げなかった。勉強も部活も、自分の中で決めた事は、最後までやり切るという信念を持つ、頑固者の裕次郎だった。この子は、ほって置いても、生き残る子なのだと、つくずく感心して、見守ってやる事にしたのである…P68に続く。