東京大学京都大学」のタイトルで3回、書きました。これから3回に亘って、ノーベル賞受賞の研究がどこで実施されたかについて書きます。物理学専攻だったので、物理学賞については比較的、よく知っています。第1回目は1949〜2002年の受賞者です。湯川秀樹博士は、講義は聞いたことはありませんが、時計台の大講堂で見たことがあります。

 

 

1949年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士(単独受賞)、1965年に同じく物理学賞を受賞した朝永慎一郎博士(RP Feynman、J Schwinger との共同受賞)は、ともに東京都生まれです。中学、高校、大学と同級生でした(湯川秀樹博士は年下ですが、飛び級で追いつきました)。ともに、親が京都大学教授なので京都で育ちました。

 

江﨑玲於奈博士(3人の共同受賞)、利根川進博士(単独受賞)、野依良治博士(3人の共同受賞)の研究は海外研究機関、企業での業績が受賞理由のようです(要確認)。白川英樹博士(3人の共同受賞)は上の表では唯一の東京工業大学出身です。私は、すずかけ台キャンパス(神奈川県)に1年足らず、いましたが、遊ぶところがなく、勉強、研究には適した場所でした。導電性高分子(ポリアセチレン)の合成研究が受賞理由ですが、Penn States の Alan G MacDiarmidが1976年に白川英樹博士を招聘し、共同研究しました。

 

小柴昌俊博士(2人の共同受賞)は、超新星爆発に伴うニュートリノ検出が受賞理由でした。実験物理学は理論物理学と異なり、高精度で大規模な実験装置が必要不可欠です。大学の中で、最も運営交付金の多い東京大学でなければできなかった研究です。

 

優れた研究であればあるほど、競争は苛烈です。利根川進博士はダルベッコ、R Dulbecco (1975年、ノーベル賞受賞)の薫陶を仰ぎ、スイスにあるバーゼル免疫学研究所での研究が受賞理由です。当時の所長、同僚に恵まれていたようです。

 

ノーベル賞は人類全体に貢献する特別な賞です。受賞者が優れているのは当然ですが、研究環境が整っている必要があります。残念ながら私立大学には、「基礎研究」を充実するには教員も研究資金も潤沢ではありません。例外的に北里大学があります。

 

(あと書き)

東京大学と京都大学①(4月17日) に、週刊朝日サンデー毎日は大学合格者特集について書きました。東京大学と京都大学➁(4月17日) では、国家公務員(総合職)と司法試験の大学別合格者とノーベル賞受賞者について書きました。