暫く中断していましたが、”再々、獣医学部新設について”のブログを始めました。

再々、獣医学部新設について(8)(3月10日) では、『10日正午に東京大学の合格発表があり、6日からの国公立獣医学部/獣医学科の前期の発表が終わりました。…国立大学の①入学金、②授業料、③初年度学費、④6年間学費は、①282千円、②535.8千円、③817.8千円、④3,496.8千円です。私立大学は2年次以降で2,000千円超で6年間学費は〜15,000千円です。6年間の学費もさることながら、成績優秀な学生が集まる国公立大学には魅力があります。「入りたい」大学を選ぶのか、「入れる」大学を選ぶのかはスタートから決まっていると強く思います。』と書きました。

 

これまでに、様々なタイトルで「獣医学部」問題について書いてきました。昨年の6〜8月に書いた過去のブログからピックアップすると

NOSAIで働く女性獣医師(続き2)(8月3日) では、「夢は牛のお医者さん」の主人公について書きました。新潟県出身の方が、小学生時代の牛の飼育の経験から獣医師を志し、岩手大学を卒業して獣医師となり、新潟県のNOSAIで働いています。

 

獣医学部/獣医学科のある県の家畜数(6月9日) では、農水省の畜産データから家畜数をピックアップしました。

減少する愛媛県の家畜数(6月7日) も同様です。

 

最新の農水省の都道部県別の畜産データ(平成30年)を見ると

http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/attach/pdf/index-368.pdf

肉用牛の飼養頭数は、徳島県:22,500頭、香川県:19,900頭、愛媛県:10,600頭、高知県:5,500頭で四国4県全体で58,500頭です。日本全体で約250万頭なので、2%ということになります。

 

全国の地方自治体が大学誘致を進める動きがまだまだ根強いようです。一方で獣医学部/獣医学科は全国で国公立大学が11校、私立大学が6校です。私立大学では産業獣医養成のための推薦枠を設けている例が多いです。岡山理科大学獣医学部は西日本で唯一の私立大学ですが、西日本には国公立の岐阜大学、大阪府立大学、鳥取大学、山口大学、宮崎大学、鹿児島大学があります。私は西日本でも進学できる環境が整っていると判断しています。国公立大学は難易度が高く、かなり勉強ができないと合格できないのは仕方ないでしょう。家畜、ペットであっても「生命」を対象とする学問分野なので、能力が伴わない獣医師は百害あって一利なしです。家業が動物病院で後継者として子が獣医師となることを考えている親もいるのでしょうが、自分の子どもではなく、優秀な獣医師を後継者にすれば、経営は安定します。

 

私のブログは「決め打ち」で、岡山理科大学獣医学部は不要だったという結論ありきなのかも知れません。しかし、どのような統計データをもってきても、私は「不必要」の判断です。四国には獣医学部/獣医学科がありませんでしたが、東京タワーも新幹線もありません。患畜(病気の家畜)がいなければ、産業獣医は育てられません。農水省も文科省も本気で四国に獣医学部を作るとは想定していなかったのでしょう。国家公務員も馬鹿ではありません。ただ、ごり押しをする政治家が居たのでしょう。

 

(10AM、追記)

私たち夫婦の子どもは文系でした。私立大学、専門学校に進学しました。それぞれに国家資格の取得や専門技能を身につけました。単に、文系の大学を卒業しただけでは全くの「馬鹿者」です。

(8PM、追記)

昨年の8月に全国の獣医学部/獣医学科の定員と競争倍率をまとめました。

再び獣医学部新設について(15)(8月19日)

西日本(岐阜以西)には国公立大学が6校あって、定員の合計は195名です。今年の競争倍率は4~6倍弱でした(東京大学は3倍で足切り)。前期の合格発表をざっとまとめると約150名でした(さらに後期試験の合格者や推薦入学が若干名あります)。入学定員は、6校の合計が195名で、岡山理科大学は140名です。産業獣医を育てるには患畜(病気の家畜)が必須です。また、十分な教育をするには、少人数のクラス編成も必要です。何か文系の学生を相手に大講義室で講義をすればいいような感覚です(文系の方にはすいませんm(__)m)。

 

繰り返しになりますが、肉用牛だけでなく、乳用牛、豚の飼養頭数も少ないです。最初から本気で産業獣医を育てる意思がなかったのではないかと疑問を持っています。ライフサイエンス研究についても、国公立大学に合格できる能力がなければ、難しいのではないでしょうか?

 

(あと書き)

”再び獣医学部新設”のシリーズでは、Internet に公開されている情報を用いて私なりの考えを書いています。再び獣医学部新設について(21)(10月11日) が最終です。報われない努力は無いと信じたいですが、国公立大学では競争倍率は数倍です。

 

(前のブログ)

再々、獣医学部新設について(5)(3月3日)