私は、研究者/エンジニアだったので、「データ改ざん」、更には「捏造(ねつぞう)」には強い憤りを感じています。同時に、何故、神戸製鋼所の管理職、従業員がアルミ製部品銅製品だけでなく、本体の鉄鋼業まで「データ改ざん」を繰り返していたのか、非常に不可解です。

 

研究論文の不正では、「捏造, fabrication」、「改ざん, falcification」、「盗用, plagiarism」の英語の頭文字を取って 'FFP' と略しますが、このような研究論文を発表すると、大抵は懲戒免職となります。

 

経営の3要素、「ヒト・モノ・カネ」では「ヒト」が最も重要視されます。そこで、10年前の従業員数と現在の従業員数を比較してみました。鉄鋼メーカーで時価総額は、①新日鐵住金(5401)、②JFEホールディングスJFE、5411)、③日立金属(5486)、④神戸製鋼所の順となっています。下表は4社比較です。コード順となっています。

 

 

10年前と比較すると、特にリストラで従業員数が減ったということではなさそうです。さらに詳しく、部門別まで調べれば差があるのかもしれませんが…。新聞には、「40年前から」という元従業員からの取材記事がありました。ここまでくると、「出来心」というよりは、「組織的」と言えるのでしょう。

 

神戸製鋼所は1992年に神戸市の西神地区に神戸総合技術研究所を設立しています。技術的な問題は自社で解決ができる体制だったと思えるのですが…。また、会社四季報で事業セグメントを見ると、鉄鋼業、アルミ・銅事業の比率には大きな変化はないようです。

 

神戸新聞は神戸製鋼所の本社が神戸市にあり、関連企業も多いためか、精力的に取材しています。今日の朝刊には、『…業界事業に詳しい証券アナリストは「神鋼や東芝は粉飾のような問題が起こりやすい」と話す。「神鋼は鉄、アルミ、建設機械と手広くやっている。東芝も半導体から原発まで幅広い。中央集権でなく群雄割拠する豪族の集合体みたいな組織。ガバナンス(企業統治)が利きにくい」といい「多角化した総合型企業がよくない」と分析する』とありました。

 

(22日6AM、追記)

問題は、品質管理体制にあるのではと考え始めました三菱自動車の「燃費不正問題」、日産自動車の無資格者による検査など、品率管理部に「独立した」権限が与えられているかどうか、組織図を見てみる必要がありそうです。権限が与えられていなかったり、担当者の数が足りていなかったりでは?

 

同じようなことが、政府機関にも当てはまります。かっては「原子力行政」は科学技術庁が所管でしたが、中央省庁の再編で、経済産業省に、推進側である「資源エネルギー庁」と規制側である「原子力保安院」が同居しました。(現在は、原子力規制委員会として独立しました)。

 

また、「国家戦略特区制度」では諮問会議の民間議員の1人は、大都市圏の事業で受注した人材派遣会社の会長や農業分野の特区で受注した企業の社外取締役です。