タイトルの「政治記者の劣化」について書きます。最近の政治記者を十把一絡(じっぱひとから)げで論ずるのは不適当(不見識?)です。番記者は、特定の政治家との繋がりは強いようです。それに対して、広い国際政治についての知識は少ないように見受けられます(記者に拠ります)。

 

例えば、トランプ大統領は、しきりに「北朝鮮」を「口撃」しますが、トランプ大統領の側近のティラーソン国務長官ほかは、武力行使の可能性は「排除しない」としつつも、外交的解決の必要性を強調しています。すなわち、トランプ大統領と側近の考えには食い違いがあります。(※1)。

一方で日本の政治記者は「トランプ大統領安倍首相との関係は盤石だ」ということを信じ込んでいるようです。5日の日経の国際面に、『米NBCニュースは4日、ティラーソン氏が7月の非公式会合でトランプ大統領を「ばか」と呼び、辞任寸前だった』と書かれています。

(※1 私も記憶になかったのですが、1969年4月15日、ロシアと北朝鮮の領海外を飛行していた米国偵察機北朝鮮の戦闘機に撃墜されました。ニクソン政権の時代でベトナム戦争が続いていました。様々な軍事オプションが検討されたようですが、軍事行動は実行されませんでした。米国の国立公文書館に記録があります。また、1994年には北朝鮮の領空に入った米軍ヘリコプターが撃墜されています。こんなことは北朝鮮情勢に詳しい政治記者であれば、「イロハ」のイです。)

 

外遊にも同行するようですが、政府発表の裏付けを取る努力が足りないように見受けられます。トランプ大統領が脱退を宣言した「パリ協定」はすでに発効しています。何故、安倍首相に対して物申さなかったのか?①なぜトランプ大統領に対して、「パリ協定」からの脱退を食い止めらなかったのか、②隣国である中国、韓国首脳との会談が遠のいている、③ドイツ、フランス首脳との疎遠さ、④ロシアのプーチン大統領とは十数回会談しているが、成果らしいものが私には分からない、など、政治記者は国際政治に疎いとしか思えません(あるいは「忖度」なのでしょうか)。

 

兎に角、疑うことを知らず、記者会見でノートブックのパソコン画面と睨めっこはしていますが、気の利いた質問が少ないようです。高給取りでしょうが、ほとんどの仕事は 'AI' に置き換えられるのではないでしょうか?「質問力」がなければ、記者ではありません。

 

安倍首相は、消費税再増税が不利と見たのか、しきりに「北朝鮮リスク」を言い始めているようです。だだ、どうやって、交渉のテーブルにつかせるのでしょうか?国連安全保障理事会が9月11日(日本時間の12日未明)に北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で決めてから1ヶ月も経っていません。先の戦争での韓国併合(1910年)、中国侵略の歴史を踏まえれば、日本政府はもっと、東アジアの緊張緩和にコミットすべき立場です。中国、韓国との関係修復が不可欠です。

 

(あと書き)

タイトルを「政治記者の劣化」としましたが、裏返せば、政治記者に対する期待でもあります。Internet の時代となり、情報量は飛躍的に拡大しました。全国紙はそれぞれ、社のデータベースがあり、瞬時に過去のデータは出てくるのでしょう。大事なのは、政治記者の「感性」なのでしょう。約1ヶ月前、官房長官は、パウエル元国務長官の自伝を読んで、『パウエル氏が国務長官に就任した際、記者会見の対応に最も苦慮していたと紹介した。そのうえで「悩んで悩んだ結果は『記者には質問する権利がある、私には答えない権利がある』と。そう思ったら楽になった』と発言しています。ただ、パウエル氏は、『しかし、ウソやごまかしはいけない』と書いています。

 

国政は国民の暮らしと安全に大きな影響を与えています。「都会」と「地方」の格差は広がりました。小都市(人口10万人以下)、特に1万人以下の財政力は貧弱です。東京都は地方交付税不交付団体ですし、政令市の多くは地方交付税(国からの仕送り)が多くても5%内外です。

http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/29data/2017data/29czb01-10.html

 

また、中国、韓国、シンガポールはじめ、多くの東アジア、東南アジア諸国には「歴史記念館」があります。戦後70年以上経過していますが、「風化」させない努力も不可欠です。