激しい雨が降った後、溝や樋から流れる水音に混じって、すぐにアブラゼミの声が聞こえる。子供の頃、小学校が夏休みに入ると、一日中川に入って魚を追いかけていた。雑貨屋には夏が始まる少し前から、魚捕り用の網が並んでいた。虫捕り網とは違って、柄が太く短くて、赤っぽい焦げ茶色した網の部分が大きかった。大抵夏中遊んだら、網は破れてしまう。泥だらけになりながら、夏中使った網は穴だらけになってしまう。去年破れた網を、木綿糸で繕うのが、僕ら子供の夏の始まりの恒例だった。遠くで鳴くアブラゼミの声を聞きながら、魚捕りするときのことをいろいろ想像するのが楽しかった。

魚捕りする夏の日の幻影は乾いた泥を流す夕立

缶ビール飲む夕暮れの蝉時雨川底歩くアカハライモリ

雨止んで蝉時雨降る夏の日の沼には金の鯉潜み居る