昔から物に対する執着心は低かった気がする
子供の頃自転車を買ってもらった
最新の自転車だったけれど
僕の好みのタイプのものではなかった
それでも家の手伝いの新聞配達には必要だった
だから便利に使っていた
けれども高校に上がる頃
家は新聞販売店を止めていた
ある時外に置いておいた自転車が盗まれた
元々気に入って乗っていた訳ではなかったので
不便は感じたけれど
警察にも届けずに放っておいた
少しして近所の子が盗んだという噂が耳に入ってきた
それでも大騒ぎになることを
避けたかった僕はそのままにしていた
噂の真偽を確かめることもしなかった
今振り返ってみると
僕は物に執着しないというよりも
物を大切にしないだけではないかと思ったりもする