台所で洗い物をしていると、曇りガラスの窓に木の葉がゆらゆら風に揺れている陰が映っていた。二階の部屋の窓の外に、そんな大きな木は生えていない。窓の外はすぐ道路になっている。変だなと思って、窓を開けてみた。道の向こうに車が止まっていて、陽の光が車の窓ガラスに反射して眩しかった。車の傍には向かいの家の庭に植えられた木が枝を伸ばしていた。その蔭がここまで届いていたのだ。台所の曇りガラスに映る木の葉は、あの木だったのだ。それにしても、窓に映る陰は輪郭もくっきりとしていて、道を挟んだ向かいからのものとは思えないほどだった。



洗い物する手を止めて雨音の静かに群れるうなぎの幼魚