同級生に養蜂家の家の子がいた。
隣のクラスの女の子だったが、男子からいじめというか、からかわれているようだった。
その子のことを、臭いとか汚いとか噂しているのも聞いたことがある。親に言われて、その子の家に蜂蜜を分けてもらいに何度か行った。
大抵は母親らしき人が出てきて応対してくれたが、一度だけ、その子が出てきた。
蜂蜜を分けて欲しいと言うと、慣れているのか、すぐに家の奥へ入り、しばらくして蜂蜜のたっぷりと入った瓶を渡してくれた。
お金を払って表に出ると、空はとても青くて、夏の日射しの中で、家並みがくっきりと見えた。
瓶を目の前に持ち上げると、黄金色の液体はきらきらと輝いていた。
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汗拭いて森のようなる菜園に羽音大きくミツバチは飛ぶ
初恋は空気濃くなる緑陰の柔らかな翅持つミツバチの音
ナスの花咲く菜園に人もなくミツバチが飛ぶ夏の未明は