地上には、土砂降りの雨のようにニュートリノが降り注いでいるという。

またの名を幽霊粒子というそうだ。

建物も人間の身体も、地球でさえも通り抜けてしまう、ニュートリノという存在。

宇宙が誕生するとともに飛びはじめて、今も宇宙中を光に近い速さで飛び回っている。

もしも、彼らに意識があったなら、ものの中を素通りする自分という存在を、どう思うのだろうか。さぞかし頼りない気分だと思う。

まれに電子などの物質とぶつかるらしいけれど、そのときにようやく自分が意識を持っていたことに気づくのかも知れない。

ヒメシャラを植えて旅立つ学者居て もののいのちは消え去るのみか