定かではないが

いちばん遠い記憶は3才10ヶ月頃。

季節までは覚えてはいないが5月なのだ。

その日、車から降りてくる母に抱かれた生まれたばかりの妹。

妹は髪が生えてはいたものの茶色かったせいもあるのか、母に抱かれたその姿は輝いて見えた。


その後の記憶は暫くない…。


ある時、妹を膝の上に乗せて癒していた。

「えんこ、えんこ、えんこえんこ」と身体を前後に揺らしながら歌った。

妹は嬉しそうに「キャッ!キャッ!」と笑った。


またある時は母に抱かれお乳を飲んでいる妹を見て羨ましく、側にいた父親に抱かって父親に「乳」をねだり、父の乳を吸った。

それを見た母が「うわぁ…。キモッ!」という顔をしたのを鮮明に覚えている。


妹が5月に生まれ、誕生日を迎える頃までの記憶だ。

その他の記憶は不思議な事にない。




おそらく幼い私にとって「妹の誕生」は鮮烈だったのだろうと今でも思っている。