ダニエル・バレンボイムはアルゼンチン出身のユダヤ人指揮者。現在はイスラエル国籍である。バレンボイムは自身のルーツからイスラエルとパレスチナの問題に非常に強い関心を持ってきた。僕の知るところは、その興味は、イスラエル人とパレスチナ人の混合オーケストラによるイスラエルでの演奏といった活動にあらわれている。



 バレンボイムは、音楽を演奏すること、聴くことから人間が社会生活を営むうえで大切な考えや姿勢を学ぶことができると考えている。例えばオーケストラのなかで他人の音を聴くこと、その中で自分の演奏をすることは、人の意見にしっかりと耳を傾け自分の意見を言うことにつながる。また音楽のなかで速度と音量を正しい関係に保つことは、適切なタイミングでものごとにアプローチしなければいけないということを教えてくれる。

 バレンボイムは全面的に音楽を演奏すること、聴くことが世界を救うとか平和になれるなんて大それたことは言ってない。しかし彼の考えを知っていることは、西洋近代音楽を享受する人たちにとって大きな勇気になる気がした。

 クラシック音楽にかかわる方には是非この本はおすすめである。自分たちが日々あたりまえに関わってるクラシック音楽への新しい見方を知ることができる。クラシック音楽なんて知らない方はダニエル・バレンボイムの考え方にふれて、音楽の新たな側面を知ってもらいたい。