我輩はネコであったか | 死中に克

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THE WORLD IS NOT BEAUTIFUL : THEREFORE IT IS.

盆休み、実家に帰り弟と妹を地元のお祭りに連れて行く約束をしていた自分は、約束通り妹を背負い、弟を連れて近くの神社を目指していた。何年ぶりかに帰ってきたので道もよく憶えてないけれど周りにも数人、神社に向かう人がいるのでその後をついていこう。そう思ってふとよく見て驚愕した。


前を、ネコが歩いている。いや、何故かネコだと直感はしたが本当にネコなのだろうか? さっきまで神社に向かう近所の人だと思っていたモノが、毛だらけで二足歩行で少し前を歩いている。ふさふさのしっぽが生え、頭にはネコのような耳までもがちゃんと生えていた。そしてふと気がつくと、周りにいた数人もさっきまで人間だと思っていたが全て二足歩行のネコになっていたのだ。


背負っている妹は寝ている。ふと弟を見たが、楽しみなお祭りのことで頭がいっぱいなのか、暗くてよく見えないからか全く気づいていない。これは・・・このまま祭りに行くと何かやばいのではないか・・・そう感じた自分は、弟に耳打ちをして周りのネコたちに気づかれないように逃げようと考えた。


「ニャア」 絶句した。自分の口から出た言葉が自分で理解できない。しかし弟はこっちを見てにっこりと笑い、こういった。「にゃぁ (大丈夫だよ)」 何故か弟の言葉はそういっているように感じた。そしてその瞬間、古い古い記憶が蘇ってきた。


ちょうど妹が産まれたとき、母親に一度だけ言われた言葉。「お前は、本当はネコなんだよ」 しばらくはその言葉を憶えていたが、意味がわからず忘れていた言葉を、今はっきりと思い出した。


そうか、俺はネコだったのか・・・ 初めて野良ネコを見たとき、そのあまりの美しさに目を奪われたことも、好きなタイプや好きになった人がみんなネコっぽい人だったことも・・・いろいろなことの辻褄が合うような気がした。


そのような思考を巡らせている間に、いつの間にか神社についてしまっていた。そして周りを見ると、さっきまでネコだった人が近所のおじさんになっていた。周りを見渡してもそんなネコの姿はどこにもなかった。


「夢、だったのかな・・・」 自分は祭りの出し物で一番好きな金魚すくいを弟たちと楽しみ、何匹かもらって帰った。帰り道、取れた金魚を嬉しそうに見ながら弟が言った。「にいちゃんと半分こして食べるんだ♪」 弟の目は月明かりで金色に光っていた。






という夢を見た。そうか、我輩はネコであったか。