いろいろあった合間に読み進めて、日曜日に読み終わりました。これです。

森永康平, 2020, 『MMTが日本を救う』, 宝島社.


「MMTとはなんぞや?」を知るために本を読み始めたのに、最初のうちはMMTは出てきません。3冊あったMMT関連の新書のうちの1冊ですが、別の本を選ぶべきだったのか、あるいは3冊ともこの程度なのか、他の2冊を読んでみないとわかりません。読後の感想としては「それで結局、MMTってなんぞや?」、あまりよくわかりませんでした。

個別に見ていくと、1章と2章は消費増税によるデフレとコロナの話に終始します。何か他のところでも読んだような話です。MMTの大枠について知りたいのに、現状分析が延々と続く状況、しかも2020年時点の現状分析なので少し古くなっています。

3章でようやくMMTが出てきますけど、何か小出しにされている感じで、4章でようやく本題に入るんですけど、ロジックよりもトピック中心に組み立てている感じと言えばよいのでしょうか、ロジックが見えないので何かよくわからない、という印象があります。5章ではMMTに関係するトピックをいくつか取り扱っていますけど、1トピックあたりの記述が少なく(しかもトピックのレベルがバラバラ)、何か物足りない感じです。1章と2章を削って5章の記述に厚みを持たせて欲しいところです。最後に、6章でピケティ(顔が何となくゴーンに似ているような似てないような....)や格差の問題、投資というファクターが出てきます。思うに、格差という社会経済的な大問題を最初に設定しておいて、そこからMMTのロジックでその分析と解決策を示していくという展開の方がよかったのではないか....、まぁ、この辺は読者側の好みの問題かもしれませんけど。

まぁ、何冊か読まないとMMTはわからないとするならば、とりあえず1冊目を読んだところなので、評価は保留というところでしょうか。今後、他の2冊の新書を読むべきか、あるいは少し高額だけどロジックを説明している経済書に手を出すべきか(それ以上に場所を取る)、ちょっと迷うところです。

MMTと主流派経済学(ケインズでしょうか? そういえばマネタリストというのもありましたが、あの辺はよくわからない)と比較した解説書なんかがあると、分かり易いのでしょうか。あるいは、大学にいたのは経済学というとマル経だった時代なので、「一般教養でマル経しか教わらなかった人のためのMMT入門」であればわかるかも....、資本論は等価交換論というか貨幣論から始まりますからね。資本論に書かれた貨幣論に対抗できるような説明図式をすればもしかすると....、課題としてはものすごく大変そうだけど。

あと早川書房が文庫でMMTの本を出しているみたいです。MMTって実は社会科学ではなくて空想科学なのかな?