行きと同じバスだった人も帰りはバラバラになってしまい、ひとりでバスに乗り込んだ。

ひとりになった瞬間ちょっと寂しくなる。
「あ、またひとりだ。」って。
でもすぐまた新しいひとに出会うし、
また新しい経験がこころをあっためてくれるのを分かっているから、自分のルートを立ち止まることなく、前へ前へとつくっていける。

それはすぐに起きた。

ハノイへ戻る途中立ち寄ったサービスエリア的なところでトイレに入るのに2000ドン払わないといけなかった。(日本円で約10円)トイレの前に徴収係のおばちゃんがいる。

こまかいドンを5000ドンしかもっていなかったので、それを渡したのだが、
お釣りをちっとも返してくれようとしない。
彼女の手にはお釣りになる細かいドン札がたくさんあるのに。

お釣りをくれと言っても英語が通じないどころか、無視され続けた。よく考えれば5000ドン(約25円)てそのままあげてもいい額なのだけれど、無視はないでしょ。と思いすこし気分が悪くなった。

わたしが困っていたところを、
すぐ後ろでその様子をみていたマーレシアから来たという女性が、おばちゃんから私が払った5000ドンを取り戻し、
「彼女の分と私の分と、1000ドンあなたにチップよ。これでいいわよね?」といって私の分まで払ってくれた。

そのさりげない優しさが物凄い大人で、かっこよくて感動した。なんて素敵なんだ。

と同時に自分の心の狭さを反省した。

この人はきっと常にみんなに平等に優しくできる人なんだろう。そして余裕がある。

私は常にみんなに優しくできてるのかな。
いや、出来てないときもたくさんある。
イライラしてしまったり、ちっさいことが風船みたいにぷくぷくと膨らんで破裂することもある。

もっと心に余裕をもって、みんなに優しくできるようになろう。
そうしたらこの旅はきっと、もっといいものになるはず。

困っているひとがいたら助けよう。

学びの多いサパの旅だった。
またすぐにサパに戻りたいな。
そのときまでに、余裕のある優しい人間になっていよう。



ホームステイ先につくと
あたたかいご飯が用意されていた。

今日の寝床はホームステイ先の布団。
みんなそれぞれ荷物をおろし、
大きなテーブルへと向かう。

ビールや水も売っていて翌朝にまとめて支払う形式。ビールとおいしいご飯を頂きながら、仲良くなったツアー参加者たちとお喋りがはずむ。

宴が進んでいくと、今日一緒に泊まるガイドのクインがハッピーウォーターなる液体を持ってきた。ショットグラスと一緒に。

聞いてみるとお米からできたお酒だそうだ。
サパの棚田でとれたお米のお酒が飲めるなんて思ってもなかったので、とても嬉しかった。

味は純米酒とウォッカを足して2で割ったようなかんじのさらっとしており、飲みやすく、美味しい。

ちょっとしたドリンキングゲームもはじまった。お箸で豆をつかみ隣の人に回していき落とした人が負けというもの。
なんだかお正月の日本みたい。

お箸の扱いに関しては、その中で唯一のアジア人の私が一番得意であるはずなのに、しっかり負けた。

ナツミはショットじゃなくて歌を唄ってと、クインの無茶ぶり。笑

「幸せなら手をたたこう」を日本語でうたった。これは世界共通でかなり便利な歌だ。

みんなそれぞれの今までいった旅の情報をシェアしながら、24時頃まで話し込んだ。

次の日のトレッキングはCat Cat Villageという村を3時間ほど歩くコース。

初日の12kmのトレッキングに比べたらかなり短いが、でこぼこの泥だらけ、スリッピーな道を歩いていかなくてはならない。気を緩めると泥の水溜まりにぼちゃん。写真を撮る余裕もない。

初日と同じようにガイド以外の女性達が続々と合流する。今日は数がかなり多い。

それもそのはずで落差の激しい道のりで、誰かに手をとってもらわないと下れない箇所がかなり多い。

いつのまにかガイドとツアー参加者のほぼ1対1で手をとりあいながら進んだ。

彼女たちはトレッキングシューズなんて掃いておらず、長靴や日本でいう便所サンダルみたいなものでスイスイといく。彼女たちの足腰の強さに尊敬。すごかった。

トレッキングのゴールはウォーターフォール。静かに流れる水の音と太陽の光りを反射してつややかに光る岩がとても美しかった。

ずっと手をとって助けてくれたガイドの女性に「ユーショッピングフォーミーオケー?!」と3回くらい言われ、今回ばかりはNOと言えなかった。

そういえば持ってきた小さいポーチが壊れてしまったんだと思い、リップや目薬がはいるていどの大きさのポーチを購入した。

150,000ドンだった。
日本円で大体750円くらい。大した金額ではないが、かなりの観光客価格。(ベトナムでは250円もあればおなかいーっぱい食べられる)

ここに来て、ガイドのみんながいなければこんな素晴らしい自然のなかを歩くことはできなかったし、何より自分と育ってきた環境の違いを知れたことが大きな経験になった。

すごくいい買い物をしたと思う。

私のように初日は断っていた人も、みんなNOと言えなかった~と笑いながらお互いの買ったものを見せ合った。


帰りのバスの時間。
ハノイに戻る人、違う場所に向かう人、そのままサパにもう一泊する人。
それぞれがまた各々の目的地に向かう。
旅は出会いと別れの繰り返し。
ありがとうとサヨナラのハグをした。

To be continued 
サパに到着し、2日間のトレッキングがはじまった。

ガイドはクインという女性。
彼女は今まで接してきたベトナム人のなかで一番英語がうまかった。

驚くことにすべてツーリストから学んだという。貧しいうえに妹たちや家畜の世話をしないといけなかったため、学校にはいけなかったそうだ。それを聞いてわたしたちツアー参加者は感心しきりだった。

彼女は二人娘がいて、上の子は学校に通うため山奥の実家から離れたサパのメインタウンにある寮で離れてくらしている。下の子はまだ小さいが、その子も学校に通わせたいといっていた。

しばらくそのことをかんがえながら道なき道を歩く。

途中からどこからともなく、また別のローカルの女性が登場し、一緒に歩く。彼女もすこし英語が話せる。最後になぜ彼女が合流したのかがわかる。

途中他のツアーのグループとも交わりあいながら、ひたすら歩く。久しぶりにたっぷりの緑に囲まれ、土の匂いに癒される。
空を見上げるとビルやら電線なんてものは皆無。最高だ。


その中に何人か赤ちゃんをおんぶしながらガイドをする女性もいた。14~16歳くらいにみえる少女がおんぶをしているものだから、どこかのお家の赤ちゃんを交代で子守しているのかと思ったら、その少女のこどもだという。
本当はもっと大人だったのだとおもうけど、かなり若く見えていたから、内心かなり驚いた。

なぜ若くみえるかというのも、サパにくらす女性は大人もこどももほとんどみんな背だけが同じ。つまり大人がある程度の身長で止まっているということ。

何時間のトレッキングに赤ちゃんをおんぶしながら歩き、たとえ赤ちゃんが泣いてミルクを欲しがっていてもなかなかあげられないだろう。実際泣いてる赤ちゃんは背中でずっとあやすだけだった。

みんな体格がかなり小さいのはこうゆうことが関係しているんだろうなと思った。

初日のトレッキングも終盤にはいり、ある地点で途中から合流したローカルの人達がお土産を買わないか?とうしろに背負った籠から品物を次々ととりだす。


ふむ。そういうことか。
メインのガイドと別にお土産係がいるのだ。

噂には聞いていたが、彼女たちはめげずに買って買って~とやってくる。

クインの娘の話も聞いていたし、ひとつくらいかってもいいかなと思ったが、私はこの2日間のツアーに68USDはらった。

お金の分配がどうなっているかは分からないけれど、ベトナムドンにしたらいい金額になるし、彼女たちにもお金は絶対に渡っているはず。

必要のないものを買う余裕は私のバックパックにもお財布にもないな。と思い丁寧に断った。

何人かの同じツアー参加者も断っていた。

辺りも暗くなり月のひかりを頼りにして、サパの村をまたてくてくと歩いていく。こんなに月の光を身体中に浴びるほど感じたのは、最後はいつだったかなと思う。


To be continued