離島で暮らしてちょうど7年目になる。
と言っても比較的大きな島で、島自体がひとつの街のような感じだから、あんまり普段から不自由は感じない。

本土にいたときだって、そんなに市外に出ていった訳ではないので、わりきればそう苦ではない。

春になると、ちょっとだけ意識する。それは転勤などで、島を出るとき。
甲板に出て手を振る人たちに向けて、楽器を弾いたり、紙テープを投げたりする光景は、7年もいれば当たり前になるが、どうも他所からの人にしてみれば風物詩らしい。
NHKの定点カメラの取材も来ていて、これは五月に放送予定だそうな。

転勤する方はやり残した仕事のことを考える。残る方は、受け取った荷物の重さに不安を抱きながら、それでも精一杯見送る。次は自分の番。何を残してここを去るのかと。