年金が支給停止 になる?
今の時代
会社の定年が65歳で
あっても、
再雇用制度の活用などにより
働き続けて
活躍するという方が
増えてきました。
ここで、年金に関する
問題です。
年金は65歳から受け取る
というのが一般的ですが、
働きながら年金を
受け取ることもできますね。
また、
厚生年金の加入期間は70歳まで
加入できることに
なっています。
また、
厚生年金は、現在一定の要件に当てはまる方は60歳から
受け取ることもできます。
60歳代前半の老齢厚生年金
などと言います。
※
年金の繰り上げ支給とは
異なる制度です。
生年月日などが要件に
なります。
この働きながら老齢厚生年金を受け取る場合には
収入が一定額以上あると、
老齢厚生年金の支給額が
一定額支給停止になる
場合があります。
在職老齢年金制度といいます。
今回は、
在職老齢年金について簡単に
書いてみます。
在職老齢年金制度とは?
在職老齢年金制度とは?
60歳以上で働きながら
老齢厚生年金を受け取る方が
基本月額と総報酬月額相当額が
支給停止調整額を
超える場合には
老齢厚生年金の一定額が
支給停止される制度です。
・・・・・・・・・・・
支給停止調整額とは?
・・・・・・・・・・・
名目賃金の変動により
毎年改定が行われ
在職老齢年金の
支給停止となる場合の
基準額となります。
令和6年度の
支給停止調整額は50万円です
・・・・・・・・
基本月額とは?
・・・・・・・・
老齢厚生年金額を12で
除した額です。
(※加給年金、繰り下げ加算額、
経過的加算額を除いた年金額です)
・・・・・・・・・・・・
総報酬月額相当額とは?
・・・・・・・・・・・・
標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計を12で
除した額の合計額です
総報酬月額相当額=
標準報酬月額+標準賞与額÷12
・・・・・・・・・
標準報酬月額とは?
・・・・・・・・・
厚生年金の標準報酬月額は
標準報酬月額等級表により
1級から32級まであります。
標準報酬月額の定め方は
定時決定、資格取得時決定
随時改定などあります。
定時決定の場合には
毎年4月から6月までの
3か月間に
受け取った報酬の総額を
その期間の月数で割った額が
報酬月額となります。
この報酬月額を標準報酬月額等級表に当てはめて等級と
標準報酬月額を決定します。
原則としてその年の9月から
翌年8月まで使用します。
・・・・・・・・
標準賞与とは?
・・・・・・・・
賞与の支給総額から
千円未満を切り捨てた額
(上限額があります)
支給停止調整額を超えると一定額が停止されます。
支給停止調整額を超える場合に
一定額の年金が停止されます
令和6年度支給停止調整額は
50万円
基本月額と総報酬月額相当額の
合計が50万円以下
(支給停止調整額以下)
老齢厚生年金は
支給停止されません
全額支給です
基本月額と総報酬月額相当額の
合計が
50万円を超える場合
(支給停止調整額を超える場合)
支給停止額=
(基本月額+総報酬月額相当額
-支給停止調整額)÷2×12
この計算式から出された額が
支給停止されます。
以下の場合で考えてみます。
老齢厚生年金額:年額150万円
賃金:30万円(月給)
標準報酬月額:19等級30万円
賞与:年額120万円
(60万円を2回)
R6年度支給停止調整額:50万円
基本月額=年金額÷12
1,500,000円÷12=125,000円
基本月額=125,000円
総報酬月額相当額=
標準報酬月額+賞与額÷12
300,000+1,200,000÷12
=400,000円
総報酬月額相当額=400,000円
基本月額+総報酬月額相当
125,000+400,000=525,000円
この場合は基本月額と
総報酬月額相当の
合計額が支給停止調整額を超えるため計算します。
(総報酬月額相当額+基本月額
―支給停止調整額)÷2×12
(40万+12.5万-50万)÷2×12
=15万円
年金支給停止額=年額15万円
(1カ月あたり12,500円)
厚生年金支給額=
150万円―15万円=135万円
(1カ月あたり11万2500円)
今回の場合、
老齢厚生年金が月112,500円
(年額135万円)
月12,500円が支給停止額です。
このほか老齢基礎年金の
部分が全額支給されます。
在職時改定があります
在職時改定されます
働きながら厚生年金に
加入している
65歳から70歳の方は
毎年9月1日に被保険者である
場合には
翌月分から年金額が
改定されます。
※
保険料を支払っているため
改定されて受け取る年金が
増えていきます。
年金が増えたため
支給停止調整額を超えると
年金の一部が停止になることがあります。
高年齢雇用継続基本給付金と年金の支給停止?
高年齢雇用継続基本給付金に
よる年金支給停止
60歳から65歳までの方で
働きながら老齢厚生年金を
受け取る場合には
在職老齢年金制度による
支給停止の他
雇用保険法の
高年齢雇用継続給付金制度
による支給停止もあります。
・・・・・・・・・・・・・
高年齢雇用継続基本給付金の
要件
・・・・・・・・・・・・・・
- 60歳から65歳までの方
- 雇用保険の被保険者期間が 5年以上ある
- 賃金が支給限度額以下 である
(1)(2)(3)の要件に
該当する方の賃金が
60到達時の賃金日額に
30を乗じた額の75%未満
となった場合に
最高で賃金額の15%
が雇用保険から支給される制度です。
以下の場合で考えてみます
60歳到達時に賃金30万円から
以降18万円になった
(60歳到達時賃金の75%未満
になった)
賞与:90万円
老齢厚生年金:年額120万円
標準報酬月額:12等級18万円
みなし賃金日額:10,000円
(被保険者期間を
満たしています)
・・・・・・・・・・
みなし賃金日額とは?
・・・・・・・・・・
60歳到達時の賃金を基準に
算定した賃金日額と
考えてください。
・・・・・・・
賃金日額とは?
・・・・・・・
失業した時に、
雇用保険から受け取る
基本手当等を算定する場合に
使われるものです
今回は以下の式を使います。
【原則の式】
賃金日額=
算定対象期間において
被保険者期間として
計算された
最後の6か月間の賃金総額
÷180
(※詳しくは省略します)
今回は60歳到達時の
賃金総額30万円
(30万円×6か月)÷180
=10,000円
賃金日額は10,000円です。
総報酬月額相当額=
標準報酬月額+標準賞与÷12
180,000円+900,000円÷12
=225,000円
総報酬月額相当額:225,000円
基本月額=年金額÷12
120,000÷12=100,000円
基本月額:100,000万円
総報酬月額相当額と
基本月額の合計
225,000円+100,000円
=325,000円
令和6年度支給停止調整額50万円以下なので在職老齢年金制度
による
年金の支給停止はされません。
高年齢雇用継続基本給付金を
考える
賃金額がみなし賃金日額に
30を乗じた額の
100分の75未満になる場合
高年齢雇用継続基本給付金が
受け取れます。
18万円÷(1万円×30)
=0.6(60%)
100分の60なので受け取れます。
賃金が
みなし賃金日額×30の
61%未満の場合
高年齢雇用継続基本給付金
=賃金×15%
高年齢雇用継続基本給付金
180,000円×15%=27,000円
高年齢雇用継続基本給付金を
受け取ることによる
老齢厚生年金の停止額
を考える
標準報酬月額が雇用保険の
みなし賃金日額×30の
100分の61未満であるとき
180,000円÷(1万円×30)=0.6
(60%)
61%未満となります。
この場合
標準報酬月額×6%が
停止されます
180,000円×6%=10,800円
今回は、
老齢厚生年金が10,800円が
停止されます。
高年雇用継続基本給付金が
27,000円受け取れます。
老齢厚生年金の月額
100,000円-10,800円
=89,200円
高年齢雇用継続基本給付金:
27,000円
つまり、もともと
賃金:月18万円
老齢厚生年金:月100,000円
合計月280,000円
+賞与90万円
でしたが
今回の高年齢雇用継続給付金
により
賃金:月18万円
高年齢雇用継続給付金:27,000円
老齢厚生年金;月89,200円
合計:月296,200円
+賞与90万円
となります。
高年齢雇用継続基本給付金を
受け取ることにより、
年金が一部支給停止になりますが
合計では少し増えているのが
わかりました。
出典:日本年金機構
働きながら年金を受給するかたへ
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairou.html
出典:厚生労働省
雇用継続給付について
働きながら老齢厚生年金を
受け取る場合には
年金の支給が停止される
場合があります。
又60歳から65歳の方は
雇用保険の
高年齢雇用継続給付制度の
活用などもできます。
収入が多い方は年金の
支給が一部又は全部が
支給停止されるため、
年金を受け取らなくても
生活できる場合などは
年金の支給繰り下げなど行い、
将来会社を退社した時に
年金をより多く受け取れるようにするなどの
方法を考えてもよいでしょう。
社会保険労務士は
労働関係、社会保険関係の
法律に関する専門家です。
各種公的年金に関する
相談、書類作成は
国家資格者である
社会保険労務士に
お任せください。
便利で気軽に使える事務所KATUJIMU
労働保険、社会保険手続き
就業規則見直し、各種規定の作成
遺族年金、障害年金など
各種年金相談、書類作成
社会保険労務士事務所
KATUJIMU
外国人永住許可申請
各種入管申請
年金から始まる終活相談
相続関係説明図作成
行政書士マザー事務所
ホームページ
この記事を書いた時点での法律に基づいています。
この記事の内容についていかなる問題が
発生した場合でも
当事務所は一切の責任を負いません。
ご自身の責任の下、
ご確認の上ご活用ください。