TODAY'S
 
依頼が殺到の退職代行とは?

 

ゴールデンウィークも終わり

また仕事が始まる朝のニュースで

退職代行業者に退職の依頼が

殺到していると

報じられていました。

 

この退職代行というビジネスが

最近、流行っているみたいですね。

 

退職代行業者とは、

いったいどんな

法的な権限をもって会社側に

依頼人の退職の意思を伝えているのか

ちょっと調べてみた。

 

まずは、退職についてです。

 

 

 ―労働者には退職の自由が認められていますー

 


 

    

退職の自由は認められています。

 

 

・憲法18条

 【奴隷的拘束の禁止】

・憲法22条

 【職業選択の自由】

・民法626条

 【期間の定めのある雇用の解除】

・民法627条

 【期間の定めのない雇用の解除の申入れ】

・民法628条

 【やむを得ない事由による雇用の解除】

・労基法15条

【労働条件明示】

・労基法附則137条

 

など法律の法律により退職自由は

認められています。

 

 

 

 -会社には退職に関する規定がある-

 

 

 

会社には就業規則というものがありす。

この就業規則には退職についても

記載されています。

(※10人以上の労働者がいる場合は

 作成、労基署へ提出の義務があります。)

 

通常は、退職希望者は

その就業規則の規定に従って

退職の意思を伝えます。

 

これに従って退職するというのが

一般的ですね。

 

 

就業規則の規定以外にも

民法にも退職に関する規定があります。

どちらが優先かというと

会社の規則でしかない就業規則と

国が定めた法律である民法では

民法が優先されるのはわかります。

 

 

民法623条~(雇用)に定められています。

 

 

民法626条

【期間の定めのある雇用の解除】

雇用の期間が五年を超え、又はその終期が

不確定であるときは

当事者の一方は、五年を経過した後、

いつでも契約を解除することができる。

 

前項の規定により契約の解除を

しようとする者は

それが使用者であるときは三箇月前、

労働者であるときは二週間前に、

その予告をしなければならない。

 

 

 

民法(627条)

【期間の定めのない雇用の解約の申し入れ】

当事者が雇用の期間を定めなかったときは

各当事者は、いつでも解約の申出を

することができる

この場合に置いて、雇用は

解約の申し入れの日から二週間を

経過することによって終了する。

 

2 

期間によって報酬を定めた場合には

使用者からの解約の申入れは、

次期以降についてすることができる。

ただし、その解約の申入れは、

当期の前半にしなければならない。

 

六箇月以上の期間によって

報酬を定めた場合には

前項の申入れは三箇月前に

しなければならない。

 

 

 

民法628条

【やむを得ない事由による雇用の解除】

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、

やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

この場合において、その事由が当事者の一方による過失によって生じたものであるときは

相手に対して損害賠償の責任を負う。

 

 

 

 

-期間の定めのない労働者の場合にはー

 

民法の規定に従うと、

退職は相手の承諾を必要としていないので

期間の定めのない労働者であれば

退職の意思を会社に伝えて

2週間が経過すると雇用契約は解除されます。

 

 

 

-有期雇用の方の場合には-

 

民法にも規定がありますが

労基法附則に規定があります。

 

労基法附則137条

期間の定めのある労働契約を

締結した労働者は

民法628条の規定にかかわらず、

当該労働者の期間の初日から

一年を経過した日以降においては、

その使用者に申し出ることにより

いつでも退職できる。

 

 

有期雇用労働者の方は

労働契約の期間の初日から

1年を経過すると

いつでも退職できます。

また、民法628条の規定により

やむを得ない事由があれば

いつでも退職できます。

 

 

※余談ですが有期の雇用期間について

 

民法626条に

「雇用期間が5年を超え

     または終期が不確定・・」

とありますが労基法14条では、

期間の定めのないものを除き

一定の事業の完了に必要な期間を

定めるもののほかは

3年を超える期間については

締結してはならないとあります。

(※例外あり)

 

そして、労働契約法18条には

同一の使用者との間で締結された

二以上の有期労働契約の契約期間を

通算して5年を超える労働者が、

当該使用者に対し、

現に締結している有期労働契約の

契約期間が満了する日までに、

当該満了する日の翌日から

労務が提供される期間の定めのない

労働契約の締結の申込をしたときは

使用者は当該申し込みを

承諾したものとみなす。

とあります。

 

 

有期雇用の労働契約は

    原則最長3年です。

(例外もありますが省略します。)

 

 

有期雇用労働者は1年経過で

いつでも退職もできます。

通算して労働期間が5年を超えると

期間の定めのない労働契約を締結し、

期限の定めのない労働者となることもできます。

 

 

 

 ー 何故、退職代行なのか?  ー

 

 

 

    

TVニュースを見ていると

パワハラなどで退職を考えている方が

退職代行などを利用するようですね。

 

退職願いなどを提出したら

その場で破かれた

なんていう方もいるみたいです。

 

また、最近の傾向としては

自分で行くのが面倒だという方も

いるみたいです。

 

労働条件が違う等の方もいました。

正社員として採用かと思ったら

パートだったなど。

 

労働契約書等に書いてある

明示された労働条件が

実際と違っている場合には

労基法15条2項の規定により

即時に労働契約を解除できます。

 

 

 

 退職代行を使う方の理由

 

・パワハラやセクハラが横行している。

・ブラック企業で働いている

・入社したばかりで退職を言い出しにくい

・会社が辞めさせてくれない。

・今すぐ会社をやめたい人

 

など

 

 

 退職は対面でなくてもいい

 

 

退職願いですが、

対面でなくてもいいわけです。

一方的意思表示で有効に退職の意思表示は

成立しますので、郵便などでも構いませんね。

 

ブラック企業などは

「そんな退職届など受け取っていない」

などと言いかねませんので

内容証明郵便(配達証明付き)

で行えば

退職の意思表示は行えます。

 

それでも、

会社側が何か言ってくるようならば

その内容証明書をもって

弁護士さんに相談すれば

解決です。

 

 

 

 

  退職代行というビジネス ー

 

 

 

    

ここからが私が興味を持った部分です

 

 

この退職代行なるビジネス

どのような権限で

行っているのかということ。

退職は労働契約の解除

ですので法律行為です。

 

 

ネットで退職代行と検索すると

沢山出てきました。

 

 

この退職代行なるものは

弁護士さんの事務所が

行っていることが

多いみたいです。

弁護士監修などというもの

ありました。

 

監修ってなんですか?

よくわかりませんが、

弁護士さんが

関わっているなら

大丈夫なのでしょうね。

 

 

そしてホームページなどを

見てみると

弁護士は代理人として

退職に関するすべてのことが

できるとありました。

「退職の代行」ではなく

退職に関する法律行為を

代理しているわけです。

 

つまり、退職から

未払い賃金や残業代の交渉

有給休暇等のすべての問題を

代理人として解決してくれます。

 

 

そしてホームページには

認定司法書士は、

 140万円までの未払い賃金等の

 問題を解決できる。

 

行政書士は書類の作成のみできる。

 

したがって

弁護士に依頼するのが一番ですよ

など紹介されていました。

 

 

TVニュースなどで見る電話で

退職の意思を伝えている

一般(士業ではない方)の退職代行は

使者という扱いになるようです。

 


 

 

 使者とは?

 

相手方にただ伝えるだけ

ということです。

つまり、依頼人の意思を

そのまま伝えるだけです。

したがって、

退職届等の代筆や

会社側との交渉などは

できません。

 

 

 代理とは?

 

 

代理人は本人に代わって法律行為を行います。

 

代理人の行った法律行為は本人に帰属します。

つまり、代理とは本人がその行為を

行っているのと一緒ということ。

 

 

 

・・・ここに違いがあります・・・

 

使者は、ただ伝えるだけなので、

使者の方がその他の未払い賃金、

残業代などの交渉などを

行なうと弁護士法に違反します。

弁護士法72条です。

 

私たち弁護士以外の士業者も

気を遣う条文ですね。ニコニコ

 

 

 

  退職代行による退職は無効にできる?

 

 

    

これまた、ネットで検索すると

就業規則にある規定を入れることで

退職代行に対抗できると

いうのを見つけました。

 

 

そもそも対抗する必要が

あるのかよく分かりませんけども・・・

 

 

「退職代行による退職は禁止」

というような

内容の規定を就業規則に

入れるのだそうです。

 

 

このような規定を入れると

対抗できるとありましたが

この規定はあまり

意味がないのではないのかな。

(法的にも根拠がありません。)

 

 

 

退職代行を行っているのが

弁護士さんの場合には、

この規定は通用しません。

弁護士さんは代理人として

退職に関する法律行為を行っているので

この就業規則の規定は意味を成しません。

 

また、

行政書士が作成した退職届や

内容証明書は代理人として

作成し提出しているので有効に成立します。

この就業規則の規定は意味を成しえません。

ただし、行政書士は書類を作成し

提出するのみですので

未払い賃金等の交渉は行えません。

 

 

一般の退職代行の方が電話で

退職の意思を伝えてきた場合には

この就業規則の規定は

何となく使えそうです。

使者として退職の

意思を伝えてきただけですので。

 

但し、会社側は「退職できません」

とは言えないでしょう。

退職の自由はあります。

 

少なくとも使者を通じて

退職の意思を伝えてきました。

 

会社側はこの場合、

退職代行の方の

法的な権限をお聞きし、

弁護士さんでない場合には

退職希望者本人が

作成した退職届などを

提出してもらうように伝えるのが

よいのではないでしょうか。

 

 

これしないと会社側も安心できません。

何の権限もない方が

電話で伝えてきただけですから。

もしかしたらいたずら電話かも?

です。

 

 

 

つまり就業規則の退職代行を

使った退職はできないという規定は

何ら権限のない使者についてのみ、

なんとなく使えますが、

退職を無効にすることは

無理ではないでしょうかね。

 

 

 

 

 退職希望者の退職を留まらせるより労務管理を考える

 

 

ここで、労務管理問題です。

 

受け売りですが、

退職希望の労働者が退職代行を

使ってくる場合には

会社は退職される方を

引き留めるということよりも

なぜ、退職代行を使ってきたのか?

うちの会社はパワハラなどがあるのか、

労働時間は管理出来ているのか

うちの会社ブラックなのか?など

労務管理について考えた方が

よいのだそうです。

 

 

なるほど

勉強になりますねキョロキョロ

 

 

労働法の専門家である

社労士は労務管理のプロです。

 

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お手伝いをさせていただきます。

 

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社労士にお任せください。

 

 

 

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では。また・・・

 

 

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