一押しの大沢作品 | 活字離れよ さようなら

一押しの大沢作品

大沢 在昌
毒猿―新宿鮫〈2〉
 新宿鮫は面白いと友人から聞いてはいたものの、大衆小説は、どうもね。と、なかなか読む事がありませんでした。

 そんな私が、大沢作品にはまったのは、以前新宿に遊びに行った時。駅で待ちあわせた同級生の大学の教授の一言でした。その彼が、「新宿。新宿鮫が面白いよね。」と言った一言でした。ゲーテ研究家である彼の口から、そんな言葉が出て来るとは夢にも思いませんでした。しばらく前に、この新宿歌舞伎町で、中国人が青龍刀を振り回した事件があったのと前後して、ひとつ読んでみるかと思い立ちました。

 まずは、新宿鮫の一巻を読んで、その面白さに引き込まれ、二巻の「毒猿」を読んでからというもの、完全に大沢作品にはまってしまいました。

 悲しきヒットマンの毒猿、病をかかえながらも、死を賭して標的を追う姿に感動しました。
最後に「誰も、毒猿を殺せない。毒猿を殺すのは病。」と言って死んで行くそのシーンは、映画になれば、是非、今は亡き松田優作がやってくれたらなと、思います。